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第九十三話 ワンス・アポン・ア・タイム・ホエン・ブレードランナーズ・ラン・ブレード その六

◆「ワンス・アポン・ア・タイム・ホエン・ブレードランナーズ・ラン・ブレード」その六◆ 


 ◇ ◆ ◇



 城門の守護者は銀の鍵を閉ざした。

 若き巡礼者は葬送曲を歌い、黒の女王は真鍮の鐘を鳴らす。

 六人の楽士たちは鉛の角笛を吹き、七つの破滅なる魔剣が八つの静寂なる墓碑銘を刻む。

 黄昏の王は来たれり。

 黄昏の王は来たれり。

 朽ち果てし勇士の楽園は落陽に至る。


 盲目なる預言者は石壁に警句を残した。

 賢明なる道化師は藁束に金糸を隠した。

 王冠拾う寡婦は病の石臼を引き、破滅の種子は今鉄門を超えた。

 黄昏の王は来たれり。

 黄昏の王は来たれり。

 過ぎ去りし荒野の宮殿は晩照を抱く。


                  ――ヴァリエセクス碑文「黄昏の王の宮殿」。



 ◇ ◆ ◇



 漂う風には、もう、穢れの気配はない。

 アンセラの鼻に頼って村人二人を埋葬したとき、戦闘の余波でその家が壊れていなかったのは幸いだったのだろう。

 隣で痛みに顔を顰めるアンセラも、狼の生命力があれば復帰にかかるのも数日とのことで、それもまた幸いだった。

 そして、もう一人……いや、こちらの方が重傷であった。


「ボンドーさん!」


 闇の中から足を引きずりながら、ほとんど這い崩れるも同然で現れたアルケル。

 駆け寄り肩を担けば、荒い息を刻む身体が冷え切っていた。

 ……いや、それでも不自然だ。シラノとて医学に明るい訳ではないが、自分の身を以って体感している。アルケルの怪我は、明らかに致命傷だ。動脈も傷付いているだろう。

 それ以上に、穢れを受けたのだ。魔物に変質しても不思議でない。


「ああ、ごめんごめん……大丈夫だよ……悪いね、本当……」


 だというのに彼は手を払って、その場に座り込んだ。

 それきり変貌の様子は見られず――……これが〈血湖の兵剣(スルススナウト)〉の権能だというのか。小さく喘ぐボンドーは、俯き加減で座っていた。

 どれほどそうしていただろうか。

 ひとしきり手当てを終わらせたその時、金髪で目元を隠したボンドーがゆっくりと口を開いた。


「……なあ、剣士クン」

「うす」

「やっと、終わらせられたんだ。終わらせたんだ。……僕の手で、やっと」

「……うす」

「はは、本当――……本当にさぁ、手間かけさせるよねぇ……。昔から、自分一人で全部考えてるなんて顔して……いっつも僕に尻拭いさせてたんだよ。本当、昔から……本当にさぁ……。大雑把なんだよ、やることがいつも……」

「……」

「ああ、これでもう世話を焼く必要がないと思うと……清々するよね。僕だっていつまでも、付き合い切れないからさぁ……いい加減に義弟離れして欲しいよ……ハハ、もう成人してるんだよ? それなのにさぁ……」

「……」


 ぽつぽつと語るボンドーの前で、シラノはただ口を結んだ。

 びょう、と夜風が吹く。拳を握ろうとすれば、彼は酷く擦り切れたような声を漏らした。


「……剣士クン、同情とかそういうのはいらないよ。同情なんて――……そんな感情で僕の気持ちに入られても、困るんだ。……そんなのには、渡さない」


 また、風が吹く。無言の三人を覆うように宵風が音を立てる。

 やおら、シラノは外套を脱いだ。外套を脱いで差し出すと、言った。


「……傷、痛みますよね」

「え?」

「痛んでも、仕方ねえと思います。……痛んじまっても、仕方ねえと思います」

「……」

「……風が、強いっスね」

「ああ――……そうだね。ああ……本当に、そうだね……」

「……うす」


 受け取ったボンドーが、頭から外套を被る。

 それを見届け、シラノは踵を返した。アンセラもまた、応じるように腰を上げていた。 


 砕けた街の中を、改めて見回す。

 やはりどこにも争った形跡はなく、この街が滅んでしまったのも……あのような〈群雲竜(ハラ)〉の影響なのだろう。

 魔剣の王――……かつてこの世界に猛威を奮った災厄たる人間。

 あまり詳しいとは言えぬシラノがその故郷を見たところで得るものはないが、ふとアンセラが口を開いた。


「……魔剣の王ってさ、なんであんなことをしたんだと思う? 世界を汚染するなんて……。アンタなりの見解とか、ない? こことは違うところから来たんでしょ?」

「俺の……俺の居た世界だと……」


 ふむ、と顎に手を当ててみる。

 穢れによる汚染――……敢えて類似を見出すとすれば核廃棄物付き爆弾(ダーティボム)によるテロリズムや区画を選ばぬ地雷敷設だろうが……。


「……詳しくねえから、判らないっスね。ただ……自分たちをも顧みないってのは、それぐらい恨みが深いというか――……。いや、戦力差が大きすぎて、どんな嫌がらせでもやる気持ちあたりか……」

「なるほどね。……うーん、魔剣の王だなんて言われるぐらいになってまで嫌がらせってのは変かなあ」

「見せしめとしてってのもある……。人の心は難しいんで、俺からは何とも……急にどうしたんスか?」


 片眉を上げてみれば、アンセラは一つ頷いて、


「……思ったんだけどさ。封印を免れた淫魔がいるって……あんたたち言ってたわよね? いない限り、話が合わないって……」

「ああ。おふくろの死ぬ前から邪教徒の被害があったから……――待て、まさか」

「ええ。……魔剣の王ってさ、ひょっとして()()()()()()()()んじゃないの? やってることが似てない?」


 彼女自身も確信しきっておらぬ、陰謀論にも近い突飛な発想。

 しかしそれを前に、シラノは息を飲んだ。

 妖艶な寵姫、汚染活動、破壊的行動――……未だ奴らの目的は判らぬが、無視するには符合するものが多すぎる。


「魔剣の王も淫魔の息がかかってってたんなら……奴らは手段としてじゃなく目的として……穢れを齎すことで何かしようとしている……?」

「それか……淫魔って“卑”の存在でしょ? たとえどれだけ穢れか満ちた場所でも……あいつらなら何の影響もなく生きてられるわ。帝国が崩壊して浄化の技術が失われた頃なら、誰も穢れた場所に立ち寄れない。……同じ“卑”か、魔剣使いぐらいよ?」

「いや……そうしたところで俺たち触手使いだって入れる。普通の人間を気にしなくていいようになるだけだ。ただ……」


 否定しようとして、シラノは口を噤んだ。

 するだけの利が淫魔にあるのも、また事実であった。

 しばし黙し、マフラーの奥で吐息を漏らす。いずれにせよシラノは門外漢であり、異邦人であり、判断するには材料が足りなすぎる。

 がり、と頭を掻いた。こればかりはシラノ一人で悩んだところで結論も出ない話だった。


「そろそろ()()()()()の件もあるし……なんか、調べる場所があればいいんスけどね」

「んー……そーね。いっそ図書館でも行けば?」

「図書館? 図書館か。図書館…………あるんスか図書館!?」

「あるわよそりゃ大きな街なんだから……ってうわその目なに、気持ち悪っ!? あんたそんな顔すんの!? できるの!? うわっ目がキラキラしてて気持ち悪っ!?」

「図書館か……そうか、図書館……。図書館か……」

「うわ……意外……うわぁ……えっなに……本とか書とか燃やす気なの……?」


 腕を組み、思いを馳せる。前世のシラノの趣味らしい趣味といえば、図書館から本を借りることであった。

 この世界にもやはり、時代小説や歴史小説に当たるものはあるのだろうか。伝奇小説もいい。サスペンスや推理、ミリタリーなども……。

 手持無沙汰になったアンセラが咳ばらいをしたのに合わせて、腕を解いた。ひとまずなんにせよ、怪我人が二人。連れて帰らなければその後の話などもできまい。


「……なんか、伝承とか残ってないか調べてみる? この村……魔剣の王の生まれたところなんだし……」

「うす。……怪我の具合は? 悪くなければ、少し時間をくれれば助かるんスけど」


 調査は、必要だ。

 そう吐息を漏らそうとした――そんな時だった。


(……)


 夜の静かな空気に、足音が木霊する。

 静かに獅子丸の鞘を握ったシラノの前、闇から浮かび上がるように白い顔が現れる。漆黒の二重外套(インバネスコート)と、対照的なまでに白い肌。大正時代の書生の如きユーゴがそこにいた。


「いや、その分だと首尾よく進んだみたいでありますな。アルケル殿も無事のようで何より……やはりシラノ殿は、触手剣豪と名乗られるだけはある。いやあ、実に優れた剣豪であります」

「……」

「はは、そんな方から殺気を向けられてしまうと困るもんでありますが……如何されました、シラノ殿?」


 柔和な笑みで応じるユーゴを前に、シラノは重く切り出した。


「前にユーゴさんは……腰から剣を下げてないと危ねえと……碌に旅もできないと言いましたね」

「ええ、それがどうかしたでありますか?」

「俺も、難行をするようになってから良く判りました。……この世界にはあまりにも危険が多い。あの二人みたいに二度と話すこともできなくなってしまうこともある。……割合でいうなら、魔剣使いよりもよほど」

「……」

「腰の剣で避けられるのは――――()()()()()()()()()()()。……あなたは無意識に障害は人間だと、そう言っていたんだ。……俺を前にしたから、スか?」

「……ふむ。なるほどさても御慧眼、でありますな。流石は難行に挑まれるだけはある。……刀身を隠すことばかりに気を割いて、些か疎かになっていたであります。慣れぬことをするもんじゃねえですな」


 肩を竦めたユーゴの前で、シラノは柄に手をかけた。

 刀身を隠す。つまり何らかの権能を持つ剣を腰に侍らせる――即ちそれは、魔剣使いに他ならない。

 呼吸を絞る。限界まで使い続けた触手で戦うのにはあまりにも危険があり……だが、戦いとなれば相手は待たない。そんな緊張を身に漂わせたときであった。

 バッ、と。

 ユーゴが動いた。動いたというか、ものすごい勢いで沈んだ。

 沈んだというか、完全に伏せていた。

 ……というか所謂、土下座だった。


「……あの、何を?」

「え、腹でも出した方が分かりやすいでありますか? 見ての通り降参であります」

「……」

「いや、確かにシラノ殿の命を狙っておりましたが……こうなれば感服、降参するしかないであります。どうかせめて一太刀で済ませるか、それ以上に見逃して貰えるとありがたいでありますな。死にたくないので」


 土下座、この世界にもあるのか。

 いや確かに戦闘力がないことを示すとすればよくあることで、伏せるという文化はよくよく考えてみれば別に日本に限ったことではない。

 なんて考えに飛んでしまうほど呆気にとられたシラノの横で、アンセラが代わりに切り出した。


「……アンタ、なんでシラノを?」

「いやほら、メンツを丸つぶれにされた方がいたようで……難行に挑まれるというなら途中で果てても不思議な話ではない――とかなんとか。いやあ、偉い連中の考えることは全く分かりませんでありますな。偉そうにしくさって死ねばいいであります」

「……。……アンタはなんで刺客を?」

「え、いやー……そうすれば官吏として取り立ててくれるとかなんとか。役人の端くれになれば食いっぱぐれもありませんし、おなごにモテそうでありますからな! 賄賂も貰い放題であります! 娼館も通い放題! 酒も飲み放題! まさに我が世の春と言っても過言ではないのでは?」


 俗。ぞく。ぞくぶつ。

 そんな言葉でしか言い表せないほどの、どうしようもない俗物だった。奇麗な顔してとんでもない俗物だった。純度一〇〇パーセントの俗物。俗物オブ俗物。俗から生まれた俗太郎だ。こんな奴は役人にしちゃいけない。

 ぼり、と頭を掻く。

 今は再び右眼が閉ざされたシラノは、琥珀色の左目だけを細めて静かに口を開いた。


「……ええと、あなたが黒死風だったりは?」

「いやあ、生憎とそう名乗った覚えはありませんな。第一趣味が悪いであります。この先もおそらく名乗らないでしょう。黒死風は、存在しないのでありますからな」

「存在しない?」


 怪訝そうに眉を上げるシラノの前で、


「ああ、でも……自分と同じく雇われた方は、そう名乗っておりましたなあ。……いや忘れてました。彼がここにいないと言うなら……シラノ殿のお連れ様、危ないのではないでありますかな」


 零されたその言葉に全身の毛が逆立ちそうになり――代わりに、口から強い吐息となって現れた。


「先輩にはセレーネがついてる。……セレーネ・シェフィールドは、簡単に負けるほどヤワじゃねえ」

「……なるほど。セレーネ殿とは、なかなかの高名どころの方ですな。ふむ、ならば元よりこの役目――……いやあ、真剣に応じずしてよかったよかった。干し肉の恩のため……なんて思っておりましたが、こうも当方自身の為になるとは」

「……」

「洗いざらい話すんで、できれば斬らないでいただければありがたいもんであります。いや、こんな悪い企てをする連中なんか全員牢屋にブチ込むべきでありますよ! いやあ、その為の協力なら惜しまないであります! 悪は許しておけませんでありますな! 正義はシラノ殿にアリ、であります!」

「……………………うす」


 腹を見せて両手をひらひらと上げて片目を瞑るユーゴは、やはり、読めぬ男だった。

 ……というかもう少し矜持とかないんだろうか。凄い姿勢だ。

 なんか、こう、凄い俗物だった。



 ◇ ◆ ◇



 大通りを外れた裏路地で、剣光が踊る。

 音もなく石畳から弾き飛ばされた傷。目指す先の獣人は、目玉めいた魔術模様の刻まれた騎兵剣(サーベル)を構え――消えた。

 瞬間、横に飛んだセレーネは月鎌を振り抜く。そこへ獣人が現れ――……剣と剣が激突する。

 鍔迫り合い、とは進まない。その独特の形状で剣を抑える筈の〈水鏡の月鎌(ヘレネハルパス)〉はしかし、流水の如くその刀身を流された。

 そのまま。

 放たれるは、致死の一撃。

 態勢を崩され前のめりになったセレーネの首筋へ、ラルカンの剣が振り抜かれた。


「――」

 

 だが……ここで滅ぶなら、何故セレーネ・シェフィールドは剣鬼と呼ばれよう。

 迫る剣よりも速き後退。空に作る傷より己を弾き飛ばし、剣と共に後退する。

 しかし、見逃すラルカンではなく――振り抜いた刀身が石畳を映すと同時、彼もまた加速した。

 直進と後退。そして、超高速の剣戟。

 火花が散る。銀の風と、黒の風が吹き荒れる。甲高い音が路地裏に木霊する。

 都合、五合。

 片手で振り抜かれる〈水鏡の月鎌(ヘレネハルパス)〉と、全て流し抜ける〈言矢の韋剣(ヴィスタマーラ)〉。その即興音楽は、セレーネが上空へと退避することにより終わりを告げられた。

 トン、と石畳を蹴り直しセレーネは吐息を漏らす。

 服の裾に染み込む流血は……戦いにて生まれし傷は全て、セレーネのものであった。

 幾度と宙を嗅いだラルカンが、上機嫌に声を漏らす。


「攻撃の最中でも退くこともできる、か。……カカ、中々に便利な権能よなあ。剣術殺し……剣士殺しに向いておるわ」

「ありがとうございます。ですが、そちらには及びませんわ。……『刃に触れたものを滑らせる』――滑らせ、己も滑り、そして斬ることがその意義……。刀身に映すだけでも足りるとは、大した魔剣ですわね」

「かか……見抜くか。随分と切り刻めたと思うが……はてさて代償は大きかったか? なに、やはり獲物は手ずからして斬らねば何の愉しみもあるまいて……寄って斬る、そんな魔剣こそが得物には相応しいわ。上物よな」


 口角を上げて、ひゅばとラルカンが剣を振り抜く。

 移動力に優れ、そして剣による防御を殆ど無効化する――尋常なる剣士ならば、向かい合うことこそが鬼門であろう。

 それは何も〈言矢の韋剣(ヴィスタマーラ)〉に限ったことではないが……そんな魔剣の中でもとりわけこの魔剣は、セレーネとの相性が悪いと呼んでよいものであった。

 故に思わず、笑いが零れる。

 三日月の笑みと共に、セレーネは刀身を組み合わせ大鋏を作った。


「ええ、ええ……なるほど、これまでの私ならここで果てていたでしょう。実に人生というのは面白い……ふふ、やはり斬り合いというのは替え難いものですわ。……己も、相手も、命がより引き立つ。戦いこそ、より命の輝きが増させるものですね」

「ほう。……カカ、その言い草では……まだ隠し玉があるとも聞こえるが? 魔剣の権能が進化することはないと、そも基本的な話をすべきかな?」

「ふふ……ええ、魔剣は変わらない。ただ神の権能を一部、人に分け与えたもの……」


 地に遣わされた百八の権能。百八の序列。かつての帝国に刻まれた目録――……神の序列に合わせ、神殿の序列に合わせて安置されたこの世の奇跡。

 それは、変わらない。

 初めに天が作りし七本の創世の剣。そして遣わされた鍛冶の神が打ったとされる九の剣と、人の刀工が作りし九十二の剣。その序列が変わることはない。

 故にこれなるは、ただ、人が至りし深淵なり。


「……いざ、奉るは〈月と狩猟の女神(トリウィアナ)〉。牡鹿を射止め、恋人を射殺したその一矢をここに」


 大鋏を開き、セレーネは楚々と口上を述べる。

 ラルカンは動かない。刃に触れたものを滑らせ、そして己自身も滑るその剣にとってあらゆる待ちは攻撃と同じ。

 ……いや、それしか攻撃の手段がないのだ。彼が口にした通り、寄って斬ることを突き詰めた権能。

 故に、


「暗夜の三叉路、新月の弓、遮る金の王冠……銀なる馬車にて十字に駆ける豊穣の月よ。我が手には白銀の魔穹――これなるは、月光の矢」


 セレーネの呟く言葉を、ただ訝しむのみ。

 これは、魔術の如き死出への螺旋階段にあらじ。詠唱は、意味をなさない。ただ追い詰められた狂人の()()()と違いはない。

 そうとも。魔剣の権能は変わらない。神は、人には変えられない。格付けの済んだ魔剣同士の戦いの帰結は見えている。

 ラルカンは動かない。ただセレーネの起死回生を見定め、そして斬り捨てるのみ。

 故に、


(ひら)け――〈水鏡の月刃(ヘレネハルパス)〉」


 これより先は、神域の先。

 無数に亀裂の入った白銀の刀身が弾け、その刃と刃の間に発現する権能の()()

 神をも超える一手が――――この世に、権限した。

 それは流星。それは暴風。それは虚ろなる破壊の砂嵐。

 一直線に路地を駆け抜ける白銀の矢雨――加速度的に上昇する尖端の速度域は邪竜の魔剣をも超え、そして衝撃波となり空間を駆け巡る。

 世を塗り潰す甲高い咆哮は、我が身を裂かれる空気の悲鳴だ。

 世界は絶叫する。白銀の殺戮に、宙に満ちし不可視の気体が叫び悶える。

 これは、破壊。

 ただ窮極にして無窮、無色透明の破壊概念。

 だが――


「――――――――――」


 山をも超える古龍や巨人を射殺すほどの一矢を、しかし魔剣の王になぞらえた名を冠した黒死風は、その伝達の神の権能を与えられた魔剣は――受け流す。

 刀身に映す。ただそれだけで良い。それで全てが受け流される。

 受け流し、以って己の加速と敵の速度を加えた剣で相対者を討ち取らんとした刃走りは――


「か、ぁ――――――……!?」


 ごぞり、と抉られたラルカンの半身の鮮血と共に終焉を迎えた。

 確かに受け流したと感じた黒死風は、ただ、知らなかった。

 限界を超えた運動が空気に空白を生じさせることも。熱や光となることも。

 そしてそんな傷そのものがすべからく〈水鏡の月刃(ヘレネハルパス)〉の支配下に置かれることも。

 いいや、それより何より彼女がその傷を宙に留めておけることを――――彼は、知らなかった。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……傷の幅に刀身を分ければ、こうもなりますか」


 そしてセレーネは、空に設置された傷に――――否、空間そのもの全てが巨大な刃と化した路地に右半身を削り取られたラルカンを前に、柔らかに目を細める。

 シラノとの決闘の為にと編み出した理屈であったが、惜しむものではない。強烈な破壊音に耳を塞いで顔を青ざめさせたフローを見ればなおもそう思う。

 無論、彼女には一切の影響は届いていない。傷を支配下におけるということは、被害の程度を選べるということと同義である。

 直後、弾き飛ばした片方の剣が全て戻った。ひゅんと振り抜き、小さく頷く。

 セレーネほどこの魔剣に慣れていれば、常時引き寄せ貼り合わせ続けることも、瞬く間に分割して弾き飛ばすことも難しい話ではない。剣としての性能は一切損なわれてはいなかった。


「馬、鹿……な…………魔剣が、詠唱にて力を増すなど……! そんな……出鱈目が、ある筈が…………!」


 右腕と胸を削られたラルカンが噴血と共に叫ぶ中、セレーネは優雅に肩を竦めた。


「……あら、詩学には明るくないのですね。あれは、有名な詩の一節ですわ」

「な、に…………?」

「ええ、ほら――……死出の道行きに美しき詩もなければ、()()()()()退()()でしょう?」


 ただそれだけの話だったと微笑を浮かべるセレーネへ、ラルカンは黄色の目を見開き、


「カカッ、大した道楽……! 大した道理……! なんたる死狂い……! 死神、か……貴様……!」

「あら。黒死風に死神と呼ばれるなど心外ですね。私は――ええ、無意味な殺しなどしませんので」

「く、カカ……まさしく凶刃! なんたる狂った剣鬼よ! はは、貴様の秘剣を拝めたことを手向けに戴こうか!」

「ええ、ご随意に。……では、ご機嫌よう――」


 苦しめることは、本意ではない。セレーネは殺戮狂いではないのだ。

 その一心でいざ振り下ろさんとされる刃の前に、割り込んだ影があった。


「……フロー様?」


 困惑気味に声を上げるセレーネに構わず、かがみ込んだフローはその小さな手で傷口を必死に抑える。

 半端に押さえつけられた血管が、制限された出口に圧力の高まった血液が彼女の頬を染めるが……だが瞬き一つせず、フローは抑え止める。

 そして……宙に虹色の召喚陣が、開く。


「なんの、つもりだ小娘……! 穢らわしい触手などで、剣客の矜持に割り入るでないわ……!」

「……いあ……いあ……いぐないぃ……いぐな……■■=そ■ー■……!」

「貴、様……!」

「んがい……んぐあぐああ……ぶぐ=しょごぐ……いあ……いはあ……! いあ……いはあ……! ■■=そ■ー■……■■=そ■ー■……! いぐないぃ……いぐな……いぐないぃ……! とぅふるとぅんぐあ……■■=そ■ー■……! ■■=そ■ー■……!」

「寄、せと……! やめろ……!」

「いぶとぅんく……へふいえーんぐるくどるふ……■■=そ■ー■……! いあ、いあ……■■=そ■ー■……! いあ、いあ、いぐないぃ……■■=そ■ー■……■■=そ■ー■……!」


 吹き出る麻酔液と、そしてその半身を覆い尽くす赤き触手。

 セレーネには、世の条理の一端を担う魔剣使いにはその真なる名は聞こえない。聞こえぬが、フローの行った行為の予想は着いた。

 寄生した触手が血となり、骨となり、肉と変わる。……ラルカンの命は今まさに、拾い上げられたのであった。


「フロー様……何故、そのような? ……その男は我々を狙い、そして今までも人を斬ってきたであろう剣鬼ですよ。私と変わらぬ剣鬼……ならば剣の道にて果てるのが、道理ではありませんか?」

「うん。……でもさ、だけどさ。それでも何も……死ぬことはないって思っちゃうのは、いけないのかな……。死んじゃうのは駄目だって思うのは……いけないことなのかな」

「……」

「セレーネさんは助けてくれたのに……セレーネさんに任せたのに、ごめんね……。でも……前世のシラノくんみたいに……誰かが誰かの前から消えちゃうのは良くないことだって……思っちゃ、ダメかなぁ……」


 実に痛ましいものを見るような、縋り付くような――……それでもその奥に何らかの確信を抱いた視線を向けられたセレーネは押し黙る。

 吐息を漏らす。

 遠くから松明の明かりが近付いてくる。騒動を聞きつけた衛士たちが、鎧を鳴らして集まり出していた。


「……行きましょう、フロー様。騒ぎになります」


 呟き、横抱きにフロランスを抱える。

 跳躍一閃。

 人が折り重なって倒れた路地裏を、セレーネは何とも言えずに見下ろしていた。



 ◇ ◆ ◇



 漆黒の風を鳴らせ。

 真紅の王座を据えよ。

 女王の打つ真鍮の鐘は敬虔なる愚者を誘い、

 無知なる学士の子らはその無垢な身体を差し出す。

 青き薔薇を摘む庭師たちが火刑に処される。

 黄昏の王は来たれり。

 黄昏の王は来たれり。

 死を招く友は夕映えに毒杯を煽る。


                  ――ヴァリエセクス碑文「黄昏の王の宮殿」。



 ◇ ◆ ◇



 奴隷は、ティグルマルク王国では御禁制だ。

 公的に認められているのは、市井でのその人気に後押しされた剣闘士のみ。その他全ては『堕落により崩壊した帝国の悪しき習慣』として戒められている。

 故にこそ、国家に忠する執行騎士たるメアリには見逃せるものではなく、


「……ふむ。ま、こんなところでしょーかね。ったく、仕事増やしやがって……」


 纏めた資料を片手に息を漏らした。淫魔が関わる可能性もあるため軽率には踏み込めぬが、副産物とはいえ国家の頭痛の種を取り除ける材料は悪くはない。

 事実上の奴隷を有しているのは彼女の生い立ちに関わる伏撃猟兵(ヒドゥンレイダー)と、南東の墓守の国。そして、


「……黒天宮衆(オ・ヌーサ・マーフ)とはまた厄介な。犬コロどもはどーにも順位付けが好きでやがりますね」


 獣人を主体とする山岳地帯の武装神兵――暗殺教団である。

 魔剣の王に帰順し、麾下となった武闘派神官……暗殺教団はその母体が故に滅ぼし難く、挙げ句冒険者や神殿関係者の互助により手を伸ばし難い相手であったが、これで捜査の手も入り易くなろう。

 眉間を揉むメアリへと、ふと、エルマリカが口を開いた。


「……メアリさん、あの、いいかしら? 黒死風が存在しないって……どういうこと、なのですか?」

「ん、ああ、ええ……ま、二つほど理由がありやがりますね。一つは……これ、特定の奴の名前じゃないんですよ。というか、まぁ、人ですらないってもんで? だから存在しない……」

「ええと……」

「……ほら、世の中に色々と被害があるでしょう? 正体不明の化物に食われたとか、〈浄化の塔〉が反転させられて村が駄目になったとか……そういう被害は黒死風の仕業になる。羊さんたちがそう勝手に噂するってだけですけどね」


 にぃ、とメアリが両頬を指で押し上げるのに合わせてエルマリカは首を捻った。

 怪談めいて人々が語る破壊者。……それはいい。だが、セレーネほどの剣士がそんな事実を知らないというのか。

 怪訝そうなエルマリカに応えるように、メアリは小さく首肯した。


「もう一つは……その噂の下手人。大量に破壊をやらかしたとか、どこかに押し入ったとか……本当にそんな被害を出してる連中が――自分の所業を知ってる連中が、そう名乗りやがる。……魔剣の王の故事になぞらえて、箔付けとしてね」

「それは……ええと、つまり、存在しているのではなくて……? 他の誰かの分までを騙っていられるとしても……ええと……本当にそんなことを起こしているなら……」

「ふふ、ええお姫ぃ様。……確かにそういう意味じゃ存在しているとも言えなくもないもんでやがりますが――」


 にぃ、と指を二つ。

 同時、エルマリカの脳裏をもよぎる言葉があった。

 そんな大量の死者……被害を出す、()()()()()()()()()使()()()は――


「存在しなくなるんですよ、この世から。だって漆黒の風となった魔王は――……()()()()に討たれているんですから」

「……斬られてしまうのね。そしてずっと、斬られてきたのね」

「ええ。……()()()()()()()、それが黒死風という二つ名です」


 かの者たちが神代から握りし天地創世の魔剣。

 エルマリカの〈竜魔の邪剣(ノートゥング)〉を防御型と呼ぶならば……剣の一族が担う〈赫血の妖剣(スクレップ)〉とは、あらゆる魔剣に勝ちうる魔剣――――。

 即ちそれは、究極の()()()()()()であった。



 ◇ ◆ ◇



 漆黒の風を鳴らせ。

 真紅の王座を据えよ。

 黄色の曲芸師は古き子守唄を歌い、深紫の道化師は呪いの角笛を握る。

 一つの真鍮の鐘、二つの銀の鍵、三つの鉄の鎖、四つの鉛の五芒星を黄金の祭壇に捧げよ。

 黄昏の王は来たれり。

 黄昏の王は来たれり。

 其はやがて死の嵐に乗り灰色の宮殿に帰還する。


 黄昏の王は来たれり。

 その名をまさに、魔剣と呼ぶ。


                  ――ヴァリエセクス碑文「黄昏の王の宮殿」。



 ◇ ◆ ◇



 深き闇に包まれた山の斜面では虫の声さえしない。

 戦闘の余波とおぞましき穢れの魔物の襲来に野の獣すらも息を潜めた中、くつくつと笑う声があった。


「やあ、やあ。颯爽と出て行ったかと匂いを辿ってきてみれば……ははあ、さても醜態。笑えぬなあ」

「いやはや、熊にでも襲われたか……それとも獅子か……。ケダモノ畜生に負ける魔剣使いなど、聞いたこともないなァ」

「いやいや、実に洒落た手土産よな。『進むも止まるも足がなければ死ぬ』……足さえあればまだ半死半生とは、なかなかの心得者と戦ったらしい」


 外套を被った三人の男――いや、その裾を犬の尾が押し上げる三人の獣人たちは、声を顰めながらも獣笑いを零した。

 完全の草むらには、血だらけで這い蹲る黒死風。

 そうなっても未練がましく魔剣を手放さぬ有り様に、彼らは冷笑とも朗笑ともつかぬ笑みを向け合った。


「ほれ、ほれ、睨むな。手酷くやられたのう。おなごのように丁重に連れ帰ってやるわ」

「おうよ。いやはや、なんとも酷い有様じゃの。その毛皮なぞ、なんともボロ雑巾の方がマシに見えるぞ。情けないなァ」

「おうおう、気を強く持て。途端に死なれては適わんからな」


 身を屈める三人へ、視線の先の黒死風の口が動く。

 パクパクと声も出ないその囁きに彼らが顔を寄せれば、


「……お前、老いた親がいたな。お前は病がちの娘、お前は寝たきりの妻」


 そんな、呟き。

 僅かに眉を上げる三人は――……それにて仕舞であった。

 ごとりと首が落ち、斜面を転がっていく。ぷしゃ、と胴から噴水めいた鮮血が上がる。

 血に濡れた剣糸が夜の闇に冴えるのを眺め、黒死風は飢えた獣の憤怒と嘲笑を口から漏らした。

 獣人の生命力ゆえ、再帰不能となるかは五分。否、十中八九は後遺症が残る再帰不能。だが、それでも、同じ庄の幸せ者どもを屠れたのだ。

 即ち、天命である。ここで彼らを屠れたということは、まだ、終わってはおらぬということ。終わるのは彼でなく、相対した側だということ。

 己を捕食者と核心させる殺戮に薄ら寒い優越感と歪んだ自尊心への餌が与えられ、腹から震えが込み上げる中、


「やーやーこんにちはー。そんなに怪我してどうしたのかなー? 医者にでも連れてって欲しい? どう? 楽になりたい?」

「あ……?」

「いやー、手酷くヤられたねぇ。怖いねぇ。……ああ、怖い怖い。やっぱり戦いなんてするもんじゃないねぇ。剣なんて、軽々しく抜くもんじゃないねぇ」


 底抜けに力の抜けた言葉。

 剣を片手に黒死風を見下ろす華奢な体躯の少女は、二つに括った茶髪を背中に流している。野暮ったい衣装に身を包んだ覇気のない少女だった。

 その薄ら笑いに、即座に彼の本能は着火した。全身を襲う強烈な痛み。そして触手使いなどに敗北した屈辱は、対価を求めていた。


「見下ろしてんじゃねえぞクソが……! おめーが命乞いをしろ……! オレじゃねえ……お前が、オレの分までッ! 塗り潰すように命乞いをしろ! オレ以外で命乞いを使い尽くせッ!」


 展開した剣糸が、少女の身体を跨いでその後ろの木々へと接続した。

 即ち、必殺。

 吐息を漏らした少女もまた剣を握り、そしてその射程に黒死風も収まっているが……その剣は何ら脅威たり得ない。

 斬撃そのものである剣糸は、魔剣すらも破壊する。如何に振り付けようとも、彼我の間を遮る剣糸により少女の攻め手は全て死ぬ。

 剣術殺しの蜘蛛神の魔剣だと、黒死風は確信し、


(うた)え――〈赫血の妖剣(スクレップ)〉」


 ――――直後、後悔した。

 毛が逆立ち、痛みを忘れる。あらゆるものが終焉に至り、万物がただ終点に達する。

 露わとなる錆だらけの刀身。朽ちかけた刀身。それは、ただ、死であった。

 これなるは死出の餞別。これなるは滅びの先駆け。これなるは絶死の妖剣。

 血に錆びた刀身が告げる。

 我が名は全ての魔剣を討ち滅ぼす剣。我が名は無常を告げる剣。我こそは死告の魔剣――。

 即ちは神殺し。即ちは魔剣殺し。即ちは万象殺し。相喰わむことこそ我が天命。

 いざ、人の子よ、祈れ。

 高らかに歌う切っ先が、横薙ぎに振るわれるままにそう叫ぶ――――。


「遅えッ!」


 しかしさりとて、黒死風もまた殺戮者。振り下ろす剣は、達する剣は、彼が早かった。

 鮮血が吹き出る。

 少女の身体は確かに斬り刻まれた。七つに卸された。死んだ。確実に死んだ。魔剣も断たれた。壊れたのだ。

 だというのに――……謳う。呪歌の如く謳う。歌が聞こえる。

 それは、幻影なのか。

 横薙ぎに――()()()()()()()()()()


「……………………ぁ、?」


 呪いめいた唸り声がひとつ。剣風が横向きに吹き流れて――ごとり、と獣の首が落ちる。

 死したるは黒死風。

 脳への血液が失われる中、彼は考えた。いや、ただ呆然と己という存在が無になることを理解する中で、疑問と困惑を抱いて果てた。

 月光の下、立つは一人。()()()()()少女が一人。

 確かに斬った筈だというのに……()()()()()()()()()()()()()()


「……はぁー。やだねー、人斬りとか。あーやだやだ、やっぱ斬らずに済ませたいよねー……なんてね。冗談だけどさ」


 どこまで本気なのか、アルモリアは首を回しながら納刀を済ませた。

 錆だらけの妖剣もまた、歌声を止めて眠りにつく。彼女の次なる聖約(ゲッシュ)まで、その刀身は現れない。


「んじゃー、とりあえず街まで戻りますかね〈赫血の妖剣(スクレップ)〉。仕事も増えちゃったけど……あー、あの娘も見付けないとねぇ」


 軽快な足取りで戻るアルモリアの背後、首を失った死体が膝をつく。

 もう、誰も彼を顧みることはない。いずれその記憶も、誰からも忘れ去られるだろう。

 そして同じ時期――ある宿屋の台帳から、一人の客の名前が消える。

 ……いや、その店だけではない。その近くの店も遠くの店も、宿屋以外も、話す言葉も、竜の大地(ドラカガルド)全土から失われる。

 ■■■■・■・■■■■■という名前は一切合切――この世の全てから()()()()()()()()


◆「ワンス・アポン・ア・タイム・ホエン・ブレードランナーズ・ラン・ブレード」終わり◆

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