■第9話 『国民的女優、ついに“結婚”を公表する日』
日曜、正午。
テレビ各局が一斉に“緊急会見”として報じた、
国民的女優・綾瀬ほのかの記者会見。
会場は、都内一等地の高層ビル。
正面の壇上に立った彼女は、白いセットアップに身を包み、凛とした佇まいで報道陣の前に立っていた。
会場には100人を超える記者。
フラッシュが止まらず、空気は張り詰めていた。
司会の進行のあと、
マイクの前に立った彼女は、深く頭を下げて言った。
「本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
突然ですが、皆さまに大切なご報告があります」
⸻
一瞬の沈黙。
そのあと、彼女の口からはっきりとした言葉が放たれた。
「私、綾瀬ほのかは――結婚いたしました」
一瞬、記者たちの動きが止まった。
やがてざわめきと共に、質問の手が一斉に挙がる。
「お相手は、週刊誌に掲載されたあの学生さんですか!?」
「ご実家を訪れたという報道もありますが、事実ですか!?」
それに対し、ほのかは、ゆっくりと首を横に振る。
「いいえ。報道に出ている男性は、私の夫ではありません」
「――え?」
「私は、確かに“とある一般男性”と結婚しました。
けれど、報道に出ている彼とは、違う方です。
彼は、たまたま私の現場で助けてくださった“ファン”の一人です。
巻き込んでしまったこと、心から申し訳なく思っています」
――瞬を、守った。
⸻
記者たちの間に、疑念と混乱が走る。
「では、なぜ結婚を今になって公表されたのですか? ファンへの裏切りでは?」
その言葉に、ほのかは初めて、ほんのわずかに表情を崩した。
けれど、まっすぐに前を見て言った。
「私の仕事は、“嘘を演じる”ことです。
だからこそ――
人生の本当の愛だけは、嘘にしたくなかったんです」
その瞬間、会場が凍ったように静まり返った。
「演じることと、愛することは、違います。
誰にも祝福されなくても、誰にも言えなくても――
私はあの人と生きていくと決めました」
そして、ほのかはこう続けた。
「報道を信じてくださった皆さまには、申し訳ありません。
でも、私のプライベートに関しては、“誰かの物語”ではなく、“私自身の選択”です。
……人生の主役を、他人に譲るつもりはありません」
⸻
その一言に、記者たちは息をのんだ。
“誰かの物語”じゃない――
それは演技ではなく、“生きる選択”をした一人の女性の言葉だった。
⸻
会見後、SNSではさまざまな声が飛び交った。
「やばい、刺さった。推しとして、泣いた」
「人生の主役を他人に譲らないってセリフ、名言すぎる」
「逆に応援したくなった」
「ファン辞めない。むしろ強火になった」
「ていうか、本当の旦那誰⁉︎」
そして、記者たちもまた――「結婚相手探し」に躍起になるのだった。
だが、ほのかは知っていた。
その相手は――今日も静かに、学生として日常を送っているただひとりの青年。
“誰にも気づかれない愛”を、
“誰にも壊されない絆”に変えると、心に決めた日だった。
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