塩そば②
「お待たせしました!【塩そば】です!」
店主が出来上がったラーメン【塩そば】を目の前に置いてくれた。
ラーメンのメニューが沢山ありすぎて迷ったのだが、最初の一杯だし、スタンダードかつ自慢の一杯だということで店主のオススメであるこの【塩そば】を注文したのだった。
出てきた【塩そば】を見てまず
「綺麗だ」
と口に出していた。
透き通ったスープがまず目に入る。
こちらの世界でこんなに透明度の高いスープが出てきたら、100%味が無いと思われるだろう。
だが、この食券を買う前に店主の説明できちんと味はあることを聞いていたのでダイは全く疑問には思わなかったのだ。
そしてその透き通ったスープに浮かんでいる規則的に並べられた綺麗なヌードル(麺)。
そしてその上に盛り付けられた2種類の肉と薬味だ。
生唾をゴクリと飲み込み、レンゲと呼ばれるスプーンでスープを飲んでみる。
透き通っていたスープはスッキリとした味わい。
薄い訳ではなく、体に染み渡っていく…そんな味がした。
鍛冶場で大量に汗をかいていたし、体に染みていくのがわかる……そんなスープだった。
継ぎはチャーシューと呼ばれる肉だ。
こちらも色がほとんど付いていないのが1枚と色は付いているが薄いピンク色で、味が無いかと思いきやしっかりとした味がちゃんと付いている。
片方は焼いてあり、もう片方は蒸してあるそうだ。なんて手の込んだ料理なのだろう。
そしていよいよ麺だが、周りの人のようにハシ?というもので挟んで啜るのは難しそうだ…
とラーメンがきた時に思っていたら店主がフォークを手渡してくれた。
気配りの出来る優しい店主だなとダイは感動する。
フォークとレンゲを上手く使いながら、パスタを食べるように麺を少しまいていただく。
パスタとは違いスープの中を泳ぐような麺を絡めるのは難しかったが、なんとか巻いて口に運ぶ。
(美味い!)
ダイは心の中で叫んだ。
パスタと同じく小麦が原料だと聞いたがこれほどまでに違う麺が出来上がるのかと関心した。
食感も麺の香りもまるで違う!
しばらく感動した後は一心不乱に食べ進めていく。
一口食べたらまた一口とするする入っていった。
(全く飽きない味だ!ああ……自分が少食じゃなかったら良かったのに!もっと沢山食べれたのに!)
◇◇◇◇◇
お腹が空いていたのもありあっという間に食べ終わる。
「旨かった」
余韻に浸るようになくなったラーメン丼を見つめるダイ。
店主はそんなダイをニコニコしながら見ていた。
それに気がつきダイもにっこりと微笑んで
「ありがとう!ご馳走さま!」
と言い立ち上がる。
「ありがとうございました!」
元気な店主の声が聞こえ、ダイは振り返りペコっと頭を下げる。
店のドアを潜ると自分の部屋の中にいた。
(またラーメン食いたいな…)
と思い、
「よし!」
と気合いを入れて明日からも仕事を頑張ろうと決意するのだった。