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「顔が好み」で勇者にしてあげたのに、裏切られたのでラスボスになります  作者: さらん
第二章『神に見捨てられた国』

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最終話(エピローグ):名もなき世界で、君と


女神の消滅と、システムの崩壊から一年。

世界は、劇的に変わった。

最初の数ヶ月は大混乱だった。食料不足、疫病、暴動。


だが、人間は強かった。

魔法に頼っていた文明が崩れると、人々は泥にまみれ、知恵を絞り、自らの手で畑を耕し、家を建て直した。

その復興の中心にいたのは、かつて「無能」の烙印を押され、辺境に捨てられた高校生たち――ミナトのクラスメイトたちだった。


「おーい! 高橋建設! 西区の用水路工事、終わったかー?」

「おうよ! コンクリの配合、完璧だぜ!」


王都アルカディアの下町。

作業着姿の高橋が、汗を拭いながらサムズアップする。

彼らが地球の知識(と、農奴時代の経験)を活かして作った「上水道」と「コンクリート」は、魔法なき世界の新たなインフラとなっていた。


「……たくましいな、あいつらは」


丘の上からその様子を眺める、一人の青年がいた。

神崎湊ミナトだ。

かつての黄金のオーラも、圧倒的な魔力もない。

今はただの、少し剣が上手いだけの青年。背中には、大量の荷物(復興資材)を背負っている。


「サボってると、リリアーナ様に怒られますよ?」


後ろから、おにぎりを差し出す少女がいた。

田中美咲だ。

彼女もまた、ギルドの制服ではなく、動きやすい作業服を着ている。今は、孤児院の先生兼、ミナトの補佐役だ。


「分かってるよ。……でも、悪くない景色だろ?」


ミナトはおにぎりを受け取り、頬張った。


「スキルがあった頃より、みんな良い顔をしてる」

「ええ。……神様の『役』じゃなく、自分で選んだ生き方ですから」


美咲は、ミナトの横に並び、風に吹かれた。


「ミナト様は、これからどうなさるんですか? 国王陛下は『宰相さいしょうになってくれ』って言ってますけど」

「勘弁してくれ。俺はガラじゃない」


ミナトは苦笑した。


「俺は、世界を見て回ろうと思う。……システムが消えて、まだ混乱してる国がたくさんある。俺の『知識』と『剣』で、少しは手助けできるかもしれない」

「……ふふ。やっぱり、『勇者』様なんですね」

「よせよ。ただの『便利屋』だ」


ミナトは荷物を背負い直した。


「田中さんはどうする? ここに残るか?」


美咲は少し驚いた顔をして、それから悪戯っぽく笑った。


「置いていく気ですか? ……私の『状態異常』を治せるのは、世界で貴方だけなんですよ?」

「……それ、もう完治してるだろ」

「心の傷がまだなんですー。責任取ってください」


美咲は、ミナトの腕にギュッと抱きついた。

その体温は、確かに温かい。

システム上の数値ではない、生きた人間の温度。


「……しょうがないな」


ミナトは、まんざらでもなさそうに笑った。


「おーい! 神崎ー! 田中ー!」


下から、高橋たちが手を振っている。


「行くのかー! 土産話、期待してるぞー!」

「死ぬなよー!」

「達者でなー!」


ミナトは振り返り、一度だけ大きく手を振り返した。

空は青い。

かつて赤紫の雲に覆われていた空は、今はどこまでも透き通っている。


神はいない。

レベルもない。

正解のルートも、約束されたハッピーエンドもない。

だけど、道はどこまでも続いている。


「行こうか」

「はい!」


二人は歩き出した。

ステータスのない、名もなき世界へ。

自分たちの足跡(物語)を刻むために。

(『「顔が好み」で勇者にしてあげたのに、裏切られたのでラスボスになります』 ――完)


最後まで『「顔が好み」で勇者にしてあげたのに、裏切られたのでラスボスになります』をお読みいただき、本当にありがとうございました!


ミナトたちの物語は、ここで一旦の完結となります。

理不尽な神による支配を、バグ(裏技)でひっくり返すというテーマ、楽しんでいただけましたでしょうか?

彼らが勝ち取った自由な世界が、これからどう発展していくのか、想像していただければ幸いです。


そして……ここで【重大発表】です!


ミナトが異世界で派手に暴れ回り、神様を倒してしまった件。

実は、これを見ていた「別の神様」がいました。


それは、ミナトを勝手に連れ去られた「地球の管理者(神様)」です。

「ウチの大事な人材ミナトを勝手に引き抜いて、しかも返さないとは何事だ!」と、地球の神様はブチギレました。


その怒りの矛先は、同じように地球人を無断召喚している、別の異世界の神へと向けられます。

「二度と地球に手出しできないよう、貴様の世界を”内側”から崩壊させてやる」


地球の神が刺客として選んだのは、理を変える勇者ではありません。

ゲームの最速クリアを目指す、「RTAリアルタイムアタック走者」です。


【新連載予告】

『地球の神様、ブチギレにつき。 ~RTA走者は、完璧主義の神の世界を”最速”で攻略(荒ら)します~』


来週、12月26日(金)より連載スタート!


今度の敵は、自分の作ったストーリーに絶対の自信を持つ「完璧主義の神」。

そんな面倒くさい世界を、効率厨の主人公が「イベントスキップ」や「バグ技」で台無しにしながら爆走します。


ミナトの物語と世界観がつながっている新シリーズ。

ぜひ、楽しみにお待ちください!


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いや主人公達を迎えに行けよ
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