出会い~?said~
私は元々ここの学園には不釣り合いの人間だった。能力は特にない上に特別頭脳明晰という訳でもない。でも私は法魔の使い手になりたかった。
法魔の使い手とは簡単にいう魔法使いではあるが、魔法とは違って専門の法しか使えない。例えば炎使いなら炎の法を、水使いなら水の法をといった感じだ。普通の学校に通っていた私には縁の遠い話。……のはずだった。
ある日のこと、法魔の使い手は危険な為一般人に近づいては行けない、普通の学校に来ては行けないという規則があるのに、外の渡り廊下には紛れもない法魔の使い手が立っていた。
深刻な顔をして柵をしっかり掴んでいる。精神不安定者かな?
「……あの、ここ普通の学校ですよ?先生にバレたら怒られちゃいますよ?」
恐る恐る話しかけると少女はゆっくりと振り返る。私は澄んだ綺麗な瞳で吸い込まれていきそうな、心の中を覗かれるような感覚に陥った。
「…あなたは私が法の使い手だとわかっていて話しかけたんだよね?私がどんな法を使えるかも知らないのに話しかけるというのは命知らずだから気を付けて。でも、話しかけてくれてありがとう。」
柔らかい笑顔を私に向ける。その笑顔に思わず女の私がときめく。これは反則だよ……。
「私は鎖乃。心の使い手。心が読めたり心を伝えたりすることが出来るの。」
「……使い手って名乗ったらダメなんじゃなかったですか……?」
「いいの。さっき私があなたを覗いたら優しい心の持ち主だったから。それに多くの人に慕われている。」
心の使い手さんに言われると何だか嬉しい。確かに私は今まで色んな人を助けてきた。でも、それは全部私のお節介だから慕われてはいないと思ってた。慕われているんだ、私。良かった……。
「私ね、もう生きるのやめたいの。心の使い手は負担が大きい。相手のことが全てわかるなんて嫌だし、怖い。もう……。」
「生きることは大切です。きっと、能力の制限だって頑張ったら出来ると思います!」
「……じゃあ、私の身体と交換しない?さっきあなたの心から未来を予想したんだけど、あなたはこの後不慮の事故にあう。今、魂だけ入れ替わればあなたはずっとなりたかった使い手として生きていける。これなら私の願いもあなたの願いも叶う。」
この人は何を言っているんだと思った。私の魂は生き続けたとしても私の身体は使い手さんのものになる。使い手さんの顔は悪くないけど私は私の身体で生きていきたい。自分で自分の夢を叶えたい。
「私は、今の自分のままで生きていきたいんです。」
「でもそれはもうすぐ叶わなくなる。言ったでしょ、不慮の事故にあうんだって。」
そうだった。そんなもの当然信じるつもりはないが、何故かあのときの私は信じきっていた。なんでか本当にそうなる気がしたから……。
「……わかりました。」
彼女はうっすら笑みを浮かべ、あなたの未来にいいことがありますように……と少し厨二な発言をした。
そこから私の新しい人生は幕を開けたんだ。
結局新しいのを投稿することにしました。畑中 優月です。
またしてもファンタジーですが「傘持つ少女と紺碧の少年」とはまた違った雰囲気のものにしていきたいと思ってます。よろしくお願いします。
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