スピンオフ 『義妹、推しに甘える春休み』
第4話の後のスピンオフです。
兄の嫁が“推し”――国民的女優・綾瀬ほのか。
その事実を受け入れてまだ24時間も経たないうちに、
佐伯心音(16)は限界を突破していた。
瞬とほのかが実家に帰省している春休み。
本来なら遠慮すべきところだが、心音にとっては“神が与えた最大の祝福期間”にしか思えなかった。
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★ Scene 1:推しと、お風呂。
「お風呂、空いたよ~」
ほのかがそう声をかけてくれたとき、心音の理性は崩れた。
「……あのっ……お、お義姉様っ……!!」
「ん? なぁに?」
「わ、私も……一緒に、入ってもいいですか……!?」
沈黙。
一瞬だけ、部屋の空気が固まる。
しかし――
「ふふ、いいよ。久しぶりに“女の子同士”で入りたいと思ってたの」
その一言で、心音の顔は桃より真っ赤になった。
湯けむりの中、バスタオルを巻いた推しの生肌と並ぶという夢のような現実。
心音の中のファン魂が火を噴いた。
「……お肌、すべっすべ……」
「うふふ、ありがと。心音ちゃんの方が、若くて綺麗じゃん」
「そんな……推しに褒められるとか、もう……一生お風呂上がれない……」
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★ Scene 2:推しと、パジャマパーティー。
「ねえ、今日兄貴と一緒に寝ます?」
「うーん、実家だし別の部屋でいいよね? 心音ちゃんと寝ようかな」
「はっ……⁉ そ、そんな……! 推しと添い寝ってことですか!?」
その夜、2人はパステルピンクとミントグリーンのおそろいパジャマで並んで布団に入った。
推しが横で寝息を立てている――もう、心音の脳内は完全に処理落ちしていた。
「……好き……」
眠るほのかの横で、心音は小さくそう呟いた。
※兄の立場は空気以下である。
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★ Scene 3:推しと、恋バナ。
「ねえ、お義姉様……兄貴のどこが、よかったの?」
「んー、目かな。最初に会ったとき、すごくまっすぐだった」
「……たしかに、変に純情ですもんね。
高校でも“推し活の敵”とか言ってたのに、まさかその推しと結婚するとは……」
「ふふ。心音ちゃんに嫌われないか、ちょっと不安だったよ」
「むしろ“世界一幸せな妹”ですよ! ほのか様が家族とか、もう……!」
そう言って心音は再び、ぎゅっと抱きつく。
「このまま……ほのかさんと一緒に暮らしたいです」
「瞬くんより?」
「……同点です。いや、ほのかさんがちょっとだけ上です」
「ふふ、ありがと。……でも、“奥さん”は譲れないからね?」
「くぅ……公式に勝てないこの悔しさ……でも好きっ……!!」
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■ エピローグ:推しが家族になるという奇跡。
翌朝、兄がリビングに降りてくると――
ダイニングテーブルには、ほのかが作った朝ごはんと、心音のテンションMAXな笑顔が並んでいた。
「お兄、ちょっとどいて。“ほのか姉さん”と話してんの」
「いや、俺の妻なんだけど……」
「知ってます。でも、今日は“推し会”開催中なんで、男子立入禁止で~す」
瞬は無言でバターを塗りながら、心の中でつぶやいた。
――俺の春休み、どこいった。
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☆おまけ:心音のノートより
□ 推しが義姉になったことによる影響
・心拍数常時110超え
・寝不足(幸せすぎて眠れない)
・兄への尊敬度+30
・でも独占欲つらい
・でも最高
結論:神様、ありがとうございました。
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