if ドールの遊び
寒い。
僕に価値なんて無かったんだ。
あったらここにこんな長い時間放置されないはず。
僕の意思なんてあろうが無かろうが彼らの行動は変わらないんだろうな。なら
ボクハ殺戮人形デイイ。
「おい、飲め。」
「嫌。代わりに溺れて?」
「は?」
「死んで?君らや先生達なんか消えて?殺しに来てもいいよ?僕は人形だから死んでも君らが不幸になるよう呪ってあげるよ。あはははは。」
「壊れた−−−−やべぇ落ちるとこだった。」
「不味いね。予想外に転んでる。」
「ぐ、うわぁー」
「あいつどんな力してるんだよ?!」
「良いから死んで。あ、大丈夫。皆殺ししたあとは学校の人達も殺しますから。ふふっ」
「ッチ、服脱ぐ余裕あれば脱げ!プールに落ちたら動けなくなるぞ!」
「ゴフッ!パンチ強すぎるだろ!ゲホッ」
「そんな余裕はねえ!」
「うるさいよ。黙って大人しくさっさと殺されてください。キミラガツクリアゲタンダカラサ」
「殺人姫の時と同じかよ!!」
「ぐ、頭クラってあ、うわっ!」
「っちここに今残ってる奴5人かよ!10人以上落とされたか!」
「ミンナシンジャエ」
「グホッガハッ」
「あがっ!」
「今までこんなことなかったのになぁ。強すぎる。」
「人形遊びだよ?あははっ。君らが散々してくれたよね?」
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そこは、常人には見ていられない光景だった。数人の死体が水面に浮かんで、その水も血が混ざり紅く染まり、その中央に立つ海夏は血だらけで笑っていたのだから。だが、彼女に関わり彼女を助けようとした者たちはそんな環境でも彼女に声を掛けた。
「藤、原さ、ん?」
「三田さんかー。アソブ?それともアソバナイ?」
「これは、どういうことですの?」
「んー、どういうことも見たとおりじゃないかなぁ?遊んだだけだよ。人形ダモン。人形遊ビシタンダ」
「うわぁ。ラフちゃんだよね多分。」
「誰?遊んでくれるの?」
「リアルで遊ぶのは無理かなぁ。レイって言ったら分かるかな。」
「あ、じゃ良いよ。僕の遊び相手はここの現生徒と先生だから。三田さんは遊ぶ気なさそうだから含まないけど。あはは。」
「えと、どういう、ことですの?」
「多分だけど、彼女に残ってる欠片ほどの優しさだと思う。ついでに彼女の遊ぶは殺し合いだと思うよ。」
「そうだよ。それじゃあねー」
「えっ、まって、待ってください!」
「どうして?だーれも来なかったじゃん。価値なんてないんでしょ?だったら、死のうが捕まろうが関係ないじゃん。当たり前でしょ?玩具は遊べる限り遊べば要らなくなってそのゴミがどうなっても気にしないでしょ?」
「あ、えっと「なるほど、何でそうなったかは分かったよ。けど、ここにいる僕らは間に合わなかったけど君を助けに来たんだよ。」 ええ、そうですわ。私はとても遅かったんですね。ただ、助けに来たつもりではあります。申し訳ございません。来るのがこんなにも遅れてしまって。」
「あはっ良いよ謝らなくて。もう、何もいらないから。僕は変わんないから。あはは、僕は死んでてもここを壊すだけだよ。」
「もうゲームじゃ駄目かい?」
「ここの人達以外駄目だよ。痛めつけて壊すの。」
「そうかぁ。君はどう動くんだい?」
「私は家を考えるとしてはいけないのでしょうが、藤原さんに協力しようかと。放送室を封印しておけば、多少情報伝達速度も落ちるでしょうし。」
「じゃあ、ラフちゃん。職員室最初に行こうか。門の鍵取っといたらここから外に出るのはだいぶ時間かかるだろうしね。」
「二人ともありがとう。あははっ
−−−−それじゃあ壊しに行こう。」
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学校にいた生徒や教員はあの三人以外は惨殺死体になっており、帰りが遅いことを心配した親たちはあまりの惨状に泣き喚いた。正気に戻った者たちが通報し警察はこの事件の調査をした。ノートやあちこちに書かれた文字から推察されたものが、たった3人の生徒がしたということと、そのうち二人は連絡手段や脱出口を抑えていただけで殆どは一人の女子生徒によって起こされたこと、その少女はいじめられっ子で気が弱い子だったのにも関わらず自分は人形だと言いながら壊れたように笑い、殺し回っていたことだった。
その後この事件は、もう二度と起こしてはならない悪夢として語られた。そして人々は我が子に、『他者をいじめてはならない。いじめると怖い人形に殺されてしまうかもしれない』と言い含めるようになった。