第15話
『ほぅ、貴様、その魔力……そうか、そういうことか。いいだろう、かかってこい』
感嘆の声を上げたと思ったら急にやる気を出し、咆哮を上げる
(—ッ⁉咆哮だけでこれかよ)
ドラゴンの咆哮によって空気が震え、地面が割れ、天井が崩れ始める。吹き飛ばされそうになるのを全力で耐える。数秒もすると咆哮は止む。古竜の方へと目をやると、全身から魔力が吹き荒れ、体には見るだけで分かるほどの分厚い装甲(鱗)が装備されていた。しかも、その一枚一枚に込められた魔力の量が尋常じゃない
(これが、古竜の本気ッ!)
全身で死のイメージをビンビンと感じる。しかし
(踏み出せ!)
レオンは、魔纏をこれ以上ないほどの出力を出す。一歩、踏み込んだ瞬間そこは数メートルのクレーターへと変形する
「俺の拳とお前の鱗。どっちが強いか勝負だ」
一瞬でドラゴンの傍へ肉薄したレオンはその勢いのまま魔纏で強化された右拳をその巨体めがけて振り抜く
『ッ!!?』
瞬間、ドラゴンは今までに感じたことが無いようなすさまじい痛みがある一点から全身へと広がり、その痛みに悶絶してしまう
「おっ、矛と盾の勝負は俺に分があるようだな」
(想定していたより柔いな……それに、明らかに俺の動きに目が追い付いていない)
レオンは一旦、距離を取り悶絶するドラゴンを確認すると勝ちを確信する。そして、追撃をしようと再び詰め寄ろうとするが
『グアァァァァァッ‼』
「—ッ‼」
ドラゴンの咆哮によって体が後ろへ吹き飛ばされる
(クソッ!油断した……このままいけると思ったが腐っても古竜ってわけか)
「……って、ヤバ」
レオンが吹き飛ばされ、心にあった傲慢さに毒づいているとすさまじい魔力の奔流が突如として発生する。それに気づいたレオンがドラゴンの方へ視線をやると奴は口を大きく開き超高濃度な魔力を貯め始めていた。それは文献に出てきたドラゴンだけが放てる最強の一撃。『ドラゴンブレス』の兆候だった。その威力は島一つが地図から消えるレベルだと言い伝えられている
(あぁ……これはあれだ。放たせたら駄目な奴だ)
「ここまでか……」
レオンはどこか諦めたように天を仰ぐ。そして……
「『雷雲よ、集え』」
レオンは、唱える。そして、その瞬間空は帯電する黒々とした雲によって覆われていく。
「あの時、この力があればと何度思ったことか……『白雷蛇』」
ぽつりと……そう呟くと高々と上げられたレオンの右腕が古の竜めがけて振り下ろされる
古竜の死体はレオンの右腕にはめられたブレスレットに収納される。これは冒険者協会からの支給品で、空間拡張する術式が掘られたブレスレット型のソレは所有者のランクによって拡張される空間の大きさが変化し、ランクが上位になればなるほどその広さが増す。これは、冒険者ランクの証明にもなり、他者の物をはめようとすれば抗いがたい苦痛に見舞われるよう設計されており、偽装は不可能となっている
魔物の死体は討伐の証明となる為、先ほどのワイバーンもこのブレスレットの中に収納されている
「ん?……なんだ、これ」
古竜の住処を漁っていると恐らく奴の餌となったであろう魔物の死骸とこれまでに集めたであろう金銀財宝。そして、二つの卵が置かれていた
「オイオイ……まじかよ」




