表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

被害者と加害者

 未來王の親友、

 冥界(インフェルノ)の魔王・ディス。

 未來王に問いかける。


 「ねえ? トレジャン……、

 どうして人間は同じ過ちを繰り返すの?

 どうしてこんなに愚かなの?」

 

 未來王、

 ネオ・トレジャン・ヴェルセント・マイタレイヤ。

 返答する。


 『ハハ、確かに……。

 懲りない生命体ですよね』


 「だってね?

 天誅(てんちゅう)だとか、

 前世の罰とか、因縁だとか……?

 そんなこと、まだ言ってるのよ?」


 『面白いですよね?

 仮にその定説が正しいとしても、

 根本的な問題がありますね。

 なぜ先祖の過ちの代償……、

 支払うのが子孫?

 なぜ覚えのない過去世の罪……、

 反省猛省(はんせい)をさせられる?

 挙げ句に、高額な代償金を支払わされる……。

 それも得体(えたい)のしれない第三者団体を通じて、です」


 「ホントよね!

 ()(とう)に生きている人間が損をする……、

 嫌な世の中よね?

 搾取されて、思考さえも奪われて、

 それで人生終わりなんて……、ねえ?」


 『少なくとも、

 先祖の因縁とやらで(ばち)を当てることはありません。

 死没後、劇甚処罰を喰らうのは当事者です』

 

 「ンフフ……、

 悪人……、アタシがただじゃ置かないわ?

 あらゆる事件の首謀者、戦争の主犯たち、

 影響力のある危険思想家、

 善を装った悪……、とかね?」


 『残念なことに人間は……、

 被害者にも加害者にもなり得ます。 

 善人であるつもりが悪人だった。

 被害者のつもりが加害者だった。

 自我(エゴ)審判(ジャッジ)が異なる……、

 それは往々(おうおう)にして珍しくないですね。

 最悪なのは……、

 なぜ(おのれ)(ばっ)せられたのか?

 それさえ理解できない人間が居ることです』


 「ホント!

 ムカつくわよね?」


 『諸悪や罪人に対して、憎む心があるのは当然です。

 しかしながら、

 行き過ぎた正義、過剰な矯正(きょうせい)

 それらは心を(すさ)ませます。

 それは被害者が加害者に転じた瞬間でもあります。

 憎んでいた罪人と『同類』になったのです』


 「その場合は仕方ないわね?

 どうせ転生の確率はゼロに等しいわ!

 無限の時間を使って処罰するしかないわよね?」


 『ディス……、

 それでも一縷(いちる)の可能性があれば、

 掬いたいのです……』

 

 「ンフフ……、

 りょ~かいっ!

 ほかならぬトレジャンのためですもの……」

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ