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■第4話『心音、女優宣言。兄嫁に追いつきたいから――』



――“兄の妻”は、いつだって遠い憧れだった。

けれど、私は私の光で――追いつきたい。超えたい。



深夜0時。

テレビでは、若手俳優たちが演技力を競うドキュメンタリー番組が放送されていた。


その中で、MCがある出演者の名前を読み上げる。


「注目の新人女優・佐伯心音さん。

なんと兄はあの人気俳優・佐伯光さんというサラブレッド!」


テレビ画面に映し出されたのは、

演技レッスン中、真剣なまなざしで台本に向かう心音の姿だった。


リビングでそれを見ていた瞬は、思わず口元をほころばせる。


「……あいつ、本当に女優やるんだな」

隣では、ほのかが静かに頷いていた。



翌日。

とあるカフェで、心音とほのかが対面していた。


「お義姉様……いえ、今日は“女優の先輩”として聞いてください」


「うん、わかった。じゃあ、私も“心音ちゃん”として答えるね」


心音は両手を膝に置き、緊張気味に語り始めた。


「私、兄嫁であるお義姉様がずっと……ずっと眩しかったです。

どんなにテレビで見ても、そばにいても……“違う世界の人”に思えて」


「でも――今は違う。

私も、この世界で“誰かの憧れ”になりたい。

だから私、正式に女優として活動していきます」


ほのかは少しだけ驚き、そして微笑んだ。


「……心音ちゃん。

あなたが“自分の意思でこの世界を選んだ”ことが、何より嬉しい」


「私を追いかけなくていい。

でも、あなたがあなたで輝く姿を、私はずっと応援してるよ」


心音は唇を噛みながら、それでもしっかりと目を合わせて言った。


「でも……いつか、絶対に“兄嫁”を超えてみせますから!」


「……楽しみにしてる」


二人は微笑み合い、グラスを合わせた。



同じ夜。

佐伯家では、心音が出演決定した初ドラマの話題で盛り上がっていた。


双子たちがテレビを指さして叫ぶ。


「こねね(心音)、テレビでてるー!」

「すごーい! ママの次は、こねねだー!」


心音は照れくさそうに笑いながら、ほのかの隣に座る。


瞬が冷静に言った。


「じゃあ、うちの家族には……女優が二人、俳優が一人、子役候補が四人ってことか」


光(兄)が笑って加えた。


「おいおい、俺の後継ぎまで勝手に増やすなって」


ほのかはふと、家族写真を見ながら小さく呟いた。


「芸能界の中にいても――

家族の中では、みんなただの“私たち”でいられるって、幸せだね」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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