■第3話 『撮影当日、驚きと感動とファンの記憶』
■Scene:朝9時・本社ビル前ロビー
エントランスに現れたのは、
黒のキャップにサングラス姿――だが、誰の目にも一目でわかる。
国民的女優・綾瀬ほのか
「……っっ!」
「え……えっ……えぇぇぇぇええええ⁉︎」
「なんで、ほのか様が!?」
「CMの撮影って……この会社で!?」
社員たちは次々と足を止め、声を潜めながらも騒然とした空気が広がっていた。
⸻
■Scene:社内廊下・CM撮影フロア前
【社員コメント①】「……マジか。俺、写真集、全部買ってる……」
【社員コメント②】「パネルと並んで写メ撮ったことある……本物の本人……えぐい」
【社員コメント③】「“ガチ恋勢”って言われても仕方ないくらい好きでした……」
【社員コメント④】「ほのか様、マジで来てる……俺、今から掃除してきます」
【社員コメント⑤】「奇跡……って、こういう瞬間のことを言うんだな……」
【社員コメント⑥】「さっき目が合った……ような気がする。合った、絶対合った!」
【社員コメント⑦】「今日、絶対に休まなくてよかった……」
【社員コメント⑧】「てか、誰がブッキングしたの⁉︎ 神か⁉︎」
【社員コメント⑨】「これ、今後の会社史に残る日では?」
【社員コメント⑩】「……なんか、俺、これからもこの会社で頑張れる気がしてきた」
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■Scene:控室前・黒崎課長の動揺
「う、うわ……俺、あの……」
顔が真っ赤に染まった黒崎課長は、震える手で資料を持ちながら
綾瀬ほのかの控室前に立ち尽くしていた。
「黒崎課長……どうしたんですか」
「あのな……俺、一回だけ……握手会行ったことがあってな……。しかも、4年前。京都で」
とつとつと話す姿に社員がざわつく中、ほのかが控室から出てきて、ふと目を留めた。
「……あっ、黒崎さんですよね。お久しぶりです」
「え⁉︎⁉︎⁉︎ 俺⁉︎⁉︎⁉︎」
「4年前の京都イベント。白いシャツに赤いバンダナ、名刺サイズのアクスタ持ってましたよね」
その瞬間、あたりが凍りついた。
「お、覚えて……?」
「はい。私は何万人とお会いしてますけど、“目を見て話した人”は全部覚えてます」
黒崎課長はその場で崩れ落ち、両手で顔を覆いながら
「ありがとうございます……」と呟いた。
⸻
■Scene:別室・社長応接室
社長「いやぁ……まさかこの日が来るとは。夢のようだな」
ほのか「こちらこそ、お世話になります。旦那もいつもお世話になっていて」
社長「佐伯くんは優秀で誠実で、うちにとっては誇りだよ。
それに君のような方が“奥様”なんて、本当に……ありがたい限りだ」
ほのか「夫が選んでくれた場所ですから、私も心から信じてます」
温かい言葉が交わされる中――
⸻
■Scene:応接室の隣室
そこには、スーツ姿の佐伯光と、モデルライクな佇まいの佐伯心音が立っていた。
社長はふたりに向かって深く頭を下げる。
「……本日はご出演、誠にありがとうございます。
まさか“佐伯家”の皆様がこんなに……華やかな方々とは」
光「弟が仕事でお世話になってますので。僕らは今日、サポートです」
心音「……義姉ちゃんの仕事、ずっと憧れてたんです。出演できて光栄です」
社長はただ、感無量といった顔で、ふたりを見つめた。
⸻
その日、社内のSNSでは“奇跡の一日”が密かに語られていた。
誰も、彼女が“社員の奥さん”だとは知らないまま――
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