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四竜帝の大陸  作者: 林 ちい
青の大陸編
91/212

12月~1月の小話(2) ~似たもの同士?~  お宝展示室(1)も掲載

2010年1月20日の活動報告からの転載です。


「お宝展示室」は、読者様の描いてくださったイラストを掲載しています。


「かんさつ……鑑札?」


 ナマリーナに<鑑札>を付ける為に、人間の男性が南棟にやってきた。

 それがこの人だった。


「そうです、これは陛下の所有印です。奥様の鯰につけておけば将来的に湖に放し、捕獲されたとしても食用にされることはありません」


 竜帝さんが契約している術士のクロムウェルさん。

 ダルフェさんと同じ青い騎士服を着たおじ様の手には、1円玉大の薄いコイン……コインでは無く、鑑札ですね。

 

 この人も私が見上げるような長身だけど、竜族ではなく人間の男性だった。

 40代……後半くらいかな?

 ハクちゃんと対照的な浅黒い肌に、濃茶の目。

 短くカットした、白髪混じりの黒髪。

 彫りの深い顔は、お母さんがファンのドイツ人俳優に少し似ていた。

 全体的な印象は俳優さんというより、軍人さん……K1選手みたい。

 同じ制服なのに、ダルフェさんはどう見ても<騎士>でクロムウェルさんは<軍人>さんだった。


「これで術式による追跡、また安否確認も可能となります。他大陸は範囲外ですが……装着完了です」


 捲くっていた袖を戻しながら、クロムウェルさんは私に言った。

 彼は大きな網でナマリーナを捕獲して、手際よく作業を進め……ほんの数分で、鑑札をつけ終わった。


「ありがとうございました。クロムウェルさん」


 春になったら大陸を移ることになったから、ナマリーナは引越し前に湖へ帰してあげることにした。

 巨大鯰のナマリーナを、ずっとこの池で飼うのは無理だし……。

 そう考えているのだと、私は竜帝さんに一昨日のお茶の時間に会ったときに話した。

 

 そして本日。

 女神様から彼が派遣されたのだ。


 クロムウェルさんは濃茶の目を細め、私の腕の中大人しくしているハクちゃんを見た。

 そうすると目じりに皺が増えて、少し柔らかな雰囲気に変わった。


「……<監視者>殿。いつも奥方様に、そうして抱っこしてもらっているんですか? 竜体の貴方にも好意を持ってくれる花嫁で良かったですね。久しぶりに竜体の貴方に御会いしましたが……ああ、やはり私の陛下はなんと美しい! 小さいだけの貴方などとは全く違う!」


 はいっ!?


「私の陛下は<監視者>殿などとは、品格が違う。鱗の輝き、絶妙な手足のバランスに優雅な尾……こうして<監視者>殿を見ていると、あの方の美しさが改めて実感できる!」


 な……なによ、この人!?


「カイユ殿、君もそう思うだろう?」


 池の前に立つクロムウェルさんと、ハクちゃんを抱っこして鑑札を付ける作業を見ていた私の間にはカイユさんが腕組をして……仁王立ちしていた。

 水色の瞳がクロムウェルさんを睨んだ。

 どうやらカイユさんはクロムウェルさんを少々……かなり嫌っているみたいだった。


「私には色の違いしか分からない。終わったのならさっさ退室しろ、クロムウェル。この子に……トリィ様にそれ以上近寄るな、汚らわしい! この変態めっ……あと一歩でも近寄れば、私がお前を切り刻むっ!」


 へ、変態?


「心配無用だ。私は陛下にしか興味がない。あぁ竜帝陛下、私の女王様! 人型は言うまでもなく、竜体の陛下もぞくぞくするほど美しい! それに比べ、<監視者>殿のこの姿は……いや、比べるレベルに達していないか」 


 言動から察するに、クロムウェルさんは竜帝さんを?

 も……もしかして、この人がダルフェさんが言ってた彼に求婚した人間の男性なんじゃないの!?

 でも、それにしたってハクちゃんへの評価がひどすぎる!

 ここは妻として、断固抗議すべ~しっ!!


「ちょっ……良く見てください、クロムウェルさん! ハクちゃんだってとても綺麗ですし、すご~く可愛いです。特にこのぽっこりしたお腹のライン、見蕩れるちゃうくらい素敵だと思いますよ?」


 私はカイユさんの隣に立って、クロムウェルさんからよく見えるようにハクちゃんを両手で突き出した。

 私にとってハクちゃんは、世界一かわゆ~いおちびちゃん竜なのだ!

 青・赤・黄の竜帝さんに会ったけれど、やっぱりハクちゃんが一番綺麗で可愛いかった。

 ま、まぁ確かに人型のお顔は悪役系で、好感度ゼロかもしれませんが……。

 ゼロどころかマイナスかもしれないけれど……くっすん、一応美形なのにな。

 しか~しっ!

 竜体のハクちゃんのこのかわいさったら、もうっ……堪んないんです!!


「綺麗で可愛い……この<監視者>殿が? ふっ……ご冗談を。私の陛下こそ、世界一綺麗で可愛らしい竜です。あぁ、異界人である奥方様にはこの世界の[美]が、正しく理解できていらっしゃらない。それとも元々の美的感覚が狂われているのか……どちらにしろ、お気の毒なことだ」


 くううう~! 鼻で笑ったよ、このおじさん!


「……私のハクちゃんは、世界一かわゆいおちび竜です」


「……私の陛下こそ、世界一愛らしく美しい竜です」




 私とマッチョ術士の間に、火花が散った。



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『お宝展示室(1)』


読者様から素敵なプレゼントをいただきました!

とっても可愛いハクちゃんです(*^^*)

かぼちゃ様、ありがとうございます♪

(イラストの著作権はイラスト作者である「かぼちゃ様」にあります)


*~世界一~……りこにとって‘世界一かわゆい‘旦那様です。にぎにぎ手足とぽっこりお腹がキュートですね!

挿絵(By みてみん)


*~パジャマ~……奥さんが寝ている間に、リボン結びの特訓中!

挿絵(By みてみん)


*~野望~……念願の山頂からの‘ころころ‘です。きっと、すごい猛スピードでしょう♪

挿絵(By みてみん)


*提携サイト『みてみん』に、かぼちゃ様が投稿してくださったものを転載させていただきました。

 (『みてみん』 http://mitemin.net/ とは、『小説家にになろう』へのイラスト転載が可能な提携サイトです)

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