俺は配信者
俺は配信者のアリリオ。
映像端末で配信ができるようになった5年前から配信者をしている。映像端末そのものは20年前からあったが、個人で持ち運ぶとなればさらに最近に開発された。環境まで整備されたのが5年前という具合だ。
俺は昨日、配信者人生で一番とんでもないものを見たんだが……あれはどこの組織の飛行挺だ?
撮影した映像にはそれなりの大きさの飛行挺が映っている。しばらく流せばその飛行挺がマルクト区を爆撃しているじゃないか。
「おいおい、何の冗談だ? 配信するしかねえだろ!」
思い立ったが吉日。俺はさっそくイデア能力を使ってマルクト区の近くへ。言っていなかったが俺はワイバーンの翼を生やして空を飛べる。やっぱり配信者たるものフットワークは重要ってね。
さて、目的地近くについたからこれで配信開始。
「どうも! 大陸の果てまで飛び回る系Wetuberのアリリオでーす! 今日も誰も知らない世界、見ていきましょう! いやあ、見てくださいよこれ! ここはマルクト区近くなんですがね! どこの組織が爆撃してるんでしょうね!」
俺は遠くから爆撃の様子を映す。分かりにくいだろうから、拡大もする。
ゲリラ配信だが反応は上々。このまま拡散されてくれれば面白いんだが。
「危ないのでこれ以上近づきはしませんが――」
まずい、関係者だ。
黒服の男が俺に向かって走ってくる。
「今すぐ配信を切れ! 撮影していいものと悪いものがあるとは習わなかったのか!?」
顔を真っ赤にした黒服。いいね、そういうところが面白い。俺はカメラを切り替えて黒服を映す。
「だそうですよ! やましいことでもあるんでしょうね!」
俺はやめない。
黒服を映したまた飛び上がり、爆撃の様子も映す。
黒服は俺に銃口を向けてきたが、空中を飛び回る俺をとらえることなんてできない。
ひとしきり飛び回ると配信を切って黒服の背後へ。
「俺は影響力と数字のためなら何だってするからな」
黒服の首を絞めて気絶させた。
次はどこで配信しよう?




