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■第7話『二つのニュース』


日曜の朝。

テレビをつけた瞬、思わず手が止まった。


「続いてのニュースです。

人気女優・綾瀬ほのかさんに“極秘結婚”疑惑が浮上。

先日イベントに同伴していた男性が、関係者によれば“親しい関係”とのこと――」


画面に映されたのは、イベント会場でほのかと握手を交わしていたスタッフ風の男性。


(――あれは、会場の宣伝部長さん。偶然映っただけだ)


横で皿を洗っていたほのかも、画面を見てぽつりと呟く。


「……この人、私の結婚相手ってことになったの?」


「……週刊誌、すごい想像力だな」



その日の午後。


SNSが一部で騒ぎ始めていた。


「ほのかの結婚相手は●●プロの××さん!?」

「ショックだけど応援する!」

「子どももいるらしい」←なぜかここだけ真実に近い


家では、陽翔と紬がぬいぐるみで遊びながら「ママ、おしごとー!」と叫んでいた。


(……たしかに、これはもう“真実”を疑われても仕方ないか)



一方その頃。


義妹・佐伯心音のスマホにも、一本の電話が入った。


「はい、佐伯です――え? 本当ですか!?」


その夜、彼女は家族のもとに笑顔で駆け込んできた。


「ねぇ聞いて! 私、あの主演オーディション……通ったの!」


「えっ!?」


「すごいじゃん心音!」と、瞬が真っ先に立ち上がる。


ほのかも目を潤ませながら拍手を送った。


「ほんとに……やったんだね。おめでとう、心音」


「でもね、その分プレッシャーもあるの。

それに、主演ってことで……また週刊誌に追われるかもしれない」


「……だったら余計に、ちゃんと“自分で立つ”しかないね」

そう言ったのは、兄・瞬だった。


「俺たちも、ほのかも、“見られる側の人生”だからこそ、

誰よりも“見られ方”には気をつけてる。……だからこそ、戦えるんだよ」


心音は真剣に頷いた。



その夜遅く。


ほのかがリビングで一人、週刊誌の誤報を眺めていると、

そっと隣に瞬が座った。


「……訂正出す?」


「出さない。むしろ、何か聞かれたら“違いますよ”ってサラッと言うだけ。

だって――私の結婚相手は、君なんだから」


「……ありがとう。

でも、ちょっと悔しいな。

誰にも言えないなんて」


「その分……家ではいっぱい、言ってね?」


ほのかはそっと瞬に寄り添い、唇を重ねた。


「……“この人が私の旦那です”って、世界中に言える日が来たら、

その時は――もう一度、プロポーズして?」


「……任せて。次は、世界の真ん中で、君に誓うよ」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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