■第1話『社会人未満のリアル』
第4シリーズ続編です。
春の風が吹くキャンパス。
大学4年生になった佐伯瞬は、少し落ち着いた表情で教室のドアをくぐった。
内定先での研修が始まるまではあと1か月。
授業は残りわずか、だが学びの密度は、むしろ濃くなっていた。
友人たちは進路を決めたり、まだ迷っていたり。
誰もがそれぞれの“未来”に向き合い始めている。
「瞬って、いつも落ち着いてるよな」
「いや、家じゃ双子に追いかけられてるよ……なんてね」
※もちろん、“双子”の話は冗談として処理されている。
誰も、彼が「既婚者」だとも、「父親」だとも知らない。
⸻
放課後。
学食のテラスで、瞬は友人たちと昼食を囲んでいた。
「就活終わってから、なんか暇じゃない?」
「いやー俺はもう遊びまくる予定。海外も行く」
「瞬は? ほら、なんか落ち着いてるし、結婚早そう」
(……実はもうしてるんだけどな)
心の中で笑いながらも、瞬はこう答える。
「ま、落ち着いたら考えるよ」
「えー意外と慎重派? まぁでも、恋愛って難しいよな」
「俺なんか、1年付き合って別れたし」
他人事のように聞きながらも、
瞬は“夫婦”として過ごす毎日のリアルを思い出していた。
(毎日、家に帰ったら“誰かの名前”を呼ぶ生活。
それは“重い”んじゃなくて、“尊い”んだ)
⸻
その夜。
家では、夕食後の絵本タイム。
「パパ〜、ひこうきのページ、もっと〜」
「はると、こっちに来て! 紬が怒ってるよ〜!」
「ママ、パパとけっこんしたの?」
「うん、したよ」
「なんで?」
「……それはね、パパの笑った顔が、大好きだったから」
そんな会話に、思わず頬が熱くなる瞬。
子どもたちに絵本を読んでいると、
ほのかが隣で静かに言った。
「来月からは、本格的に“パパの仕事”が始まるんだね」
「うん。
……でも、どんなに疲れても、俺、
この絵本の時間だけは絶対に守るって決めてる」
「……じゃあ私も、できるだけ撮影を早く切り上げる。
“家族”が、最初で最後の居場所だもんね」
二人の手が、テーブルの下でそっと重なった。
⸻
ラスト。
瞬が夜の自室で日記を開き、一行だけ綴る。
「まだ“社会人未満”だけど――
家族を守れる男になりたい」
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