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手強い相手~鎖乃said~

「魅影、ビルギで一番大きな建物ってどこ?」


妃茉莉が唐突に魅影に聞いた。魅影が指差したのは頭ひとつ抜けている大きな建物。ビル……?いや、マンションか……?


「あそこだけど……何で?」

「この街だけ睡眠効果のある空気ってことは誰かがこの街だけに閉じ込めてるってことでしょ?数年間閉じ込められるとしたら……鏡の使い手。」

「鏡の使い手なんていんの!?俺、初めて聞いた!」


鏡の使い手……名だけ聞いたことがある。あまり戦闘向きではない使い手だがその子の持つ力がとてつもなく強いため、戦闘としても役立てることが出来るという優秀な生徒だったはずだ。

確か名前は……。


「鏡の使い手、紫……?」

「多分その子だね。後、街に素早くこの空気を流すために風の使い手もいると考えられる。」

「あ、俺そいつと仲良かったぞ?風の使い手、真白だ。いつからかいなくなっちゃったんだ。」


大和の言葉を聞いて妃茉莉は確信を持ったように頷いた。つまり妃茉莉が言うには睡眠効果のある空気を早く充満させるために一番大きな建物の上から風を撒き散らしたらしい。


「よって、そこで定期的に睡眠作用のある空気を街に流すとしたらそいつたちは多分そこの地下にいる。」

「じゃああたしが案内するから早く行こう!!」



「嫌だ嫌だ嫌だっっ!!何であたしまで行かなくちゃならないのよ!?」

「妃茉莉がいなくちゃもしも頭脳戦になったときどうするの?妃茉莉が一番頭の回転早いんだから。」

「嫌だ嫌だ嫌だ!!鎖乃だって頭の回転早いじゃん!それにもし戦闘になったらあたしホントダメだって!!」


出発してしばらくたったあと、妃茉莉はこれ以上は近づきたくないと言い出した。ここから先、使い手じゃない妃茉莉は街の人に聞き込みしたいと言ったからだ。確かに使い手じゃない妃茉莉が戦闘に巻き込まれたときは可哀想なくらい狙われて一生懸命逃げてる印象しかない……。けれど、私と魅影は断固として反対だった。この街に一人は危険すぎる。

だからといってこのままついてきても危険じゃないとは言えないし……。



「あれ、思ってたより多いな。使い手がこんなに来るとは珍しい。」

「私たちのこと捕まえようとしてるのかしら。酷い話です。」


目の前に佇む二人の男女。眼鏡で紫色の艶やかな髪をサイドで三つ編みにしているのが特徴の少女と、白髪の綺麗な紺色の瞳を持っているのが特徴の少年。

先ほど話していた紫と真白で間違いはなかった。


「あれ、懐かしい、大和?久しぶり。」

「真白……お前これどういうことだよ?」

「個人情報の詮索はあまり好みじゃありません。とりあえず私たちのことをどうするつもりでいらしたのですか?」


どうするも何も私個人の目的としてはこの人たちを追っ払って街の人に法魔石の情報を聞くことなのだが……。心の声を聞く限り魅影は……犯罪として捕まってほしい、永遠の眠りについた家族や街の人にしたことを償ってほしいと思っているみたいだ。


「紅はどこ!?あの子がリーダーでしょ!?あの子を連れてきてよ!」

「紅はここには来ない。その代わり君たちが僕と紫を倒したり隙を見て紅の元に行くのは許可しようじゃないか。」


妃茉莉が小声で、彼らは法魔学園にいたとき実技科でも理論科でも高く評価されていた、と私に言った。なかなか手強そうな相手だ……。

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