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第6話『誕生日の夜のお風呂』

 11人も参加しているので、愛実の誕生日パーティーは午後8時半頃に終わるまで盛り上がり続けた。愛実はもちろん、あおい達もみんな楽しそうにしていたので、とてもいいパーティーになったんじゃないかと思う。


「じゃあ、あたし達はこれで帰るわ。今日は楽しかった」

「私も楽しかったわ。愛実さん、麻丘君とのお泊まりを楽しんでね」

「2人ともお泊まりを楽しんでね」

「うんっ。今日は来てくれてありがとう、理沙ちゃん、美里ちゃん。リョウ君とのお泊まりを楽しむよ」

「楽しもうな。2人ともまたな」

「またね」

「2人ともまたです!」


 玄関で俺達高校生5人がそう言葉を交わし合って、海老名さんと須藤さんは愛実の家を後にした。

 リビングに戻ると……真衣さんは普段とあまり変わりないけど、他の親達は酔っ払っている。真衣さんの前にはアイスティーがあるし、真衣さんはお酒をあまり呑まなかったのかもしれない。母さんと麻美さんは上機嫌になっている程度だけど、父親達はみんな眠たそうにしている。眠たそうな父親達を見ていると、俺の誕生日パーティーのときのことを思い出す。


「お父さん達を見ているとリョウ君の誕生日パーティーを思い出すね」

「私も思い出しました。今回もたくさんお酒を呑んだんでしょうね」

「俺も自分の誕生日パーティーのときを思い出したよ。……あのときみたいに、父親達をそれぞれの家に連れて行くか。母さんと麻美さんは歩けそうですか?」

「大丈夫よ~、凉我」

「ちゃんと歩けるよ~、凉我君」


 酔っ払っているのか、普段よりも高い声でそう答える母さんと麻美さん。あの様子なら2人は大丈夫そうだ。


「ヒロ君は私が寝室に連れて行くから大丈夫よ。凉我君はお父さんと、あおいちゃんのお父さんを連れて行ってくれるかしら」

「分かりました」

「では、私は後片付けをしましょうか」

「私もやるよ、あおいちゃん。リョウ君のパーティーのときも、後片付けするのが楽しかったし一緒にやりたい」

「分かりました。では、一緒にやりましょう」

「うんっ。ただ、その前にみんなからのプレゼントを部屋に運ぶね」

「いっぱいありますので、私も一緒に運びましょうか?」

「ありがとう。お願いします」


 そんなやり取りを交わした後、愛実とあおいは愛実への誕生日プレゼントを持つ。2人で持ってちょうどいい感じに見える。いっぱいプレゼントをもらったんだなぁと胸が温かくなった。

 その後、俺はあおいの父親の聡さん、父さんの順番でそれぞれの家の寝室まで連れて行く。その際には俺が肩を貸して。麻美さんも母さんも自分の夫の体を支えていたのもあり、そこまで大変さは感じなかった。

 2人を連れて行き、愛実の家に戻ると、真衣さんがリビングの飾り付けを外していた。なので、それを手伝った。

 飾りを外し終わった後は、真衣さんは愛実とあおいを手伝い、俺はパーティーで使ったローテーブルとクッションを元の場所に戻した。愛実の部屋にあるものだけでなく、俺の家にあるものも戻したので、全て戻し終えるとちょっと疲れを感じた。

 全て戻し終えて、愛実の家のキッチンに向かうと、愛実とあおいと真衣さんは食器などの後片付けが終わったのか食卓の椅子に座って談笑していた。


「ローテーブルとクッション、元の場所に戻してきました」

「お疲れ様、リョウ君」

「お疲れ様でした、凉我君」

「凉我君、お疲れ様」


 3人は優しい笑顔で労いの言葉を言ってくれる。その言葉で片付けをした疲れがちょっと取れた気がする。


「ありがとうございます。3人も後片付けお疲れ様でした」

「ありがとう、リョウ君」

「ありがとうございます!」

「ありがとう、凉我君。これでパーティーの片付けは終わったわ」

「そうですか。では、私はこれで帰りますね」


 あおいを見送るため、俺と愛実と真衣さんはあおいと一緒に玄関に向かう。


「パーティーはもちろん、準備も後片付けもとても楽しかったです!」

「私も楽しかったよ。今年はあおいちゃん達もいたし、あおいちゃんが進行役をしてくれたおかげもあって、去年まで以上に楽しい誕生日パーティーになったよ。ありがとう、あおいちゃん」

「私からもお礼を言わせて。ありがとう、あおいちゃん」

「俺も……あおいや麻美さん、聡さんもいたから、今年のパーティーは今まで以上に楽しかったって思ったよ」

「友達の誕生日パーティーを楽しくすることができて良かったです!」


 あおいは持ち前の快活な笑顔でそう言った。あおいは準備しているときから今のような明るい笑顔をいっぱい見せて、パーティーでは元気良く進行してくれた。それもあって、今日の誕生日パーティーは去年まで以上に楽しいパーティーになったと思う。


「では、私はこれで。愛実ちゃん、凉我君、お泊まりを楽しんでください。おやすみなさい」

「おやすみなさい、あおいちゃん」

「おやすみ、あおい」

「あおいちゃん、おやすみ」

「はいっ」


 ニッコリと笑いながらそう言うと、あおいは俺達に手を振って愛実の家を後にした。


「愛実、凉我君。お風呂の準備もできているから、2人が先に入っていいわよ」

「分かったよ、お母さん」

「分かりました。お先にお風呂いただきます」

「理沙ちゃんからプレゼントでもらった入浴剤を入れるね」

「分かったわ。お母さんも楽しみだな。お母さんはリビングにいるから、お風呂から上がったら教えてね」

「うんっ」


 その後、2階にある愛実の部屋に行き、シャンプーやタオル、着替えなど必要なものが一式入った袋をバッグから取り出す。それを持って、愛実と一緒に1階の洗面所に行った。

 俺は愛実の側で服を脱いでいく。

 これまでに何度かお風呂に入ったり、肌を重ねたりしてきたので、お互いのことが見える中で服を脱ぐことにも抵抗がなくなってきた。愛実の綺麗な体を見るとドキドキするけど。特にGカップの大きな胸を見ると。

 また、愛実もほんのりと頬を赤くしながら俺の体を見ている。


「今日もリョウ君の体……素敵だよ。全身に程よく筋肉が付いてるから、細マッチョって言う人もいそう」


 そう言い、愛実は俺のお腹のあたりをそっと触ってくる。感触がいいのか、愛実はうっとりとした様子に。


「ジョギングを始めてから4ヶ月近く経つからな。体力や筋力が付いてきたし、最近は朝は涼しいから、それなりの速度で走り続けても大丈夫になってきたよ」

「そうなんだ」

「愛実に褒められて嬉しいな。ありがとう。これからもジョギング頑張れそうだ」

「頑張ってね。応援してる」

「ありがとう。……愛実の体も素敵だよ。肌も綺麗だし……胸も大きくて」

「ありがとう。あと……胸見ていたよね。リョウ君、胸が好きだし」


 愛実は柔らかい笑顔でそう言う。愛実の胸が好きなことを本人に言われると、ちょっと気恥ずかしさがあるな。あと、胸を見ているのが嫌だと思っていないようで良かった。


「さあ、お風呂に入ろうか」

「そうしよう」


 俺達は愛実と一緒にお風呂に入る。その際、愛実は海老名さんからプレゼントでもらった入浴剤を一つ持って。


「さっそく入浴剤を入れようか」

「そうだな。いい香りがするって言っていたし」


 俺が湯船の蓋を開けると、愛実は湯船に入浴剤を入れて右手で湯船のお湯をかき混ぜていく。

 入浴剤が溶けていき、お湯は乳白色に変化する。湯気と共にハーブとミルクの優しい香りが香り始めた。


「あぁ……ハーブとミルクのいい香りがしてきた」

「優しい感じだよな。この香りでさっそく癒やされるな」

「そうだね。さすがは理沙ちゃん。いい入浴剤をプレゼントしてくれたよ」

「そうだな」

「早く洗って、一緒に入ろう!」

「ああ、そうしよう。髪と背中を洗わせてくれ」

「いいよ。私にもリョウ君の髪と背中を洗わせてね」

「ああ、いいぞ」


 その後、愛実、俺の順番で洗い始める。約束通り、お互いに髪と背中を洗いっこして。

 愛実の髪は昔から変わらず綺麗な茶髪で。以前、愛実が気持ちいいと言ってくれた力加減を思い出しながら、丁寧に洗っていった。

 背中も変わらず綺麗だ。ボディータオルを使って、髪と同様に愛実が気持ちいいと思える力加減で洗っていく。洗いやすいように愛実の体に触れているけど、愛実の肌はスベスベしているなぁ。きっと、スキンケアとか、あおいから教えてもらったストレッチをしているおかげなのだろう。

 俺に髪と背中を洗ってもらっているとき、愛実はとても気持ち良さそうにしていた。鏡越しに俺と目が合うと嬉しそうな笑顔になってくれて。そのことがとても嬉しかった。

 また、愛実に俺の髪と背中を洗ってもらって。洗い方がとても上手だから気持ち良くて。入浴剤の優しい香りもするのでとても癒やされる。


「じゃあ、お先に入るね」

「ああ」


 俺の背中を流し終わった愛実はそう言い、愛実は入浴剤入りの湯船に入った。


「あぁ……凄く気持ちいい……」


 愛実は甘い声でそう言う。愛実は肩までお湯に浸かっており、まったりとした様子になっている。その姿を見ると凄く気持ちいいのがよく伝わってくる。


「お湯が温かいし、入浴剤のハーブとミルクの香りも良くて。今日はパーティーの準備や後片付けもしたから凄く癒やされる……」

「良かったな。今の愛実を見ていると、早く俺も入りたくなってきた」

「気持ちいいよぉ。早くおいで~」

「ははっ」


 俺は鏡に映る湯船でまったりする愛実をたまに見ながら、普段よりも早い速度で体の前面や顔を洗っていった。


「愛実、俺も洗い終わったから、湯船に入るよ」

「うん、どうぞ」


 俺は湯船の中に入って、愛実と向かい合う形で体育座りのような体勢で浸かる。


「おぉ……気持ちいいなぁ」


 お湯の温かさはもちろんだけど、入浴剤のハーブとミルクの優しい香りが濃く感じられて。そのことで心身共に癒やされる。俺もパーティーの準備や後片付けをしたから、お湯の温もりが体に沁みる。


「凄く癒やされるって愛実が言うのも納得だ」

「本当に癒やされるよね。理沙ちゃん、とてもいいプレゼントをくれたよ……」


 愛実はそう言うと、柔和な笑顔で俺を見つめてくる。その表情はもちろん、先に湯船に浸かっているのもあって愛実の肌がほんのりと上気していたり、胸がお湯に浮いていたりしているのもあって艶っぽさを感じられて。ドキッとさせられる。


「この香りを感じながら、リョウ君の顔を見ていると……旅先の温泉で混浴している気分になるよ」

「分かるなぁ。贅沢で特別な時間を過ごしている感覚になれるよな」

「そうだね。しかも、誕生日の夜だし。……9月も後半になって、最近は朝晩が涼しいからお湯の温もりがとても気持ち良く感じられるようになってきたよね」

「そうだな。温かいのが気持ちいいから、最近は湯船に浸かる時間が長くなってきた」

「私も長くなってきたなぁ。今みたいに入浴剤を入れたときは特に」

「愛実はお風呂が好きだもんな」

「うんっ」


 1ヶ月前はまだ季節が夏で、夜でも暑さを感じる日が多かったのにな。季節の確かな進みを肌で実感する。

 温かいのがとても気持ちいいと言うだけあって、愛実は手で自分の肩にお湯をかけていて。その姿も大人っぽくてそそられるものがある。今日で17歳になったと思うと、より大人っぽさを感じさせる。


「ねえ、リョウ君。そっちに行ってもいい? リョウ君と抱きしめ合いたいな」

「ああ、いいぞ」

「ありがとう」


 俺は両手両脚を開いて、愛実を迎え入れる体勢になる。

 愛実はゆっくりと俺に近づいてきて、俺の両脚の間に入ってくる。その流れで愛実は俺のことをそっと抱きしめてきた。

 愛実に抱きしめられることで、愛実の体の前面が触れ、愛実の温もりと柔らかさが感じられるように。それがとても気持ちいいなと思いつつ、俺は両手を愛実の背中へと回した。


「もっと気持ち良くなったよ」

「俺もだ。愛実の温もりや柔らかさを感じられるし」

「私も。こうやって抱きしめ合う体勢好きだなぁ。リョウ君の方が体が大きいから、リョウ君に包まれている感じがして」

「そう言ってくれて嬉しいよ。俺もこの体勢が好きだぞ。愛実とくっついていられるのがいいなって思えて」

「嬉しい。肌が触れ合うのっていいよね」

「そうだな」


 そう言い、愛実と笑い合う。

 今のように抱きしめ合ったり、俺が後ろから愛実を抱きしめたりするのは、俺達が一緒に湯船に浸かる定番の体勢になりそうだ。


「リョウ君」

「うん?」

「今年の誕生日パーティーはあおいちゃん一家がいたのはもちろん、リョウ君と恋人になってから初めてのパーティーだったから今までで一番楽しかったよ。ペアネックレスっていう素敵なものをプレゼントしてくれたし。忘れない誕生日パーティーになりました。ありがとう、リョウ君」


 愛実は至近距離で見つめながらお礼を言ってくれ、ニコッと可愛い笑顔を向けてくれた。

 今日の誕生日パーティーを振り返ると……愛実は今まで以上に笑顔をたくさん見せてくれたし、俺やあおい達の誕生日プレゼントもとても喜んでいたな。こうして、今までで一番楽しいと言ってくれると凄く嬉しい気持ちになるよ。


「いえいえ。愛実が楽しんでくれて良かったよ。愛実と恋人同士になったし、桐山家のみなさんもいたし、俺の誕生日プレゼントを喜んでくれたし、俺にとっても一番楽しい愛実の誕生日パーティーになったよ。こちらこそありがとう。準備から楽しかったよ」

「私も。……リョウ君、大好き」

「俺も愛実が大好きだよ」


 好きな気持ちを伝え合うと、愛実の方からキスをしてきた。

 お風呂に入っているから、いつも以上に愛実の唇はしっとりと柔らかくて、温もりが強く感じられた。裸で抱きしめ合っているのもあって、とても気持ちのいいキスで。

 それからは抱きしめ合ったり、俺が後ろから愛実を抱きしめたりして、愛実とのお風呂をゆっくりと楽しんだ。

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