仲間入り2~鎖乃said~
自分の教室ではいつも一人でいるので教室にこんなにも沢山の人がいることに気づいていなかったからか人が多くて私は驚き戸惑った。少女の机の前まで行くのも一苦労だ。
「鎖乃遅いよ。この子が雪月花。 薬の使い手で心が読めなくなる薬を作った子。」
「とは言っても完全ではないんです。時間が限られていて効果は30分ほどなんです。あ、初めまして雪月花です。」
なるほど、そういうことか。そういえば今年の使い手の中で優秀な生徒のところに薬の使い手っていたような気がする。
「こちらこそ初めまして……鎖乃です。」
一応深々とお辞儀をしておく。すると、雪月花は目を輝かせ渉と目を合わせていた。なんでも二人はずっと私に憧れていたとかで、いつも一人でいるかっこよさと吸い込まれそうな瞳に心を奪われたとかなんとか。
「私、話がしてみたかったんです。この度は仲間入りしてくださってありがとうございます。」
丁寧な敬語がすごく変な感じだ。後で渉に聞いてみたところ昔色々あってそういう話し方しか出来なくなってしまったという。
「い、いえ……。じゃあ、三人でいいの?」
「待ってください。私、もう一人あてがあるんです。その人もいいですか?」
……またか。一体どれだけ人を集めればいいんだ。私は一人で探したかったのに……。無理やり友達を作れと言わんばかりの神様のいたずらだよ。
「もう一人って誰のこと?」
「渉はきっと知ってますよ。まぁ、ついてきてください。」
自分より小さい雪月花にグイグイ引かれる。思っていたよりも力が強い。それにしても、どこに向かっているんだろうか。気づけば実技科の校舎から理論科の校舎に来ていた。理論科の人なのかな……。
「あれ、何で理論科に来てるの?」
「実技科だけど理論科の勉強に興味あるらしくてこっちによくいるんですよ。」
両方やろうとしているなんて余程の天才じゃないと不可能だけど?そんな人この学年にはいなかったはずだ。
「あ、いました!大和ー!」
「……!!」
……懐かしい、聞き慣れた名前。でも私はあのときの私じゃない。私はあの人を知っている。忘れるわけない……私の大切な人。でも彼は私を知らない、知るわけがない。あぁ、あのときに戻れたら……。
「鎖乃?大丈夫か?」
「あ、うん……。」
「雪月花がこの前仲良くなりたいって言ってた子?確か……鎖乃ちゃん。」
「そうだよ。大和も仲間に入らない?」
「仲間……?」
雪月花が共に宝魔石を探すためのグループを作っているんだと説明する。別にそんなものは作ってないんだけど……。
大和にだけはため口の雪月花に新鮮な感じになる。またまた渉に聞くと昔、大和に助けてもらったことがありその時から大和にはため口になったらしい。
「……や、でも俺は理論の勉強したいし……。」
「どうして?実技科の生徒なら理論の勉強なんかしなくても卒業できるけど。」
「……俺の彼女のためだから。」
……何といい人だ。だけど無情にも私は大和の本心を探るために彼の心を覗いた。