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スパイの耀〜妃茉莉said〜

気が付くとあたしは室内にいた。ミルクティーの香りがする。もしかして魅影の家かな……。


「目が覚めたか。」


魅影ではない声がしたので急いで起き上がる。ファーがついた青いフードを被っている少年が悪魔のような笑みを浮かべてこっちを見ていた。そうだ、あたし走ってる途中で気を失ったんだ。あまりにも速すぎて……。


「あなた……誰。」

「助けてあげたのにそれはねーだろ。俺様が助けなかったらお前今頃どうなってたか想像つくか?」


……恐らく死んでいたであろう。


「……ありがと。」


少年は照れながらそっぽを向く。意外と可愛いところもあるのかも。


しかし部屋は少し薄暗く少年の顔はあまりはっきりと見えなかった。白と黒のモノクロな部屋だからかもしれない。そこに不釣り合いなミルクティー。じっと見つめているとミルクティー飲むか?とマグカップを手渡してきた。そのときに顔をちゃんと見る。……右目が眼帯だ。


「ん?俺様の顔がかっこよすぎて見惚れてんの?」

「違います!……ていうか、名前何……。」

「俺様はかがり。法魔学園理論科158期卒業生だ。妃茉莉、お前のことは知ってるぜ。」


理論科の人か!!しかも、燿って聞いたことがある。確か……


「スパイの燿?」


理論科の中で最も情報収集に長けていたので理論科の誰かがそう呼び始めたんだ。その名の通り情報収集の天才で逃げ足がとっても早い。だから真白からも逃げられたんだとたった今納得した。


「どうしてこの街に?」

「どうしても何もここは俺の地元だからに決まってんよ。」


そうか、使い手は魅影一人だとしても理論科だった生徒がいる確率はある。だって彼等は使い手ではないから。


「そういえば妃茉莉はこの空気の中で息できてるよな。もしかして魅影の?」

「ええ。」


ずっとこの空気の中自然に真白たちと話をしているのに疑問を持った人もいただろう。実は魅影に等身大の闇をつくってもらって、眠気を誘う空気は吸い込み酸素は取り入れるようにしてもらっていた。過去に魅影が街の人々を助けようと頭に被せて回ったものと同じのを。


「等身大とはまた魅影らしい。ちなみに俺様は魅影と幼馴染みだ。」


だから燿も息が出来ているのか。何で燿が息できてるのか不思議だったんだ。


「……とりあえず、気を取り戻したんならそこで大人しくしてろ。俺様は様子を見てくるから。」

「で、でも使い手じゃないのに近づくなんて……!」

「俺様を誰だと思ってんだ?逃亡のプロだぜ?」


……その言い方だと思いっきり悪者なのだが……。


「じゃ、じゃああたしも行く!」

「はぁ!?お前はここでいろよ!俺様の首を絞めるつもりか!?」

「……だって……。」


行ったら燿の首を絞めることになるのはわかってる。でも今までずっと助けてもらってばかりだった。自分一人じゃ逃げられない。これから先少しでも自分で逃げられる力がないと本当に迷惑をかけてしまう。いつか死者がでるかもしれない。そんなことになってしまったらもう取り返しはつかなくなる。


「あたしは……そんなの嫌だから……。」

「……ちっ。ったく、しゃーねーな。絶対に俺様の側から離れんじゃねーぞ!」

「うん!」


あたしも……ちゃんと使い手の側で使い手の援護を出来るようになる!

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