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第一話 異世界へ

ご感想、ご指摘、どしどしお待ちしております!

目覚めると其処は全く身に覚えのない場所で、幻想的な雰囲気を醸し出している。

死んだ事を理解してはいるが、天国とは思えない。

記憶も混濁しているのか、少し曖昧になっている。

その場所にいたのは俺を含め三人。

そのうちの一人の名は、田中悠真【ユウマ】。


文武両道、才色兼備。

性格はとても温厚で、情に絆されやすく、学校ではカリスマ的人気を誇る。

思わず天は二物を与えないんじゃなかったんですかと、疑問を呈したくなる。


その上決してイジメを許さず、教師からも一目置かれていた、聖人君子のような男。


スクールカーストは当然、最上位!


しかし、これは悪魔で表向きの顔であった。

実際の奴はクソにクソを掛け合わしても足りない程のクソ野郎。

裏で行われていた陰湿で、非道な暴虐の数々は呆れるほどある。


しかし、コイツも死んでいたとは驚きだ。

そんなクソ野郎はもう一人居たとても綺麗な女性と揉めていた。


「いいですか?貴方の生前の行いは決して許される事では有りません。故に次の世界ではその分苦しい思いをし善行を積む、これは贖罪なのです」


「おいおい、ふざけんなよ。何様のつもりなんだよ?」


「私は女神。私には貴方の生前を知り、裁量に委ねた神罰執行権限があるのです」


どうやら神様らしい。

そしてその生前の罪によって、罰が下される場所のようだ。


「訳わかんねぇ事言ってんじゃねぇ!このクソアマが!」


ブチギレた田中があろう事か、殴りかかる。だが、


「くそ!どうなってんだ!」


女神が放った光の球が、田中の周りを飛び回り動きを制止している。


「私は貴方を無に帰す権限も持ち合わせております」


その発した言葉には重みがあり、流石の田中も口籠ってしまう。


「それではもう行って貰いましょう、異界の扉(オスティウム)!」


突如大きな扉が出現し、田中を飲み込むように消えていった。


「お待たせしました、佐藤真人」


如何やら俺の番のようで、女神が俺の元に歩み寄る。


遠目から見てもわかったが、近くで見ると一層その美しさが理解できる。


透き通った肌、眩く光る金髪。

黒を基調とし、煌く装飾が施された、まるで夜空に輝く星を演出しているかの様なベールを被っている。

装いはシンプルな白いローブで、こちらも細部まで装飾が施され、この女性の美しさを一層際立たしているかのようだ。


「少し前、貴方の人生の幕は突如として閉じる事になりました」


田中にも同様の話をしたであろう、説明を女神から受けた。死んだものは次の人生を与えられ、ゼロからやり直すかそのまま異世界で次の人生を送るか、簡単に言うとこんな感じだ。


だが、説明は続いて、


「……しかし貴方は生前、悲しみに満ちた人生を送りました。しかし、その辛く悲しい人生も終わりを迎え、次の人生ではお好きな力、お好きな世界へとお送り致します」


なんたる慈悲か!

これ程の好機はもう二度と訪れないだろう、なら取るべき行動は決まっている。


「力が欲しいです。そうですねぇ、出来れば魔法……そう残酷な魔法を使えるようには出来ますか?」


「ええ……可能です。しかし、その魔法で何をなさるおつもりですか?」


「俺が直々に奴、田中悠真に罰を与えたいと思っています」


「なるほど。それならば許容範囲ではありますが、その力での殺人は許されません。お約束できますか?」


この力で殺す必要はない、それだけの事。


「わかりました、お約束いたします」


「通常同じ世界に転生する事は許されません。ですが、貴方の生前での人生と、その者、田中悠真との関係性を加味し、特例で認めましょう」


「ありがとうございます」


「それでは扉を出しますので、少々お待ち下さい」


あれ?


「女神様、その……力は?」


「あ!」


如何やら忘れていたようで、慌てて詠唱を始めた。すると、次第に体が光に包まれていき、頭に様々な魔法や力の使い方が次々と入り込んでくる。


「終わりました、今貴方に授けた力は"歴代最強の魔王の力"となります」


そりゃあいい、このほぼチートの力で奴に地獄を見せてやれる、楽しみだな。


「っ!」


突然女神が俺の両手を握りしめた。


「マサト、復讐が虚しいものとは言いません。場合によっては復讐を果たし、前に進む事も大事なことだと思います。力を授けたとは言え、復讐は辛いことです。ご自分の身を大事に、願わくばその世界で貴方に幸多からんことを」


少し泣きそうになってしまい、俯きながら涙が出ないよう歯を食いしばる。


出来ればこの優しさを生前に知りたかった。


「それでは扉を開きます」


女神が俺の右手を握りながら扉を開く。


と、その時――


「はっくしゅん!」


「きゃっ!」


くしゃみをしてしまい、目の前が見えなくなる。


そして、


目を開けると其処は既に中世のヨーロッパに似た街並みが広がっており……異世界だった。


「ん?」


右手に手の感触……


「「え?」」

ご読了有難う御座いました!

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