お礼小咄 石川九衛門助教授による関西弁講座 文学部石川助教授シリーズ番外編
○お礼小咄 石川九衛門助教授による関西弁講座
「センセ、大阪弁教えてくださ~い」
「ん、なんや、またおしゃべり雀どもがヒトの昼寝の邪魔しにきよったんかい。今度はなんや?」
「ひっど~、アタシたち、<クエモンとフジコちゃんを生温く見守る会>をつくったのよ~。
センセのこと、応援してるからね。頑張ってね。」
「そら、おおきに。んで、なんや、教えてほしいこと言うのんは?」
「センセ、大阪弁上手でしょ?アタシたち、フジコちゃんの前で大阪弁しゃべって、慣れてもらおうと思って。だから教えて。」
「ナニ言うてんねん、あのヒトかて大阪弁しゃべれるがな。下手したら、ワシより上手いで。」
「え~、ショック~、フジコちゃん、大阪弁しゃべっちゃうんだ~。」
「せやけど、何か習お、いう心がけはほめたる。何でも教えたるで。」
「ん~、じゃあ~、難しい大阪弁ってどんなの? アタシたち、テレビで観て大分話せるようになったのよ、あ、違った、話せるようになったんや」
「あかん、アンタラのんは大阪弁やない。ほな、これ言うてみ。
これはチャウチャウとちゃうちゃう。こんなんはチャウチャウちゃうんや。こっちのが、チャウチャウとちゃうんちゃうか?」
「いや~、ナニいってるかわかんない~」
「せやろ、大阪弁はむつかしいんや、コレ言えるようになってから、出直しといで。ほなな~。」
***
○お礼小咄 石川九衛門助教授による関西弁講座(上級編)
「センセ、また大阪弁 教えてください!」
「なんや、お喋り雀Aか。今日は他の雀たちはどないしたんや?」
「センセ、またもやひど~い。私、今日はセンセに折り入ってご相談があるんデス。だから一人で~す。」
「その、折り入ったご相談とやらを、1分以内にまとめてみい。」
「センセ、とってもひど~い。私、ゼミの桐原惣クンが好きなんデス。だから彼とうまくいく大阪弁を教えてください。」
「そんなもん、あるかいな。桐原いうたら、大阪弁ばりばりのイケメンやろ?アイツは腹黒やで。」
「イイんですっ。腹黒でも大阪弁でも、オトコはイケメンです!顔が良ければイイんですっ。」
「・・・そんで、どないなこと、教わりたいねん?」
「彼と一緒に出掛けたんデスけど、彼、私にひどいことばっかり言うんデス。あほとか、そんな事も知らないのかとか。私、悲しくなっちゃって。」
「アイツよりはオマエのほうが頭はマシやで。自信持ち。それに、今のはちょっと、アイツの言いたいニュアンスがオマエに伝わってへん気がするで。そんな言い方やなかったやろ?」
「ハイ、違いましたぁ。ケド、私、真似できまセン。」
「せやろ。これはこないだのと違って、上級編やで。
えっとなぁ、イケメンいうたら気障なもんやろ?歯の浮くようなこと、平気で言えんとアカンやろ?」
「そうデス。イケメンは気障でなくてはなりまセン。」
「東京もんやったら、たとえば、「キミ、そんなことも知らないんだ、バカだね。可愛いよ、チュ」となるわけや。」
「・・・セ、センセ、今の破壊力すごすぎ。腰、腰が抜けちゃいましたぁ。」
「なにあほなこと言うてんねん。それがや、今のを大阪人が言うてると想像してみ。「アンタ、そんなことも知らんのんかい。あほちゃうか」となっても、次に「可愛いよ、チュ」は来そうにないやろ?」
「・・・た、確かに。」
「大阪人はそう簡単に他人を誉めへんのや。「愛してるよ」なんていう言葉も使わん。」
「それはセンセだけでは?大阪人がみんなそうだなんて、悲しすぎマス。それに、センセ、フジコちゃんにはさっきの台詞、言ってるんでしょ?私、腰抜けましたもん。もう一回、言ってみてくだサイ。(ワクテカ)」
「・・・アカン、よう言わん。・・・さっきのは大阪弁で言うべきことを東京弁で翻訳してるだけ、と思いながらやから言えたんや。はなから、あんな気障なこと、言おう思て言えるもんやない。」
「センセ~、それ屈折しすぎデス・・・顔、赤くなってマスよ。」
ちゃんちゃん