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■第9話 『誰にも見せないキスと、ふたりだけの夜』


■Scene:帰り道・夜のコンビニにて


「……疲れた」


佐伯瞬はネクタイを緩めながら、夜の街を歩いていた。

時刻は22時を回り、周囲のコンビニの灯りだけが頼りだった。


会社帰り、駅前のコンビニに立ち寄り、弁当を一つ手に取る。

――けれど、その指先は迷い、また棚に戻した。


「今日は……あの人の顔を見ながら、食べたい気分だな」


そう呟きながら、袋を手に帰路についた。



■Scene:リビング・深夜の帰宅


玄関を開けると、照明は間接的に落とされており、リビングにはほんのりとした灯り。


「おかえり」


静かに迎えてくれたのは、綾瀬ほのか。

パジャマ姿でソファに座り、瞬の帰宅をずっと待っていた。


「……まだ起きてたの?」


「うん。……会いたかったから」


その一言に、瞬の中に溢れた感情が堰を切った。


「……ほんと、好きすぎる。もう我慢できない」


次の瞬間、ソファの端に腰を下ろし、ほのかの頬に手を添えて――

深く、熱く、甘いキスをした。


舌先が絡み、呼吸が乱れ、

ふたりの世界だけが熱を帯びていく。



■Scene:風呂場・重なるふたり


「先、入るよ」


「……待って。今日は一緒に入りたい」


そうしてバスルームに立ったふたり。

シャワーの音の中、湯気が立ち昇る空間で、

ふたりは互いの身体をそっと寄せた。


重なった肌に触れた手、

背中を撫でる指、

肩に預けた額。


「瞬……」


「もう、どこにも行かせないよ」


泡が弾ける音の中、

ふたりの唇はまた何度も重なり、

胸の鼓動だけが時を刻んでいた。



■Scene:バスタオル・さらに重なる夜


風呂から上がったふたりは、バスタオル一枚だけを身にまとっていた。


「……ねえ、もう一度、触れてもいい?」


「……うん」


瞬がそっと、ほのかのバスタオルに指をかけた。

その動作に、ほのかは小さく頷くだけで身を任せる。


ふたりは互いにタオルを外し、そのまま見つめ合う――


「綺麗だよ、ほのか」


「……恥ずかしいよ。そんなに見つめないで……」


「だって、見惚れるしかないだろ……」


そして、ベッドに身体を重ねながら――

これまでにないほど濃厚で、深く、甘いキスを交わした。


長く、深く、そして何度も。

ふたりの間には、言葉よりも確かな愛が流れていた。



■Scene:朝・目覚めと小さな日常


翌朝――


静かな陽の光が差し込むベッドルーム。

ほのかの背中に、瞬がそっとキスを落とす。


「……おはよう、俺の大切な人」


ほのかが振り返って微笑んだ。


ダイニングに降りると、ふたりの子供たち――

年長の奏と蒼が、制服を着て元気に登場。


「パパ!保育園の時間だよー!」


「ママのごはん、まだー?」


さらに、小学生になった陽翔と紬もランドセルを背負いながら、


「パパ、忘れ物ないように見てー!」


「朝からうるさいよ、もう~!」


一気に賑やかになるダイニングで、

瞬とほのかは目を合わせて微笑んだ。


――何もいらない。この時間があれば。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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