〜料理の概念がほとんど無い世界の冒険者は美味に飢えている〜
・春風 ヒバリ (10歳)
・派遣型の冒険者をしている。
・所持スキル【付与魔法】【保存魔法】【認識妨害】【浄化】【アイテムボックス】【鑑定】【調合】【調味料作成】【回復魔法】
・全属性魔法【小】持ち
・冒険者ギルドに従業員として所属していている珍しいタイプの冒険者。寝泊まりはギルドの三階でしている。
サポートを依頼する場合は前日までにギルドマスターに申請しておくべし。
全く戦えない10歳の小柄な少女でありながら脅威のリピート率を誇るサポーター 通称ハル。は桜色の髪と瞳の不思議な空気を纏っていた。その正体は前世の記憶を持つ元接客業に就職していた20代の女性である
今や人間より魔物の方が多いのではないか。などと言われる時代に成り下がった世の中は、私が知っている前世の日本とは比べ物にならないくらい豊かで貧しい場所でした。
私、ハルカゼ ヒバリが転生した街。カルロという街には生前漫画で読んだことがあるような冒険者ギルドというものがあり、私はそこで10歳の身でありながら有難いことに部屋を与えてもらい、派遣型の冒険者として登録させてもらえた。ギルドマスターは信頼できる方だ。
依頼があればそれを受け…と結構充実しながら働いている。
木造三階建ての冒険者ギルドにて
『おはようございますリーンさん』
「おはようハルちゃん! 今日も依頼沢山来てるよ」
私のおすすめはねー。と綺麗に塗られた唇で親切に説明してくれるこの人はリーンさん。冒険者ギルドの受付のお姉さんで私の本当のお姉ちゃんのような人だ。
「うん!このパーティーでどうかな? Bランクの【レッドウルフ】って言うんだけど依頼を出してきたのは初めてだけど結構いい人達で依頼達成度も高いから 【オーク討伐】ぐらいなら安全だとおもうんだけど。」
『レッドウルフ…。うんじゃあこれにする』
「了解!じゃあ待っててね!」
満足そうにハルの頭を撫でたリーンは受付の奥に行きレッドウルフが出したハルへの依頼書に大きなハンコを押してハルのために作られた掲示板にばん!と張り出した。
前々から思ってたんだけ…どこの世界の冒険者のグループ名ってやっぱり……と思ったが イケナイ。お口チャックだ。と気を引き締めて掲示板前で依頼してきたパーティーを待つ
ことにした。
ハルが依頼を受ける時間帯はいつも8時と決まっている。
そのため依頼をだしていたパーティーがゾロゾロ集まり掲示板を覗き込んでいく。
「だぁー!!今回はレッドウルフかぁチクショー!ハルー次は絶対俺んとこ選んでくれよ!この前飲んだこーひーってのが忘れられねぇんだ!」
「くっそ!次は俺たちのパーティーがハルとカレーライス食いに行くんだよっ なぁハル〜レットボアの肉でカレーライス作ってくれよぉお」
「ハルちゃーんまたココアつくってねー!」
『うん約束。いつもありがとう。またね』
次々と声をかけてくれるパーティー達に挨拶をし前回の礼を言う。なにせ御礼を言わなくてはいけないのは本当にこちらの方なのだから。
私への依頼料は1日で1万ウェン。つまり1万円。と討伐した魔物の肉を報酬として貰うことになっている。
それと別途冒険者ギルドへは一回1万ウェンがかるのだ
私の仕事はサポートのため戦闘は全く出来ないしお世辞にも足も早いとは言えない。体力も無いし1人では魔物を討伐出来ないそんな私を、冒険者の皆んなはお金を払ってわざわざ呼んでくれた上に討伐した魔物肉を全て貰えることになっているのだ。本当に、なんて有難いことだろう…
肉はアイテムボックスに入れておけば腐らないからいつでも調理して食べれるし干し肉にしてもいい。換金もできる。
魔物を倒す力がない私だけど、冒険者のみんなのおかげ最低でも月30万ウェン程の収入を得ているのだ。
その代わりと言ってはなんだが私は依頼してくれた皆の回復や魔法付与やその他の世話を買って出ているのだが、これが意外にも好評らしくリピートを呼んでいるらしい。
喜んでくれるから私としては嬉しいしお金も貰えて、本当に優しい世界だと思う
実は、この世界の料理はいたってシンプルなもので 焼く、煮る、炒めるのどれかしか無い。いや本当に。味付けは塩胡椒しかないしそれもかなり高価なのだ
『(さすがにびっくりしたなぁ)』
飲み物は酒、水。 風呂は体拭きか水浴びだし、冒険中の食事は焼いた肉か干し肉か黒パン。甘味は生の果物。
王都に行けばまた違うのかもしれないけど冒険者として働く様になった私の認識は今のところこんな物である
「おーいハルー!!」
『はーい。』
今日も頑張ろう