■特別編:家族は全員ファンだった!? ― 隠された“会員番号”の真実
■Scene:自宅リビング・ある日の夜
食後、リビングに集まった佐伯家の面々。
ソファに座ってスマホをいじる瞬と、その隣にほのか。
そして向かいの椅子には、妹の心音と兄・光の姿があった。
「ねぇ瞬、握手会の当選率って0.08%くらいなんでしょ? そんな中で当たるとか……」
「まあ、“会員番号1番”だから……ね」
瞬がスマホを見せる。
《会員番号:000000001》
「……ッは⁉︎」
心音が、あからさまに引いた顔をした。
「ちょっと待って。私、100番以内に入ってるよ? 99番だけど!」
「えっ、マジで!?」
思わず声が被る兄と弟。
心音はスマホを取り出し、自身の会員証を画面に表示。
《会員番号:000000099》
「高校1年のときに登録して、ずーっと応援してたんだからね? なのにあんたが1番って、どういうことよ!!」
「え、えっと……僕、たまたま……たまたま最速で登録できて……」
瞬の弁明に、心音はジト目で睨みつける。
ほのかはその様子に苦笑しながら、そっと口を開いた。
「心音ちゃん、99番ってすごいよ。100番以内に登録してくれたこと、すごく嬉しい。ありがとう」
その一言に、心音の表情がすこしだけ緩む。
「……まあ、嬉しいけど。でも1番ってのはずるいって!」
⸻
■Scene:思わぬ告白、兄もまた…
「……ってか、光兄ちゃんはどうなの?」
ふと心音が言った。
すると、光はどこか気まずそうに咳払いをしてからポケットからスマホを取り出す。
「俺……50番台」
《会員番号:000000050》
「うわ……まさかの……!」
「兄弟揃って……上位独占だ……」
心音が思わず呟く。
しかし一番驚いたのはほのかだった。
「え!? 光さんもファンだったんですか!?」
光は真顔で、深く頷いた。
「俺はね、ほのかさんがドラマで初主演した『泡沫の空』を観てから……完全に心持ってかれた。あのシーン、雨の中でただひとりを待ち続ける表情……あれ、演技じゃないと思った」
「え……」
ほのかが赤面する。
光の“推しコメント”は止まらない。
「あと、バラエティでの天然発言のギャップ。役と本人の間の振れ幅の絶妙さ。笑い方のクセと間の取り方……本当に唯一無二だと思う。あと声質な、耳にスッと入るあの透明感、あれは“天与のギフト”だよ」
「ちょ……光兄ちゃん!?」
瞬と心音が同時に止めに入った。
「いや、俺は本気で語れるタイプのファンなんだ」
「……分かった分かった、もういいってば……」
ほのかは笑いながらも、やや照れくさそうに顔を伏せる。
⸻
■Scene:家族の形、ファンの形
「……ねえ、なんだか変な気分」
ほのかが呟く。
「私、いま家族4人に囲まれてるけど……4人とも、昔からのファンだったなんて」
「……俺も思わなかったよ。家族になったら、推しが“日常”になるなんてさ」
「でも――」
ほのかが小さく微笑んで言った。
「一番嬉しいのは、ファンのときも、家族になっても、ずっと“見ていてくれる人”がいること」
その言葉に、心音も光も、瞬も……頷いた。
「それじゃあ……改めて」
瞬が手を差し出す。
「“ファン1号”から、“妻”へ」
ほのかも、優しくその手を握り返した。
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