■第8話『秘密の命と、静かな決意』
都内の総合病院、午後。
検診の終わった綾瀬ほのかは、診察室を出た瞬間、
一枚のエコー写真を手に、しばらくその場に立ち尽くしていた。
(まさか、また双子……?)
しかも、医師はこう告げていた。
「お腹の中にいるのは……おそらく、女の子と男の子ですね。順調ですよ」
「これで、“二男二女”の四兄妹ですね、お母さん」
⸻
その夜、リビング。
瞬はインターンから帰宅したばかり。
疲れが見える表情でジャケットを脱ぎながら、
ほのかから手渡された封筒を受け取る。
「……ん? 病院の領収書?」
「中身、見てみて」
中にあったのは――エコー写真。
そこに写る、ふたつの小さな命の影。
「……えっ、うそ……まさか……!」
「うん。……また、双子だったの」
瞬はその場に座り込み、言葉を失う。
「マジか……今、大学4年の夏。インターン真っ最中で……
就職したらすぐ新人研修で、育児休暇なんて取れんかもしれないのに……」
ほのかは、静かに微笑んだ。
「大丈夫。“今回も、あなたと一緒なら”」
⸻
翌日、瞬は大学のキャリアセンターで指導教員と面談を受けていた。
「……実は、家庭の事情がありまして、
就職後すぐに育児休暇を取らせていただく可能性があります。
それを前提に、社内にも確認を取りたいのですが……」
担当教員は一瞬驚いた表情を浮かべながらも、
静かに頷いた。
「学生がここまで“家族”を理由にキャリア相談するのは、正直初めてだ。
だが、私は応援する。社会人になる君にとって、家族を守る責任もまた“本物”だと思う」
「……ありがとうございます」
⸻
夜。双子(陽翔と紬)が寝静まったあと。
瞬とほのかはリビングで、第二の双子たちのベビーグッズを見ながら、
小さなノートに名前候補を書き合っていた。
「女の子は“奏”ってどう?」
「音楽の“奏”? 素敵じゃん」
「男の子は……“蒼”。
晴れた空みたいな名前にしたくて」
「蒼……いいね。広くて、深くて、きれいな男になってくれそう」
静かな灯りの下で、4人目の名前を考えている事実に、
二人ともふと笑ってしまった。
「学生夫婦、しかも芸能人、しかも双子2セットって、どんな人生……?」
「だけど、私、きっとあなたとじゃなかったら耐えられなかったと思う」
「俺も。君が妻で、ほんとに良かったって、毎日思ってるよ」
その夜、ふたりは名前だけじゃなく――
“未来を信じる気持ち”を再確認し合った。
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