■第2話 『午後の家事と、秘密の報告』
■Scene:午前10時・会社 会議室
「綾瀬ほのかさんが……CMに……⁉︎」
佐伯瞬の上司・黒崎課長の声が会議室に響き渡った。
その隣で社長が静かに頷く。
「ほのかさんを奥さんに持つとは……お前、ほんとに隠し通してたんだな。まさかとは思ってたけど。いや、それより……うちのCMに出てくれるとは!」
社長の口元には嬉しさが滲み、黒崎課長は完全に舞い上がっていた。
「写真集……買ってました。全部。あと……団扇も、アクスタも……」
瞬は少し困った顔で笑いながらも、深く頭を下げた。
「本日、正式に事務所から許可をいただけました。出演については、綾瀬も“家族としての仕事”と前向きに考えているようです」
「……ありがとう。いや、ほんとありがとう。
こんな形で“社員とその家族”のテーマにピッタリな展開が来るとは」
社長は思わず椅子から立ち上がって、感慨深げに空を仰いだ。
「午後は半ドンで良いぞ。今日は帰って、家のことでもしてやれ。君の家庭が会社の未来を背負ってくれるんだ。誇っていい」
⸻
■Scene:午後2時・自宅マンション
帰宅した瞬は、シャツを脱いで洗濯機を回しながら、
キッチンの棚を整理していた。
「ほのかの衣装、小物……ここか。……あ、子どもたちの上履き洗わないと」
慣れた手つきで洗濯物をたたみ、
ソファを整え、ダイニングを磨く。
普段は仕事で家を空けがちだった分、今日は“家の時間”を大切にしたかった。
午後4時。
保育園バスが到着し、双子の**奏と蒼**が走って帰ってきた。
「パパー! 今日早い!」
「どうしたの? お仕事?」
「上司に言われてお休みしたんだ。特別な日だからね」
「……なんで特別なの?」
瞬は笑ってごまかすと、ふたりのリュックを受け取った。
しばらくして、小学生の**陽翔と紬**も帰宅。
「ねぇパパ、今日のご飯なに? カレー? ハンバーグ?」
「……じゃあ、みんなの好きなもの作ろっか。今日は、豪華にいくぞ」
⸻
■Scene:夜8時・ダイニング
「ただいま……って、え? なにこれ、フルコース!?」
ほのかが帰ってきて、食卓に並ぶ豪華な料理に目を見張った。
唐揚げ、グラタン、煮込みハンバーグ、ポテトサラダ、バターコーン、そして手作りプリン。
「全部、瞬くんが?」
「うん。今日、半ドンだったから。君の好きなものも入ってるよ」
ほのかはしばらく黙っていたが、やがてにっこりと笑って言った。
「……私、世界でいちばん幸せな奥さんかもしれない」
瞬は、照れくさそうに笑いながらグラスを掲げた。
「じゃあ、幸せの乾杯でもする?」
「うん。……家族みんなで」
子どもたちと共にグラスを重ねたその夜は、
“家族”として歩んでいく、新たな第一歩となった。
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