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第6話

神速の名にふさわしく、ベルゼブブの速さは素のレオンでは全く視認することができない。ならばと、もてる限りの魔力を目に集中させ、動体視力を超強化する。


(見えたッ!)


レオンは扱える魔力の3割を余すことなく目と全身へと繋がる神経に魔力を纏わせ強化する


「グッ……」


視界を超強化したことによって視覚情報が今までの何倍も増して見えてしまう弊害。脳への異常な情報伝達。一瞬でも気を抜けば制御が効かず、神経が破壊されてしまう。

レオンは残りの7割を身体と剣の強化全振りする


「シネェェェェ!!」


極限まで強化した肉体で地面をけった瞬間。その場にあった地面が丸々消し飛び、クレーターと化す


「アハッ!素敵!本当に素敵よ。人間なのが勿体ないくらい。その魔力、魔力制御!魔族であったならば、人間の貧弱な魔力回路でなければあなたはもっと高みへ行けたはずッ!」

「耳障りな声で喚くなッ!」


数十にも及ぶ、音速の衝突はソニックブームを生み出し、周辺一帯にその余波がぶつかる


「ハアァァァァァァッ!」

「アハッ!アハハハッ!!」


(魔力を研ぎ澄ませろ!壊れかけの魔力回路を魔力で補強しろ!そして、魔力を余すことなく全身へ供給しろ!千切れた筋肉は魔力でつなぎ合わせ、強化しろ!これが最後でいい、だからッ!)


「ッ?!」


その瞬間レオンは不思議な感覚に襲われる。今まで、強化魔術を発動した時に感じる全身が張り裂けそうな痛みと、命がすり減るような恐怖感。しかし、それらが今突如として消えたのだ


(なんだッ!?まさか強化魔術が消えた?….いや、ベルゼブブと戦えているってことは違う。強化魔術は消えていない。だったら何が起きているんだ!?)


「………」

「?どうしたの?急に……まさかもう限界なの?」


ベルゼブブは激しい衝突を繰り返したレオンが突如その場に静止し、自分の手を見つめる様子に思わず問いかける。そんな問いにレオンは夢現な眼で、ベルゼブブを見る。


(体が軽い、視界がとてもクリアだ。さっきまでの痛みが一切ない。なんだかわからないけど……今のあいつに負ける気がしない)

「行くぞ」


レオンは短く一言そういうと、低姿勢でしゃがみ込み、倒れそうなほど前傾姿勢となる。そして、次の瞬間……


「なッ!?」



次の瞬間、レオンはベルゼブブの懐まで肉薄し、その剣がベルゼブブの首元まで迫っていた


(なんて速さ!?今までの彼とは何か違う!この神速の名を持つ私が目で追うことが出来なかったッ!)


ベルゼブブはとっさにバックステップをして、攻撃を回避する。


「ッ!」


ベルゼブブはレオンへ背を向け一気に加速する。


「チッ!逃がすか」


静かにそういうとレオンは、空中に魔力の力場を発生させる。そして


「逃がすかッ!」


高濃度の魔力をさらに圧縮することによって魔力の力場を発生させ、それを足場にレオンはベルゼブブよりも数段速い速度で、追跡する


「ハァッ!」


レオンは一瞬のうちにベルゼブブへと追いつき、後ろから首めがけて両手で握りしめた剣を振る。しかし……


った)


パリンッ

そう思ったのも束の間。ベルゼブブの首の皮1枚を切ったところで剣は嫌な音を立てながら破壊されてしまう。


「ぇ!?……」


レオンは一瞬体を硬直させてしまう。そして、その隙を蠅の女王は見逃さない


「しまッ……」

「死になさい。人間」


その一瞬でベルゼブブはレオンの残った手足を切り落した。そして、追い打ちの如くレオンを地面めがけてけり落す


「グハッ!」


全身が高速で地面へ叩きつけられる。その衝撃で纏っていた魔力が霧散し、先ほどまで感じていた万能感が消えてしまう


「あなたすごいわね。私の速さにはあの勇者ですら手が出ず、結局は広範囲魔法で何とか私から逃げおおせた。でも、あなたは違う。その目でわたしを捉え、この首筋を狙ってきた。でも、だからこそ可哀そうに。鉄製の剣はあなたが強化に用いる魔力の圧に耐え切れず崩壊した。要するに自爆。ウフフ……不憫な子」

「なん、だと……」

「ウフフ、いいわ、その声。ゾクゾクしちゃう♡……でも、あなた不思議ね?なぜ天啓を行使しないの?それともあなたの持つ天啓は戦闘向けじゃないの?」


ベルゼブブは不思議そうにレオンに尋ねる


「使うも何も、俺は天啓をもっていない。与えられていない。忌子だ」

「あら、そんなこと……」


ベルゼブブは何かを言いかけるがソレを止め、まじまじとレオンを凝視する。しかし、次の瞬間ニタリと先ほど以上の気色の悪い笑みを浮かべる


「あぁ、そういうこと。あなたも不憫ね。あなたが忌子なんかじゃない。その逆、愛されすぎている。あなた、これまでの人生で魔力切れを起こしたことないでしょ。今もそうだけど、人間があれほどの魔力を放出して魔力切れを起こさないなんてありえないのよ。」


そういわれてレオンはハッっとする。

これまでの人生を振り返って自分は魔力をどれだけ使用しても魔力切れを起こしたことがなかった。いつだったかローランとユーティアにも同じようなことをいわれたような……


「だ、だから何だっていうんだ」

「私たち魔族もあなたたち人間も魔力を生み出す器官は一緒。でも、一日に生み出される魔力量には個人差がある。あなたが一日に生み出す魔力は圧倒的に魔族のほうが上。極稀に膨大な魔力をもって産まれる稀人イレギュラーもいるけどそれでも魔族には到底届かない。でもあなたは違う。あなたの魔力は魔王様をも凌駕している。そして、ソレを可能としているのはあなたの魔力をうみだす器官。あなたの心臓は魔神のソレと同じ。永遠に尽きない魔力の生成……笑っちゃうわ。与えられすぎたがゆえに、最も欲しいものが入り込む余地がないなんて。あぁ、哀れ、実に哀れだわ。とても私好み♡。ウフフフ、あなたって本当に最高」


そういいながらベルゼブブは恍惚な笑みを浮かべ、身をよじる。


「でももう終わり。さようなら名もなき英雄さん」

「え……」


しかし、突然真顔でそう告げる。そして、次の瞬間レオンの視界は反転し、地面へと落ち、意識がなくなった

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