■第5話『家族会議、三たび集う夜』
――秘密を知る者たちだけの、温かい円卓。
「この家族でよかった」と、心から思える夜があった。
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初夏の風が心地よい夜――
都内某所のプライベートダイニングルーム。
そこには、7人の家族が揃っていた。
•佐伯瞬(社会人2年目)
•綾瀬ほのか(女優)
•佐伯光(兄/俳優)
•佐伯心音(妹/新人女優)
•佐伯父・母
•綾瀬ほのかの母
このメンバーで食卓を囲むのは、これが3回目。
だが今回は、それぞれが「一歩進んだ姿」で向き合っていた。
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■Scene:乾杯の言葉
佐伯父がグラスを持ち上げる。
「……今夜は、家族全員が元気に揃ったことに、乾杯」
「乾杯!」
和やかな拍手とともに、静かに始まった会食。
初回(学生時代)、
二回目(社会人スタートと育児報告)、
そして今回――“各自の成長報告”がメインだった。
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■Scene:母たちの会話
綾瀬ほのかの母が、瞬の母とグラスを交わす。
「うちの娘、まだあまり人に頼れない子で……。
でも、瞬くんと一緒にいる時だけは、本当に肩の力が抜けているんです」
瞬の母は笑って答える。
「うちの子こそ……あんなにしっかりした女性と一緒にいるから、
“家庭人”らしくなれたんです。むしろ感謝しています」
「“夫としての顔”、私はあまり見たことがないんですけどね」
「私も“女優じゃないほのかさん”は、今夜くらいです」
ふたりはクスクスと笑い合った。
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■Scene:光と心音の会話
光:「お前、最近テレビ出すぎじゃない? もう兄ちゃん超えてるだろ」
心音:「えー? まだまだ光兄ちゃんには敵わないよ。
でも、兄ちゃんとお義姉様がいなかったら、私はここにいないから」
光:「……あいつら、派手じゃないけど、芯は強いよな。
“夫婦”って呼ばれなくても、誰よりも信頼し合ってるのが分かる」
心音:「それが、私の“理想の夫婦像”なんだよね」
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■Scene:父からの言葉
食後、佐伯父が口を開いた。
「……瞬。お前、最近どうだ?」
「仕事は少し忙しいです。でも、家に帰れば家族がいる。
それだけで、全部が報われる気がします」
父は、ゆっくりと頷いた。
「お前が選んだ人だ。
俺たちの目には見えないところで、きっと苦労もあるだろう。
だけど……“誰にも見えない場所での努力”が、一番本物なんだよ」
瞬は思わず目頭を押さえた。
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■Scene:母のひと言
最後に、綾瀬ほのかの母が娘の肩に手を置いた。
「あなたがどんなに強く見えても、
私はちゃんと知ってるわ。
あなたは今も、隣に“居場所”が欲しいと思ってることを」
ほのかは、瞬の手を握り返す。
「私には、居場所がある。
ここに。――家族の中に」
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その夜――
大きな話題や発表はなかった。
ただ、それぞれが“家族であること”を噛み締めた、静かな夜。
秘密のままでも、名乗らなくても。
心は、確かに“つながっている”。
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