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ヘリオスキングダム①

魔王の収める魔族国領は北方にある極寒の地。されど魔王本人の膨大な魔力と、魔力を有する魔族の領民により、豊かな自然と住み良い環境が維持されている。種族によって適応する環境が異なるため、広大な領地の中でそれぞれに棲み分けがされ、またそれぞれの種族特性を活かした特産物を相互に流通させ、隅々まで潤う政策が取られている。

これらは全て、統治800年余を誇る魔王アシャル=ノト・シグナスによるもので、雪深い地でありながら、そこに住まう人々の暮らしは安寧と秩序が保たれている。


もちろん、人族との交流も盛んで、魔王国の南側にそびえる高い山脈を穿ち作られたトンネルと、その先の深い森を切り開いた街道をさらに南に下れば、人族の収める国のひとつへとたどり着く。


ヘリオスキングダム


太陽国とも称されるその国は、魔王国に隣接する玄関口でありながら、その北側には多くの魔物が蔓延る深い森と険しい山脈。西側には青砂漠と呼ばれる過酷な砂漠を有する厳しい土地でもある。


魔王城を文字通り飛び出した安曇は、魔王が統治する直轄領を一昼夜をかけて抜け出して、途中の街で合わなくなった服を新調し、魔王城から持ち出した貴金属類を換金して旅装を整える。

目立つ片角は、頭に布を巻くことで隠せば、魔王の養子として認知されている安曇であっても、急速に青年の姿に変わったのも相まって正体がバレることはなかった。


そうして国境付近の街までやってきたが、これまで追っ手らしい気配はなかった。念話を使えるシャルやその側近。また、飛竜を駆る竜騎士団等も有する魔王直属の配下たちが動いている気配もない。安曇は己の施した謀略が上手く機能しているのだろうと安堵の吐息を漏らす。


懐から取り出したのは、魔王城の宝物殿にて厳重に封印が施されていた、鬼族たちの秘宝。最悪が詰まった呪いの箱だ。複雑なパズルにようなそれは容易に解除することは出来ないが、古より伝わるその呪いの箱は、1度開けば辺りに悪意をばら撒くという。これを持ち出した安曇は、確実に追ってもらえることだろう。それと同時に、しばらく追っ手がかからないよう、他にも封印されていたいくつかの魔道具や呪具を魔王直轄領に隠した。もちろん、被害の出ないよう細心の注意を施して。

もとより魔王国を自由に動ける魔王の養子だ。魔道具や呪具の知識もこの100年で学んできたし、魔王は安曇に惜しみなくその知識を授けている。魔王にバレずに謀略を巡らす方法も、もとよりイタズラ好きの気質もあって周りに怪しまれない下地もあった。

安曇が魔王城を飛び出したあと、宝物殿からそれらが消えていることが発覚し、しばらくに間はその探索にかかりきりになるはずだ。安曇の動向は探られるかもしれないが、それでも国境を抜けることが出来ればしばらくの時間を稼げるはずである。


安曇は呪いの箱を再び懐に忍ばせ、顔を上げる。流石に、国境の関所を素直に通る訳にはいかないだろう。旅券もなければ通行証もない。ならば、魔族領と人族領を隔てる、この広大な山脈を踏破するしかない。

日の出とともに出立することを決め、準備を整えるために商店へと向かった。

続けられるといいな。

タイトル決めなきゃ。

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