良本と悪本
未來王の四大弟子のひとり、
極等級ウィザード・シップ。
未來王に問う。
「未來王、
人間界では読書離れが進んでいます。
これはデジタル化の弊害でしょうか?」
未來王、
ネオ・トレジャン・ヴェルセント・マイタレイヤ、
返答する。
『そうですね……、
それも一因としてあるかもしれません。
ですが、過激漫画や不健全図書は人気があります。
北向きの本を読む方は増えているように思います』
「なるほど、確かに……。
粗野で俗悪なものが巷に溢れています。
宜しくない傾向ですね?」
『いいえ、そうとも言い切れません。
多くの書籍を読破しましたが……、
大変、意義深かったです。
様々な分野、様々な視点、
ユニークで奥深い作品、数多くありました』
「良書と悪書……、
どうすれば見分けられますか?」
『ハハ、捉えかたは人それぞれです。
ですが、ひとつ言えるのは、
本物を知ってこそ、偽物と見分けられます。
偽物を知るからこそ!
間違わずに本物を掴むことができるのです』
「では善と悪、
両方……、必要だと仰せなのですか?」
『そうです。
善があるから悪だと分かります。
その逆も然り、です。
できれば、
多くの書物に触れることをおススメします。
間違いなく、人生を豊かにします』
「ですができれば……、
悪本は避けたいものです……」
『何事においても人生を踏み外す要因、
それは決めつけと思い込みです。
知識と知恵の加増は尊いです。
己を護る武器になります。
人生に深みが増します』
「残念ながら……、
簡単には知恵は増えません……」
『知識の足りなさ、
心の在り方、
探求するほどに、甚深であることを知ります。
深く知れば知るほど、分からなくなるのが道理です。
分からないことが多い……、
それは学ぶ姿勢がある、ということです。
ですから、決して恥ではないのです』
「では、良き人生とは?
如何なものとお考えでしょうか?」
『良き人生とは……。
風光明媚な景色を見渡し
絵画、彫刻、演劇等、多くの芸術に触れ、
好ましい音曲を味わい、
千載一遇の書物に出会い、
夢中になれる『何か』に打ち込み、
聡い友と交わる……。
これこそが至上なる人生です』




