フルーツモーニングセット②
「どうしよう…」
メニューを見ていたミーレだったが、文字は読めるのに意味が分からない単語もあるし、なによりメニューがありすぎて困る。
猫みみ族の飲食店ではメニューなんて、保存がきく固いパンやキノコ等森の素材を使ったスープ等が定番なので見たことがないものを頼むのは勇気がいった。
「お決まりですか?」
先ほどの人間の女性が話しかけてくる。
ふと疑問に思う。
自分は猫みみ族、獣人だ。
頭からは猫みみが生え、おしりの上には長いしっぽも生えている。
人間にはないものだし怖くないのだろうか…
そう思いミーレはメニュー表でスススっと顔を少し隠した。
それに気がついたのか女性はにっこり笑い
「たまに獣人さんがいらっしゃる事もありますので大丈夫ですよ!」
と告げる。
そうなんだ!と心の中で思い、メニュー表から顔をきちんと出して女性にたずねる。
「何を頼んだら良いか分からなくて…」
ミーレの猫みみはしょんぼりと垂れてしまう。
すると女性はメニュー表をパラパラと捲り、
「今は朝ですので、モーニングがおすすめですよ!」
と教えてくれた。
モーニングというのは朝に食べるものなんだ。と理解したミーレはさっそく見てみる。
モーニングの種類は2種類だけだったので選びやすいのだが単語の意味が分からない。
女性にこれは何かと色いろ教えてもらいながら見ていく。
ミーレはどうしてもお皿に乗っている色とりどりの果実をカットしたものが気になりそちらを選んだ。
飲み物の付くようなのだがよく分からなくてコーヒー?なるものにしてみる。
しばらくして
「お待たせ致しました!【フルーツモーニングセット】です」
女性が料理を持って来てくれた。
白いお皿に丁寧に盛り付けられたカットされた果実に、三角の形をしたものはパンだということが分かり村で食べているものと同じものがありホッとする。
パンの上にはバターという牛の乳から作られるクリームが乗り、パンの横には小さなカップにはハチミツ(これは村にも希少な甘味としてあったので知っていた)。
そしてセットに付いてきたコーヒーという飲み物。
熱いのは苦手だと話すと冷たい飲み物にしてくれた。
ミーレは一口だけアイスコーヒーを口に運ぶ、最初に感じたのは苦味だった。
村で風邪をひいた時等に薬草を煎じたお茶を飲ませられたことがあった。
酷く苦いそれよりは苦味は少なかったが、思わずしかめっ面をしてしまうミーレ。
それに気がついた女性がミルクとシロップを進めてくれた。
言われるがまま入れて、再び一口。
少しの苦味はあるがミルクとシロップで甘くなり飲みやすくなっていた。
顔を綻ばせたミーレはいよいよ【フルーツモーニングセット】に手を伸ばす。