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■第7話『週刊誌、再び――“謎の男”と家族の距離』




――“隠していること”と、“守るために隠すこと”は、違う。

だから今夜も、真実は“心の中”だけに――



春のとある日曜、

綾瀬ほのかのイベントにて。


囲み取材の最中、ある記者が前置きなく写真を差し出した。


「先日、女優の綾瀬さんがある男性と親しげに話す姿を見かけました。

この方とのご関係について、コメントいただけますか?」


その写真には――

キャップとマスクをした佐伯光が、

ほのかと笑いながら話している姿が写っていた。


(やっぱり……狙われてた)


一瞬、会場の空気が凍る。


だが、ほのかは微笑を崩さず、丁寧に答えた。


「はい、確かにその日はお会いしましたが――

それは“夫”ではありません」


「えっ? ではお付き合いされている方……?」


「そうですね……皆さんの想像と違っているかもしれませんが、

私は“誰か”ではなく、“大切な人”とごく私的な時間を過ごしています。

今は、それ以上のことは伏せさせてください」


記者たちはざわめきながらも、

ほのかの毅然とした態度に、それ以上追及はできなかった。



数時間後。

光のSNSには、呆れ顔の自撮りとともに、以下の投稿がアップされた。


「どうやら僕は“国民的女優の謎の男”に昇格したらしい。

妹とは仲良くお茶くらい飲みますよ。

――家族ですから(笑)」


ファンの間ではすぐさま話題になり、

“仲良し義兄妹説”で盛り上がることに。



その夜、

ほのかのスマホが鳴った。


「光さん……すみません、また巻き込んでしまって」

「気にすんなって、もう慣れたよ。むしろうちの弟が“旦那”なのがバレない方が奇跡だろ」


「でも……あの時、黙っていてくれてありがとう」


電話越し、光はため息混じりに言った。


「でもさ、お前って本当に“不器用な女優”だよな」

「舞台挨拶で『“誰か”じゃなく、“あなただから”』って言ったとき、

……全国のファンが泣いてたぞ」


ほのかは少し照れたように笑いながら答えた。


「本当の想いを、“誰にも気づかれずに”届けるのって、難しいですね」


「でもさ、弟にはちゃんと届いてんだろ?」


「はい。あの人だけは、全部わかってくれました」


光は黙っていたが、電話の向こうから微かに笑い声が聞こえた。


「……幸せになれよ。俺が“謎の男”の役、しばらく代わってやるから」


「ふふっ、頼りにしてます、“義兄さん”」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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