■第1話『その距離、1万キロ。だけど、僕たちは夫婦だ』
――“好き”だけじゃ守れないものがある。
でも、“好き”がなければ始まらなかったふたりの物語。
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春。
新年度を迎えたある朝――
リビングには荷造りされたスーツケースが2つ。
「……いってきます。ちょっと長くなりそうだけど」
綾瀬ほのかは、ハグしてくる双子の陽翔と紬の頭を撫で、
その横で赤ちゃんたちを抱く瞬に、やや不安げに微笑んだ。
「……任せて。育児も、家のことも、全部やるから」
「無理しないでね、瞬くん。あなたはひとりじゃないんだから」
「……それは、君が言っていいセリフじゃない?」
ほのかは苦笑しながら、
マスクをして帽子を被り、空港へ向かった。
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彼女の出発先は――
ヨーロッパでの映画撮影。
世界的な監督からオファーを受けたこのプロジェクトは、
1ヶ月の海外滞在が前提だった。
(SNSには同行者や子供の姿は映らない。あくまで単身参加という設定)
(瞬と子供たちは日本で“秘密の家族”のまま)
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■Scene:深夜のワンオペ・父モード
帰宅して、スーツのままおむつ替え、
夕食の片付け、明日の連絡帳確認、風呂掃除――
「なにこの、エンドレスタスク……!」
瞬は思わず天井を仰いだ。
それでも、寝息を立てて眠る子どもたちを見ると、
不思議と心が落ち着いていく。
「君が残してくれた家族、
ちゃんと守ってるから――心配しないで」
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■Scene:大学時代の友人・グループトーク
LINEグループに通知が入る。
【今日飲み行かない?新入社員も来るらしい!】
【瞬、最近ぜんぜん顔出してなくね?】
【もしかして彼女と同棲でも始めた?】
「……ある意味正解だけど、言えない」
スマホを伏せ、静かにため息をつく瞬。
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■Scene:心音との電話
「兄ちゃん、今日テレビで義姉様の密着やってたよ。
“国際舞台へ羽ばたく女優”って、かっこよかった」
「……そうか。本人より先に映像で会うって、なんか不思議だな」
「兄ちゃん、寂しい?」
「……まぁ、うん。
でも、それ以上に“尊敬”してる。
俺が選んだ人だから、ちゃんと信じたい」
心音は電話越しに微笑んだ。
「……兄ちゃんって、ずるいくらい優しいよね。
そういうとこ、お義姉様に一番届いてると思うよ」
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その夜、瞬はほのかから届いたメールを開いた。
「今日、監督と現地で打ち合わせしてきました。
こっちは寒くて、夜空がすごく綺麗。
あなたと、子どもたちにも見せてあげたいなって思ったよ。」
瞬は静かにスマホを抱き、目を閉じた。
「……俺の空には、いつも君がいるから」
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