■第3話『スクリーンの中の“妻”に嫉妬する夜』
――“演技”だとわかっている。
だけど、それでも… 俺は君を独り占めしたいと思ってしまう。
⸻
週末、仕事が少し早く終わった瞬は、
双子を寝かしつけたあと、リビングでテレビをつけた。
そこには――
綾瀬ほのかが主演を務める最新作のプロモーション特番が映っていた。
「……あ」
画面の中で、ほのかが別の俳優と見つめ合い、
そのままゆっくりとキスを交わす。
静かな音楽が流れ、ロマンティックな雰囲気が包む――
だが、それを観ている瞬の心の中は、
決して穏やかではなかった。
⸻
■Scene:瞬の胸に広がる、言葉にならない感情
「……わかってる。仕事だ。演技だ。
でも、なんだよ……」
彼女の柔らかな唇が、
他の男のものになっている一瞬――
それが“フィクション”でも、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
「……俺だけが知ってる君を、
誰にも見せたくないって、思っちゃダメなのかな」
⸻
■Scene:ビデオ通話
その夜、ほのかからビデオ通話がかかってきた。
「ねえ、今夜テレビ……観た?」
「……ああ」
「怒ってる?」
「いや……怒ってるっていうより……」
瞬は言葉を選んだ末、こう告げた。
「……ただ、君に会いたくなった。すごく」
ほのかは画面の向こうで黙って頷き、
涙を浮かべたように見えた。
「……私も、いま一番、あなたに会いたい」
⸻
■Scene:帰国の夜
そして数日後――
ほのかが撮影を終えて、日本に帰ってきた夜。
マンションの鍵が回り、扉が開く。
「……ただいま」
「……おかえり」
瞬は何も言わずに、彼女をそっと抱きしめた。
コートも荷物も落としたまま、
リビングの明かりも点けないまま――
そのまま唇を重ねた。
⸻
長くて、深くて、
胸の奥が熱くなるようなキス。
何度も、何度も――
言葉では足りない想いを、唇で伝える。
「……会いたかった」
「私も。ずっと、あなたに触れたくてたまらなかった」
ほのかは微笑み、瞬の頬をそっと撫でる。
「でも、これで思い出した。
私が愛してるのは、演技の中の誰かじゃなくて、
“あなた”なんだって」
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