表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/96

■第1話『キャンパスの片隅に、秘密の新婚生活』


続編です。

引き続きお楽しみ下さい‼︎




春――桜の花が舞い散る東京のキャンパス。

佐伯瞬さえき・しゅんは、国立大学の理工学部に入学したばかりの大学一年生だ。


スーツ姿の新入生たちでにぎわう講堂の外。

真新しい学生証を手に、瞬は一人で桜並木を歩いていた。


「ついに……大学生か」


声に出しても、まだ実感が湧かない。

周囲では新歓サークルの勧誘が飛び交い、スマホ片手に自撮りするグループもいる。

けれど、瞬はその輪には入っていかなかった。


なぜなら――

彼は「既婚者」だった。



誰にも言っていない。

入学手続きの書類にも、配偶者欄は空白のまま。


瞬が結婚している事実を知る者は、ごく限られた関係者のみ。

そしてその相手は――

国民的女優・綾瀬ほのか。


交際0日婚。

あまりにも非現実的な結婚だった。


それでも、今朝のキッチンで

「瞬くん、お弁当、今日こそ忘れちゃダメだよ」とエプロン姿で微笑む彼女を見て、

“この生活は現実なんだ”と、胸に刻んだばかりだった。



キャンパスの学食。


初対面の男子学生に話しかけられる。


「ねえ、理工学部だよね? 高校どこ?」


「あ、うん……都内の共学高だった」


「マジ? やっぱ男子率高いよなー、ここ。彼女いる?」


瞬は一瞬、返事に詰まる。


「……いないよ」


心がちくりと痛んだ。

けれど、この大学で「国民的女優と結婚してる」なんて言えるわけがなかった。


「マジかー! 俺も探し中! お互い頑張ろ!」


「あはは……そ、そうだね」


その日は、名前も知らない友人たちとランチを済ませた。


でも家に帰れば――

玄関で待っているのは、誰よりも美しい“奥さん”。



夜。自宅マンション。


撮影を控えているほのかは、ダイニングで台本を読んでいた。

リーディング用の丸眼鏡をかけ、髪を無造作に結び、リラックスした姿。


「……やっぱり、可愛いな」

思わず口から出た本音に、ほのかがクスッと笑う。


「今さら? でも、ありがとう。私も今日の瞬くん、大学生って顔してて素敵だったよ」


「いや、ただの冴えない一年生だよ」


「それでも、私にとっては世界一の新入生」


そう言って、ほのかは手を伸ばして彼の手を取った。


指先から伝わるぬくもりに、瞬は改めて思う。


――この手を、誰にも渡したくない。



ソファに並んで座るふたり。

テレビからは、今日も報道番組が流れている。

芸能ニュースでは別の俳優の熱愛報道が取り上げられていた。


そのとき、ほのかがふっと呟いた。


「……ねえ。私たち、いつまで“秘密”でいられるのかな」


「……できる限り、ずっと」


「本当に?」


「だって、君が“俺の奥さん”だってこと、世界で知らなくてもいい。俺だけが知ってれば、それでいいよ」


その言葉に、ほのかは一瞬だけ寂しげな笑顔を見せた。


「……ありがとう。

 でも、いつか“堂々と隣に歩きたい”って言ってくれたら、そのときは――私、全部投げ出してでも、一緒に歩くね。」


瞬は何も言わず、彼女の肩を抱き寄せた。


ふたりの距離は、誰にも見えないほど近くて、

けれど世間には、どこまでも遠かった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ