二人称
ハーレムのお兄さん、登場です(*´∀`)
(あースッキリ、スッキリ)
実はアンデットに登場したキャラと深く関係しているのですが、アンデットを完結させるまでにかなり時間が掛かりそうなので、飛び出し出演です(*´∀`)
(すみません。出したかっただけです……)
貴方は中世ヨーロッパに存在するような食堂の中に居る。眼前に座るは看守服の男。食堂と看守服……どう考えたって釣り合わない……。貴方はそう思って小首を傾げた。
それに対し、彼は柔和な表情を更に際立たせるように、目尻を下げた。
「ふふっ、そんなに緊張しないで下さい」
柔和な顔に似合いの、穏やかな声。やや長めに伸ばした髪は肩スレスレを行き交っている。一言で言うと、美声年……街を歩けば女の方から声をかけられそうだ。
「ねぇ、貴方の名前をまだ聞いていないの」
「あぁ、すみません。私は“アレニエ・シェーヌ”と申します。また何処かで会える日が来たら、宜しくお願い致します」
──ふぅん……何処か……ねぇ……。
貴方は適当に頷くと、出された紅茶を啜る。ほんのりと薔薇の香りがする。上品な味わいが舌を刺激した。
不意に“アレニエ”と名乗った男は急に立ち上がり、食堂を後にした。『客人を残して行くのか……』という貴方の思想は、彼には一切届いていないようだ。しかしその思想は真逆に反転した。
「茶菓子の準備がまだでしたよね。うっかりしてました……」
──なる程、少し抜けているようでしっかりしている。
貴方は其処まで考えてから目を見張る。主に菓子受けを乗せた手から視線を下に向けた辺りで。
「アレニェにぃ。私にも一つ」
赤ずきんの格好をした、小学校上級生ぐらいの幼女が腰にぴったりと纏わりついていたのだ。アレニエと言い、幼女と言い、コスプレする趣味でもあるのだろうか。
幼女は貴方に目を走らせると、少しだけ頬を膨らませた。
「アレニェにぃ、浮気した」
「してませんよ。もしかして嫉妬してくれてます?」
アレニエは少し驚いたように目を見開くと、クッキーを摘み、幼女の口の中に入れた。クッキーを噛み砕きながら、幼女はがくがくと頷く。
──浮気って……。
何故か愛人扱いされた貴方は眉間に皺を寄せ、テーブルに頬杖を着く。見た目は可愛いが、初対面で喧嘩を売るような奴とは仲良く出来そうもない。
「少なくとも、私とディエスと姉さんは好いている。じゃなかったらべたべたしない。ディエスと姉さんとは長い付き合いだから許すけど、他の女なら嫉妬して当然だ」
幼女は頬を膨らませると、そっぽを向いた。男口調に反して嫉妬深いようだ。
「ごめんなさいね。お暇させて貰うわ」
貴方はそう言ってこの場を後にした。
─終─
“貴方”となっていますが、高飛車な女性をイメージして書きました。
……ツンデレも高飛車も難しいなぁ……(´・ω・`)
アレニェ兄さん、今は優しいけど、時と場合によっては豹変してしまうからなぁ……(;´Д`)
(アレニェ兄さんも幼女も実は人外です)
小ネタ
アレニエとはフランス語で“蜘蛛”、シェーヌはフランス語で“鎖”を意味します(・∀・)