表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/96

■第8話『光の主演舞台、裏方の瞬』



――“表”と“裏”。

舞台に立つ者と、それを支える者――

その絆に、名前はいらなかった。



晩夏。

東京・日比谷の名門劇場で、俳優・佐伯光の主演舞台が幕を開けた。


タイトルは――

『ユリシーズの誓い』

亡国の王子が、記憶を失った恋人との約束を探す幻想劇。


そしてその舞台裏には、もう一人の“佐伯”の姿があった。



■Scene:裏方としての瞬


舞台美術補助、照明調整、タイムキーパー補佐。

瞬は、大学時代の舞台制作経験を活かし、

兄・光の舞台スタッフの一員として働いていた。


瞬:「兄貴、袖の位置、少しズレてる。あと20cm左寄り」


光:「おー、さすが弟。よく見てんな。……頼りにしてるぞ、舞台裏の相棒」


観客の誰もが知らない。

そこに“兄弟”が並んで立っていることを――



■Scene:ほのかの客席


観客席の中央に、

マスクと帽子で目立たぬように姿を潜めた女性がいた。


綾瀬ほのか――

夫・瞬の“裏方としての姿”を見るため、密かに来場していた。


幕間、彼女はそっと呟いた。


「……表で輝く光さんの裏に、あなたがいる。

それって、すごく“佐伯家らしい”光景だね」


瞬は決して舞台には立たない。

でも、その情熱と誠実さは、光を支える力になっている。


それがほのかには、たまらなく誇らしかった。



■Scene:終演後の袖


スタンディングオベーションの中、

幕が下りた舞台袖――


光:「なあ瞬……俺さ、今日の演技で何点だったと思う?」


瞬:「85点」


光:「ちょ、兄弟なんだからもうちょい盛れや」


瞬:「あとの15点は……“素の兄貴”の部分をもう少し出せたら満点」


光は少し黙って、ふっと笑った。


光:「そっか……お前は、俺の一番“素”を知ってる人間だもんな」


瞬:「うん。そして……俺の“素”を知ってるのは、あの人だ」


舞台袖の奥――

小さく手を振る、帽子の女性の姿。


光:「……また、内緒で来てたのか」


瞬:「あの人、昔からそういうとこあるんだよ」


光:「ま、お似合い夫婦だな」



■Scene:帰り道、肩を並べて


舞台が終わり、会場をあとにした瞬とほのかは、

夜風の中をゆっくりと歩いていた。


ほのか:「今日のあなた、すっごくカッコよかったよ。

表に出ないのに、誰よりも頼られてる。……それって、凄いことだよね」


瞬:「ありがとう。……でも俺は、君にそう言ってもらえるのが一番嬉しい」


ふたりはそのまま、手をつなぎながら、

都会のざわめきの中を歩いていった。


誰も知らない“夫婦の帰り道”。

それは、舞台よりも美しいシーンだった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ