■第7話『心音からの手紙――新たな挑戦へのはじまり』
■Scene:午前・佐伯家ダイニングテーブル
休日の朝。ダイニングに置かれていた一通の手紙に、瞬は気づいた。
封筒の表には丁寧な文字で《To 瞬兄ちゃん》と書かれている。
「あれ、心音から?」
隣で朝食を準備していたほのかが顔を上げた。
「さっき、ピンポン鳴ってたけど……ポストに入れて帰ったのかな」
瞬は静かに封を開けた。
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■Scene:手紙の内容(心音のモノローグ)
瞬兄ちゃんへ
この前、握手会で見た義姉様の姿――
あれが、私の“なりたい姿”でした。
たくさんの人の前で、堂々と立ち続ける姿。
でも、その裏で、ちゃんと“ひとりの妻”であり、“母”であり、“姉”でもあるほのかさん。
正直、ちょっと悔しかった。
私も、ちゃんと誰かを支える“表現者”になりたい。
今回のお仕事で、正式に芸能事務所に所属することになりました。
これからは“女優・佐伯心音”として、兄の背中に恥じないように頑張ります。
だから、兄ちゃんも――
迷ってるなら、踏み出してみて。
芸能界じゃなくてもいい。
でも、“好き”で始めたことから逃げない兄ちゃんでいてください。
佐伯 心音 より
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■Scene:午後・ベランダにて
瞬はベランダで一人、手紙を読み終えた余韻に浸っていた。
ほのかがそっとカップを差し出す。
「読んだ?」
「……うん。やられたな、完全に」
「ねぇ、瞬。もしも君が“違う道”を歩いたとしても、私は絶対に君のファンでいるよ?」
「ありがとう。……心音にも言わなきゃな。“おかげで、また前を向けた”って」
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■Scene:夜・心音の部屋
心音は、机の上に兄からの返信を並べていた。
「“ありがとう”だけじゃ足りないよ、兄ちゃん」
手元には、瞬が幼い頃に描いた自由帳の裏に残された小さな夢の文字。
「将来の夢:ほのかさんの隣に立てるような大人になりたい」
心音は小さく笑って、写真立ての中の兄夫婦を見つめた。
「その夢、叶ってるよ。もう――」
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