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外に出てはいけない~紅said~

ゆかり!アップルパイとレモンティーが飲みたい!」

「あ……もうおやつの時間ですね。すぐに用意しますよ。」


ここはビルギで一番大きな建物の地下。あたし、紅はいつも通り仲間と何気ない日々を過ごしていた。もう何年か太陽の下には出たことないけど健康に問題はないし、つまらないけどここは実験が思いっきりできて楽しかったりもするんだ。


「紅。少しは自分で動くようにしなくちゃ将来一人ぼっちになったときどうするんだ?」

「そのときは……そのときだもん!ていうか紫も真白ましろも何でも出来すぎなんだよ。」


そんなことないよ、とはにかむのはあたしのグループのお兄さんみたいな存在の真白。今アップルパイとレモンティーを用意してくれているのはお姉さん的存在の紫。


「……紫、さっきシャーモントのアップルパイ買ってきた……。」

「助かります。ありがとうございます。」


物静かな気の利くぎん。この四人であたしたちはグループを組んでいる。


この街に来た理由は新しい毒薬作りにここが最適だと真白に聞いたからだ。人も多い街なのに、紫が鏡でカバーしておくから大丈夫って言われた。紫は鏡の使い手で法を跳ね返すことが出来るんだ。結構前からあたしはここにいるが外に出たことはない。出てはいけないと真白に言われているから。


でも、本当は出てみたい。初めてここに来たときは賑やかで部外者のあたしたちにも優しくて温かい街だったから……。どうしてダメなのかは教えてもらえないが真白を怒らせるとすごく怖いので何も聞かないことにしている。でもいい加減飽きてきた。


銀が買ってきたアップルパイを頬張りながら紫の淹れてくれたレモンティーを一口。甘くて美味しい……。あたしにとってはこの時間が一番幸せで楽しいのだ。明日はミルフィーユが食べたいな……。



「真白くん、来てください!!誰かが来たようです!」

「……?お客じゃなくて?」

「……使い手です。しかも五人ほど…。」


真白と紫の顔が一変して二人はすぐに地上へ飛び出していった。何かあったろだろうか……。あたしも行こうと思って立ち上がったとき銀に止められた。


「どうして?あたしはどうしてここから出ちゃダメなの!?」

「……わからない……けど真白と紫がダメって言ってたから……。」


心配しなくてもすぐに帰ってくるよ、と普段あまり表情を出さない銀が微笑んだ。今回は仕方なくあたしは諦めることにするか……。お客さんなら一緒にアップルパイとレモンティー食べたかったな……。紫の淹れてくれたレモンティーはスッゴく美味しいのに。



「この場所に気づくってことは……恐らく魅影もいるんだろう?」

「当たりです。仲間でも連れてきたのでしょうか……?」

「まぁ、別に誰が来ようと関係ないんだけど。」


真白と紫がだるそうに話していることをこのときのあたしは知らない……。

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