プロローグ
用語解説
・POM プレイヤーオブザマッチの略称、ほかスポーツで言うMVP
・南ア ラグビーワールドカップ優勝常連国、人に例えると大谷翔平レベル
・クラウチ・バイン・セッ スクラムの際の掛け声、セッで押し合う
《ラグビーワールドカップ2029決勝戦、残すところ残り3分です!南アフリカが日本に5点差をつけリードしています、しかしワントライ&キックですぐに追いつけます。14年前のブライトンの奇跡と奇しくも同じ舞台、場内から日本コールがなり響きます!!!》
「クラウチ、バインド、セッ!」
『ウッ!!!』
フォワード同士のぶつかり合い。南アフリカが押す、負け時と日本も押し返す。ついに南アフリカのハーフが玉を出す、バックス陣が勢いよく、一列で、ゴールラインめがけて走りだす。
《ボールが出た!南ア9番ジョセフからウイングのドルジに回った!》
すかさず日本の7番渡辺が止めに行く、それに続いて6番後藤も止めにゆく。
《ラスト2分半!場内から日本コール!ああっ!ボールがこぼれた!変わって日本ボール続いてます!》
一転攻勢、日本の猛攻が始まる。密集を作ってそこに集中させては外に回すの繰り返し、そしてついにその時は訪れた。
《ラストプレーを告げるホーンが鳴りました、ボールはまだ日本が持っています!史上初の世界一に輝くか日本!!》
9番三田がボールを出す、10番星野にわたり11番を飛ばしてその後ろにいる12番瀬田にわたる、南ア代表のタックルが決まるわずか、ほんの僅か前に10番星野にボールは渡った。
《星野がゆく!》
ゴールまで30M程、相手ディフェンスライン13番と7番が待ち構えている場所に突っ込んでいく。
10番はスタンドオフ、いわば司令塔の役割を持つ。ラストワンプレーの中司令塔が密集に入るとうまくボールが回らなくなる。
しかし彼は相手に突っ込まなかった
ふわりと弧を描くきれいなキック、それは13番と7番の頭上を半円を描くように飛ぶ。
場内には悲鳴と歓声が入り混じる。
ボールを星野がキャッチした瞬間、試合は決まったようなものだった。
25Mを駆け抜けていく、14番がタックルしてくるもきれいにターンし交わしゴールへと近づく。最後の砦フルバックが待ち構えている、そのタックルをいとも容易くハンドオフで叩き落とし。
「ピィーーーー!!!!!!!」
トライをしらすホイッスルの音が場内にけたたましく響き渡る。
ついに同点に追いついた、このキックが決まれば....史上初の優勝。
存分に時間を使い皆が見守る中星野はキックを決めた。
「ピ.......ピピピィーーーーー!!!!!!!!」
ホイッスルの音は試合終了と、日本代表の史上初の快挙を祝うものでもあった。試合のPOM※に選ばれたのはもちろん決勝点を決めた星野。
その日の日本は稀に見るラグビー旋風を巻き起こした。
そして、星野の17歳時の未成年飲酒の画像と動画がインターネット上に出回ったのは優勝から2ヶ月も立たない頃だった。




