【第11話】シスター・アリアとの出会い(引き続き三人称)
滅茶苦茶久しぶりの更新なのでここまでのあらすじを…
前世でデパートの警備員をしていた黒崎 悠希(23)自爆テロに巻き込まれて命を落とす…
が、気付けば異世界に居た、それも、人間(帝国)側の勇者らの手によって崩壊した魔界の姫を守る魔族勇者(ショタ狐っ子)として!!
魔姫であるティエサ(ダークエルフ)や近衛騎士のサクラ(龍人)、それと途中で出逢ったメイド長(上位武具精霊)のノエルと共に命辛々逃げ出した一行は残りの近衛騎士のヴィクトル(ロリニャルラトホテプ)やメイドのルーシー(ショゴス)と合流してウィンドル王国へ亡命した。
王都にて王国の特務騎士であるステラ&フレイアと練習試合をするも悠希は惨敗(試合自体は怒ったティエサ姫の圧勝)、それでも自分は姫様を守りたいと決意を新たにした。
最初はまわりに男の子だと思われていたものの、銭湯にて実は悠希が女の子だったと判明、元々百合気質だったティエサと悠希は急接近。
とりあえず魔界は姫様さえ生きていれば何とかなるとの事なので生計を立てる為にハンター生活を始めた。
そんな中で前世の知り合い(ただし平行世界の人物)である敦と雪華に再会(?)した悠希は二人の暮らす孤児院に向かう事になったのだった…
―ギルドへ帰還した一行は、報告を済ませて報酬を受取り、アステルとリアの嫁であるアリアがシスターを勤める教会の孤児院に向かっていた。
因みに、ノエルはギルドからの緊急依頼で魔法薬作成におわれている為、この場には居ない。
本来ならティエサにも召集がかかっていたのだが、何故ついて来ているかと言うと、珍しく『ユウキから離れたくない』とわがままを言った彼女に対し、ノエルが『では、私が何とかいたしましょう』と請け負ってくれたからだ。
「―パラレルワールドって言ってもやっぱり敦や雪華は根本的に変わらないんだね。」
「そう言う悠希君もねっ!!
やっぱりボクの知ってる悠希君だよ!」
「ああ、間違いなく俺の知る悠希と変わり無いな。
“利佳を知らない”以外は。」
「うーん…その『音無利佳』って娘は一体どんな人なの??」
「うーん…?」
ユウキの質問に、唇に人差し指を当てて唸ったリアが答えた。
「…一言で言えば『乙女ゲームの女主人公』かな?」
「容姿は“自称普通だがその実可愛い系の美人”
前世でも今世でも俺や雪華、悠希以外にも蓮や智秋…この世界ではキアスって奴等にも好かれていた。
その中から前世と同じく俺と雪華に惚れて嫁になった。
性格的には献身的…だな。
因みに、櫻子…この世界ではステラとも友達だ。」
「なるほど…
それと…やっぱりステラさんは櫻子だったんだ…。」
「むっ、ステラを知っているのか。」
「うん、練習試合で剣も交えたよ?
でも、櫻子は僕だって気付いてなかったなぁ…。」
「…まぁ…今のお前の容姿(=ロリ狐っ娘)じゃあな…。」
「あはは…;」
そう言ったアステルはため息をつき、リアは苦笑いだ。
対するユウキとティエサは首を傾げる。
「あ…では何故お二人は彼が『悠希』だと気付けたのですか?」
ティエサの疑問に対してアステルは直ぐに答えた。
「死ぬ直前まで、背中と命を預け合った相手を、そう簡単に忘れるかよ…
「「…えっ?」」
「アステルの言ってることは事実だよ。
ボクとアステルの前世では、戦時中だったんだから。
それだけに…ボク等の世界の悠希君だけが転生して来ないのは残念…あっ、でも別に君じゃあダメって訳じゃ無いし、無理にボク等に合わせなくて良いからね!?」
そう慌てた様に付け足すリア、アステルもそれに続ける。
「それから、櫻子に関してだが、アイツは恐らく平和な日本から来たのだろうな。
戦争の事も、リアの秘密…実は前世では幽霊で、今世でも魔法で男のふりをしている女である事も、何一つ知らなかったのだから。
だが、それは別として、単純にステラはお前が『悠希』である事を認めたくないだけなのかも知れない。
ステラの世界での『悠希』は、ステラを庇って殺されたらしいからな。」
「えっ!?
じゃあ…やっぱりステラは…また違う世界の櫻子なんだ…!
だって、僕の世界の櫻子は23歳になった今もまだ生きているんだから!!」
「…『この世界』はますます謎だな…。」
各々の持つ情報を交換し合った一行は、寧ろ分からない事が増えてしまった…
やがて、孤児院に着いた一行は、教会から飛び出してきた人物に突撃された。
が、アステルが“それ”を難なく受け止めた。
「おかえりなさい敦 !雪華!今日も無事だったのね!
さぁ、パンとスープを用意してあるからとりあえずそれで―あら?姫様じゃない♪…と、この狐ちゃんは…?」
「ああ、それについては食べながら話そう。」
「利佳ちゃん!今日のスープはなぁに?♪」
「たっぷりチーズのトマトスープよ!
じゃあ敦、この“悠希似の狐ちゃん”について、しっかり説明してね?♪」
そう言ったアリア…いや、『利佳』は、鼻歌をしながら『悠希』と『雪華』の手を引いて教会へと入った。
それを見る『敦』は、珍しく口角を上げてその後を付いていった…
そんな皆を、少しだけ疎外感を感じながらティエサは見ていた…。
「わぁ~…!」
ユウキ達が食卓へ案内されると、そこには湯気を立てる美味しそうなスープと、楕円形で切れ込みのあるパンが置いてあった。
「ふふっ♪今、貴方達の分も用意するわ♪」
「うんっ♪」
「ありがとうございます。」
一旦奥へ行った利佳は、直ぐに別のパンとスープを持ってきた。
「さぁ、子供達にはもう食べさせたから、沢山めしあがれ♪」
「「いただきま~す!!」」
「「…いただきます。」」
悠希は全く気にしていなかったが、この孤児院の運営は、闇帝と治癒帝である敦と雪華、そして光帝である利佳自身の莫大な報酬で成り立っている、その為、他の孤児院よりかなり水準の高い生活になっていた。
その気になれば下級から中級貴族並みの生活だっておくれる。
…それでも、利佳はごく一般的な水準の生活をおくっていた。
理由は単純に、華やかな生活が当たり前に思った子供達が社会に適応出来なくなってほしくないから、だ。
…食事がある程度済んだ所で、悠希はさっきから気になっていた事を訊いてみる事にした。
「あっ、そう言えばティエサちゃんとアリアさんって知り合いだったの?」
「あっはい。
アリアさんも同級生なので。
因みに生徒会長でした。」
「Σ生徒会長!?」
「昔の話よ?
こんな私が会長なんてやれたのはアステルやリアが支えてくれたからだしね。」
「それでもアリアは優秀な会長様だっただろう。」
「そうかなぁ…?
でもさ、優秀かどうかは別として、一人で悩まずにちゃんとボク達を頼ってくれたのは嬉しかったよ?」
「もちろんよ、私は貴方達が居てこそなんだから♪
これからも頼りにしてるわよ?」
「おう。」
「うんっ♪」
「「・・・・・;」」
そう言って見つめ合い始めてしまった三人を悠希とティエサは苦笑いで流し、二人で話を続ける。
「ティエサちゃん、生徒会って他には誰が居たの?」
「他のメンバーは犬の獣人のレンさんとダークエルフのキアスさん、それにステラさんですね。
後、一応わたしも所属してました。
とは言え当時は次期魔王として色々忙しかったので殆ど参加していませんし庶務でしたが。
役職は会長がアリアさん、副会長がアステルさんとステラさん、書記がリアさんとレンさん、そして会計がキアスさん、でしたね。
蛇足ですがノエルお姉ちゃんは『料理部』や『裁縫部』と言った『家庭科系文化部』の掛け持ちでしたよ。」
「流石ノエルお姉ちゃん♪」
「…ユウキってやっぱりシスコン気味ですよね…?;」
「当たり前だよ!
だって…ってあれ??何でかな…?;
兄より姉の方が何億倍も素晴らしいって思うんだけど…まっいっか♪」
「…?」
(あれ…?そう言えば、さっきからユウキはノエル様が居ないのに『甘えんぼモード』から戻っていませんね…。)
「それより、学生時代のティエサちゃんを見てみたいなぁ…なんてね♪」
「良いですよ?」
「えっ!?良いの!?」
「ええ、ほら、私はお父様に成長を止められていますからね。
学生時代の姿のままですし。」
そう言ったティエサが軽く指をふると、着ている服が制服に変化した。
今のティエサの服は、トップが白いワイシャツの上から灰色のブレザーで胸元には赤いリボンタイ、ボトムスは緑色でチェック柄のスカートだ。
「どう…ですか…?///」
「ありがとうございます!!!」
はにかみながらそう言って首を傾げるティエサに対して、
食いぎみにそう言った悠希は親指を立てて良い笑顔だ。
「そうですか…♪」
「あぁもぅティエサちゃんかわいすぎっ!!」
「「「・・・・・。」」」
見つめ合い(アイコンタクト)が終わった三人はそんな二人を微笑ましく見守る…が、突然教会の扉が乱暴に開かれた事によりそんな時間は吹き飛んだ。
全員が扉に駆け付けると、そこに居た息を切らした男の子が必死な表情でアリアに縋り付く。
「シスターアリアッ!!」
「あら…?貴方は道具屋さんの息子さん…?
子供がどうしたのよこんな時間に!」
「たっ…助けてよシスターッ…!
家が…家がぁぁっ…!」
「っ!!行こうアリアちゃんっ!!」
「落ち着けリア。
どうしたんだ、ジム。」
「家に…怖い人がたくさんっ!!
パパとママが死んじゃうよぉぉ…!」
「賊…!?
アリアさん!!僕も手伝うよ!!」
「落ち着け悠希、ここはアリアと俺に任せろ。
市街地や家屋内での戦闘はアリアの十八番だし、怪我人の手当てもアリアだけで充分過ぎる。」
「えっ!?」
「とにかく行くわよアステル!!
姫様とリアはジム君を頼むわ!!」
「はい!!」
「うっうん!!」
言うが早いがアリアは修道服のまま街へ駆け出した。
悠希は一瞬迷ったが、大人化+男体化した姿に変身して後を追う。
「…アステル。」
「ああ。」
道具屋へ着いた二人は短く言葉を交わすと、アステルは音を立てずに扉へ張り付いた。
そしてアリアは裏口へ周る。
悠希もアリアに着いていこうとしたら―
「…メリーさん、居る?」
「わたし、メリーさん。
今、貴女の後ろに居るの。」
(!?)
いつの間にかアリアの背後には金髪碧眼で真っ白な肌の正に西洋人形な姿の女の子が居たのだった。
どうやらアリアの知り合いらしく、親しげに西洋人形と話している。
「うん、後ろは頼むわ。」
「メリーさんは貴女の後ろを守るの。
所で、貴方は誰なの?」
「えっ…あの…ユウキ…です…?;」
「わたしはメリーさんなの、よろしくなの。」
「あら…?悠希くんもついてきたのかしら…??」
「あ…うん。」
「うーん…今は危ないから、アステルと一緒に居なさい、貴女は隠密何て出来ないでしょう?」
「えっ…あ…うん…?;」
(いや、隠密行動が得意なシスターってのもどうなの!?
しかもメリーさんは金髪ですごい目立つし!!
それ以前にメリーさんって例の都市伝説でしょーっ!?;)
…と言うツッコミは何とかのみこんだ悠希。
そんな悠希の心のツッコミ等知るよしもないアリアは悠希の反応に一応納得したのか、メリーにも修道服を着せて建物の中へ入っていった…




