■第7話『心音の密着取材と、兄の秘密』
――“誰にも言えない”ことと、“誰かに伝えたい”こと。
その両方を抱えて、私はステージに立っている。
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夏のある日。
都内のスタジオでは、若手女優・佐伯心音の密着取材が行われていた。
彼女が主演するドラマは現在放送中。
明るく前向きな役柄と、素顔とのギャップが話題を呼び、
いまや次世代を担う女優のひとりとして注目されている。
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■Scene:カメラ越しの“秘密”
スタッフ:「では、カメラ回しまーす。佐伯さん、よろしくお願いします!」
心音:「はいっ、よろしくお願いします!」
笑顔で元気に挨拶しながらも、
心の中では冷静なバランス感覚を保っていた。
(この番組は“素顔の佐伯心音”を映すって言ってたけど、
私の本当の素顔は、全部は映せない)
兄が“国民的女優”と結婚していること。
そのことを、誰にも言えない立場であること。
(……だけど、それでも)
取材の合間、カメラが止まった瞬間――
彼女はふと、スタッフにこうつぶやいた。
「実は……家族に、私が一番尊敬してる人がいるんです」
スタッフ:「へぇ、誰?」
「……“秘密”です」
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■Scene:兄と妹の、ベンチトーク
取材終わりの夜。
心音は帰宅中の兄・瞬を呼び出し、近所の公園で落ち合った。
「兄ちゃん。……やっぱり、言わないって難しいね」
「密着取材、だったんだろ?」
「うん。“本当の私を見せてください”って言われてさ。
でも……“お義姉様のこと”、やっぱり話せなかった」
瞬はベンチで少しだけ空を見上げてから、微笑んだ。
「話せなかったんじゃない。
“守ろうとした”んだよ。君らしい、優しいやり方で」
「……ずるいよ、兄ちゃん。そういうとこ。
私まで安心しちゃうじゃん」
「安心していいよ。俺たちは“家族”なんだから」
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■Scene:放送日の夜
翌週――
心音の密着ドキュメンタリーがゴールデンタイムで放送された。
彼女の人柄、努力、日々の生活。
だがその中には、あえて“家族”の話題はほとんど映されていなかった。
そして最後のナレーション。
「言えないことがあるのは、大人になった証かもしれない。
けれど、彼女のまなざしはいつも――“家族”という優しい光の先にあった」
その言葉に、テレビを見ていたほのかは目を細めた。
「……心音ちゃん、ありがとう。
あなたがいるから、私たちも救われてる」
瞬も同じように呟いた。
「君はもう、立派な“佐伯家の一員”だよ」
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