第12話
「ハァ、ハァ、ハァ………」
体には、黒々とした青い血がこびり付き、周辺一帯すらも、魔物の血と肉で埋め尽くされている。レオンは、魔物の死体が埋め尽くす草原の真ん中に一人、立ち尽くす。空には、すでに陽が昇り始め、明るくなりつつあった
(やった、ついに……)
「こ、これをお前が一人でやったのか……レオン」
「ッ!?」
疲労からか背後を取られたことに気付けなかったレオンは後ろに振り向きつつ、声の主から距離を取る
「あっ、あなたは村長さん……なんで、ここに」
しかし、振り返った先にいたのは村の長である村長だった。土魔術で構築した防壁があったはずなのになぜここにいるのか、レオンは疑問に思い問いかけるが……
「それはこっちのセリフだ!なんでお前がここにいるんだ!そして、これは一体全体どういうことなんだ!?」
村長は、この事態に状況が呑み込めず混乱のあまり口調を荒げる。
「ごめんなさい……でも、今は、少し、きゅう、けいを……」
「お、おい!」
その時、レオンはこと切れたように意識を失い、力なく地面へ倒れるのだった
・・・・・・・・・・・・・
—あぁ、体が軽い……それに温かい何かに包まれているような、それでいて水の中にいるような……そうか、俺は死んだのか
夢見心地な安らかな気持ちでそう結論付ける。しかし……
—いやいやいや!死んでないって!結構派手に戦ったけど、死ぬような深手は負ってないはずだ
その瞬間、レオンは何かに引っ張られるような感覚におそわれた
目を覚まして初めに目に入ったのは、この半年間で見慣れた天井だった
「う、うぅ……ここは。—ッ!?」
自身の状況を把握しようと体を起こそうとすると、全身に激痛が走る
「フッ、グゥッ!」
あまりの痛みにバランスを崩してしまい、音を立ててベッドから転げ落ちる
(い、痛いッ!全身が裂ける!)
そう誤認してしまうほど、レオンの肉体は傷ついていた。痛みに悶えていると、先ほど転げ落ちた音を聞きつけたのか複数の足音がこちらへ近づいてくる
「レオンッ!」
「レオン君ッ!!」
「あぁっ!レオンッ、目を覚ましたのね!」
ドアが開くと、母、ティーニャを筆頭に幾人もの大人が押しかけてくる
「お、おはよゔ……と、とりあえず。誰か助けてぇ~」
「「「……」」」
なんとも情けない声で、それもうずくまりながら助けを懇願するレオンに、皆目を合わせ困惑するしかなかった
・・・・・・・・
「それで、君の話を総合すると、君は30年後の未来から死に戻ってきたと。そして、本来であれば死ぬ運命にあったティーニャさんを助けるため、誰にも相談せずに、一人で魔物の軍勢を相手取って、見事生還したと、そういうことか?」
「………はぃ、その通りです」
俯きながら覇気のない口調で、村長の言葉を肯定する
「……はぁぁぁ」
少しの間を置き、村長は特大のため息をつき、頭を抱える
(もう、幼い子供のフリをする必要もないか)
レオンはそう決断すると口を開き話始める
「突拍子の無いことを言っているのは百も承知だ。でも、実際に魔物行進も起きた。そして、それを防いだ。これを偶然と言い張るには色々な物が揃いすぎているんだよ。子供の妄言では済まされない。それくらい村長もわかるだろ」
「ッ!?」
突然の口調に村長も、その後ろにいる母さんすらも驚きの表情を浮かべる。
それもそうだろう、今までレオンは子どものように振舞ってきたのだから
「俺は15歳を迎えたらこの街を出る。そして、冒険者になる。ローランたちより先に名声を上げ、俺がみんなの希望の光になる!」
「そう……あなたも大人になったのね。その目つき、お父さんにそっくりよ」
そういうとティーニャは目端に浮かべた涙をそっと拭う。
「ただし、一つだけ条件があります!」
「?」
「ちゃんと無事に帰ってくること。片腕を失っても、足を失っても、目が見えなくなっても。それでも生きてちゃんと私のもとに帰ってきなさい」
「母さん……わかった、ちゃんと帰ってくるよ。みんなをハッピーエンドにしてね。」
(ローランも、ユーティアも、コハクも全員助けるんだ!)
ここで一章は終了です。ここまで読んでくださってありがとうございます( ;∀;)
まだ書くつもりなのでご愛読お願いします




