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■第2話『“君がいない家”に、慣れたくない』




――完璧な日々なんて、いらない。

君がいる“不完全”な家のほうが、ずっと幸せだった。



ほのかが海外へ旅立って、2週間が経った。


朝の目覚まし、子どもたちの食事準備、送り迎え、

会社へ出勤し、帰宅後に風呂・食事・寝かしつけ。


佐伯瞬の毎日は、秒単位で埋め尽くされていた。



■Scene:食卓に並ぶ“子どもたちの笑顔”


「パパ、おべんと全部たべたよ!」


「おれ、きょうせんせいに“やさしい”っていわれた!」


陽翔と紬は、無邪気に今日の出来事を語る。


「そうか、えらいぞ~!」


瞬は笑って褒めながらも、ふと感じてしまう。


(……誰かと、今日のこと“共有”したい)

(“おかえり”って言ってくれる君が、いない)


リビングの時計が、静かに秒を刻む。

それが、彼の孤独を確かに告げていた。



■Scene:光の登場


その週末――


子どもたちと近所の公園に出かけていた瞬のもとに、

兄・佐伯光が突然やってきた。


「瞬、ちょっとサボってる顔してたから、来てやったぞ」


「……え、なんでバレてるんだよ」


「SNS見てたら、お前が“自撮り投稿してない”からな」


「そこ?」


ベンチに腰かけた光は、瞬に缶コーヒーを渡す。


「なあ瞬。ちゃんと“寂しい”って言えてるか?」


「……言ったところで、どうにもならないでしょ」


「いや、“言うこと”に意味があるんだよ。

お前、家族の中で一番我慢してる顔してる」


瞬は苦笑した。


「……俺って、顔に出てる?」


「めっちゃ出てる」


2人はしばらく無言で空を見上げた。


春の風が、優しく通り過ぎる。



■Scene:心音の“姉の代わり”


その日の夜。


インターホンが鳴ると、そこには佐伯心音が立っていた。

手にはエプロンと料理道具。


「はい、“代打・お義姉様”。参上しました」


「いやいや、急すぎるって!」


「兄ちゃんのご飯事情、光兄ちゃんから聞いてたし。

……たまには“姉の代わり”やらせてよ」


「……ありがとう、心音」


子どもたちも大喜びで、

その夜の食卓はいつもより少しだけ賑やかだった。



食後、子どもたちが寝静まったあと――


「兄ちゃん、今の生活ってさ、完璧すぎない?」


「……え?」


「何でも一人でやって、何でも背負って。

でも、“一緒に笑ってくれる人”がそばにいないとさ、

家ってただの箱じゃん?」


瞬は静かにうなずいた。


「……君がいない家に、慣れたくない」


その言葉を、ほのかに直接伝えたくなった。



その夜、ほのかにメッセージを送った。


「子どもたちは元気。君の代わりはいないけど、

心音が来てくれて少しだけ助かった。

……でもやっぱり、君がいてくれる家が一番好きだ」


返信は、深夜2時。


「私も、同じ気持ちだったよ。

あなたがいないベッドで眠る夜、寂しかった」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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