誰のものでもないんだからさ
春乃に電話をして俺が実家にいる間にもう一度会うことになった。俺はすごく複雑な気持ちを抱えていた。電話で話してたテンポや感覚は昔のまま、いや、それよりも二人の成長に合わせ心地よいものだったのはわかる。しかし、みずきやさとみさんと居る時のような相手を愛おしく思う気持ちってのが、あるはずなんだが、まったく湧いてこなかった。
正直、俺はどうしたらいいのか迷っている。両親の想いはよくわかってるつもりなんだけどな。
その日はもやもやが抜けず昨日は親父としこたま飲んだ後なんだがすごく騒ぎたい気分になった。すると偶々、地元に来ていたという幼馴染が嫁と一緒でいいならと言ってくれたので飲むことになった。
夜が近づき、いつもの待ち合わせ場所にいくともうそこにはその幼馴染夫婦が来ていた。
「よっ!!ざきさん久しぶり!!」
「岡崎くん久しぶり!!」
「二人とも久しぶり。今日、陽翔くんは??」
「ああ息子か?それなら俺の実家に預けてきた。岡崎と飲み行くって言ったら親父が、こういう時くらい羽伸ばしてこいって。」
「あっそう。そうなんだな。よかった。」
こうして合流したのは幼馴染の 城田 肇 とその奥様の 藍 さんだ。
肇とは接点がまったくないが、遊んでるグループが一緒になって意気投合したんだよな。今夜は楽しく飲めそうだ。
お互いの近況報告が終わると大体いじられるのが俺の恋愛のことと最近のながれが 決まっている。問うのも幼馴染グループで結婚してないのが俺だけだからだ。
いやいや、8人もいたらもう一人くらいいてもいいだろうと思ったが、それが現実だ。
「そういえば岡崎、最近なんかいいことあった??」
「おう、昨日、春乃とお見合した」
「はあ?春乃ってあのメンヘラ??」
「そうそう、いろいろあってな。」
「なにそれ?どういうこと?私にもおしえてよ。」
「じゃあ、二人のエピソード一つ教えてくれたらいいよ」
「それくらいならいいよ!!肇ちゃんと私の初デートの話ならどう??」
「おっ、どんなんどんなん?っていうか二人のそういう話聞いたことないね。」
「いや、おまえそういうのはあんまりふらふら話すことじゃねえだろ。」
じゃあ俺の話はなんなのかという突っ込みはやめとこう
そうして話してくれたのは、肇と藍さんが付き合ってから初めてのデートでそれこそ肇がデートの仕方すらわからないとか、寝言を言うから姉貴気質の藍さんがじゃあデートってのを教えてやるってデートしようとしたら、肇の奴が39度近いねつ出してフラフラできたことで、怒った藍さんが一言
「そんなんでデートなんか来るんじゃねぇ。黙って帰って寝てろ。デートくらいあとからいくらでもしてやるからっ」
といって怒鳴り散らして、肇を帰らしたのが初めてのデートだってことらしい。
この二人、よく結婚したよなあ。肇の方が敷かれてるのはご想像の通りだろう
そんな、エピソードを話されたこともあって、昨日あったことを全部話した。
母さんの体調含めて。
「岡崎くん、一つだけいい?キッカケはなんでもいいの、それがお母さんの為だろうが何だろうが、でも納得して答えだしてね。納得のいく人生なんてないし、必ず後悔するけど、当時の自分が納得して出した答えなんだから信じられるよ。岡崎君の人生は誰のものでもないんだからさ。」
藍さんからもらった言葉がすごく腑に落ちた。
それからは、よく覚えていないがすごく楽しく飲んで、抱えていたモヤモヤもすこしだけ晴れてきたような感じがした。
次の日は間違いなく2日酔いコースだな。。。




