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■第6話『父になるということ――瞬、家族の形に答えを出す』



――“父親”って、何だろう?

家族のために働く。家族と共に生きる。

その答えを探しながら、僕は今日も――“父親”であり続ける。



ある平日の夜。

仕事帰りに保育園へ立ち寄った佐伯瞬は、

双子の陽翔と紬を迎えに行く予定だった。


だがその日は、残業が長引き、迎えの時間を大幅に過ぎていた。


「すみませんっ、遅くなりました……!」


保育士に深々と頭を下げる瞬。

そこに、眠そうな目をした双子たちが駆け寄ってきた。


「ぱぱ……」

「おそかった……」


瞬はふたりを抱きしめ、心の中でつぶやいた。


(こんな時、父親失格って思われてるんじゃないかって……不安になる)



帰宅後。

夕食を終えたあと、バタバタと赤ちゃん(蒼と奏)の世話に追われるなかで、

ほのかが小さくつぶやいた。


「……私ね、瞬が帰ってきたときの子どもたちの顔、

あれ見るたびに思うの。“この人は、いいお父さんだ”って」


瞬は目を見開き、小さく笑った。


「……俺、全然ダメなときも多いよ。

迎えに遅れたり、手伝えなかったり、

家族に何もしてやれない日だってある」


「でも……“子どもたちの味方”でいようとする、

その姿勢こそが“父親”なんじゃないかなって思うよ」


ほのかは真っ直ぐに瞬を見つめる。


「あなたは、ちゃんと“父になってる”。私はそう思う」



その夜。

瞬は久々に兄・佐伯光と電話をした。


「よう、弟。噂によると“育児のプロ”になってるらしいじゃん」


「……俺がどれだけテンパってるか、1日交代してみてほしいわ」


光は少し真面目な声に変えて言った。


「でもな、瞬。お前はすげぇよ。

“父親”って、正解のない役だ。

台本もなければ、演技指導もない」


「だから、迷っていい。失敗してもいい。

ただ――“誰かのために立ってる”お前の背中は、

きっと子どもたちの中で一生残るんだ」


瞬は静かに頷いた。


「……ありがとう、兄ちゃん」



深夜。

陽翔と紬が眠る寝室の前で、瞬は小さな声で呟いた。


「父さんは今日も、ちょっと失敗した。

でも――明日はもっと、いい父さんになれるように頑張るよ」


ドアの向こうから、小さな寝息。

その音が、瞬の背中を優しく押していた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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