■第4話『それでも、僕らは“秘密の夫婦”』
――名前を呼ばれなくてもいい。
この愛は、誰にも奪えない。
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綾瀬ほのかの帰国後、復帰第一弾となる
映画の舞台挨拶と記者会見が行われた。
華やかなドレスに身を包み、
壇上に立ったほのかの姿は、
スクリーンの中よりも美しく、気高かった。
だが、会場が静まったのは――
ある記者の質問のあとだった。
⸻
「綾瀬さん。先日の海外撮影中、現地で“親しい男性”と過ごす姿が
撮影されていたとの報道がありましたが……その方は恋人、もしくは配偶者でしょうか?」
記者の問いに、一瞬会場がざわつく。
(……また来たか)
瞬は会場の片隅で、それをモニター越しに観ていた。
ほのかはほんの一瞬だけ、
観客席に視線を送った。そこに“彼”がいないことを知りながらも。
そして、微笑みながらこう答えた。
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「その方は……ただのファンです。
以前、イベントで助けていただいたことがあって。
そのご縁で、少しだけ親しくさせていただいています」
静まり返る会場。
だが、ほのかの表情には一片の迷いもなかった。
「私のプライベートは、
物語の中よりも、もう少し静かなものです。
みなさんには、演技の中の私を愛していただけたら幸いです」
報道陣はそれ以上追及せず、
会見はやがて拍手の中で終了した。
⸻
■Scene:帰宅後の夜
マンションの灯りが灯る。
瞬はソファで待っていた。
テレビには、会見を終えて退場するほのかの姿。
玄関が開き、ヒールの音が近づく。
「ただいま。……聞いてた?」
「うん」
「……あれでよかった?」
瞬は立ち上がり、ほのかに歩み寄った。
「俺には、あれが“最高の言葉”に聞こえた」
「……ありがとう。
でも、やっぱり少しだけ、心が痛かった」
「嘘をついたから?」
「ううん。“あなたを隠したこと”が、ね」
ほのかは瞬にそっと額を預ける。
「……でも、それでも私は、
この“秘密の夫婦”を、守りたかったんだよ」
⸻
■Scene:それぞれの想い
ほのか:
――名前を言えない。顔を出せない。
だけど私の中では、いつだってあなたが“主人公”だった。
瞬:
――誰に知られなくてもいい。
君が俺を“夫”と呼んでくれるだけで、生きていける。
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