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四竜帝の大陸  作者: 林 ちい
赤の大陸編
175/212

お宝展示室(8) バレンタイン小話も一緒に置かせていただきました。

やえ様にいただきました!

バレンタインなハクとりこです。


ハクのきらきらお目々が眩しいです!

甘くてほのぼのな、とっても可愛いイラストです♪

やえ様、素敵なイラストをありがとうございました!


挿絵(By みてみん)

「……(ばれんたいん、なのだ!)」

「え? ハクちゃん、なに?」

「……(今日はばれんたいん、なのだろう!?)」

「ハ、ハクちゃん(うわっ! その顔、まぶしいです!)」


ーーーーー*ーーーーー*ーーーーーーー*ーーーーーーー


☆以下、やえ様のイラストから妄想したバレンタイン小話です。(本編とはつながっていません)




「ハクちゃん、ハッピーバレンタイン!」

 “はっぴぃばれんたいん”という、まるで呪文のような言葉と共に。

 りこは我に小箱をくれた。

 身をかがめ、差し出した我の両手に乗せられた小箱。

 そう。

 今日は“ばれんたいん”なのだ!

「……りこ」

 我は食物を食わぬが。

 食えぬわけではないのだ。

 味覚が無い我だが、やはり“ばれんたいん”のチョコレートは欲しい。

 正確には、チョコレートが欲しいのではなく。

 欲しいのは。

 我が欲しいのは。

 りこの。

 りこの、我への想いなのだ。

「ありがとうなのだ、りこ」

「ふふっ……どういたしまして!」

 赤いリボンをほどき、箱を開けると。

 そこには、見慣れぬ物体が5個。  

「……ん?」

 チョコレートが入っているとばかり思っていた我は、首を傾げてしまった。

 ……りこは以前、ばれんたいんの定番はチョコレートだと言っておったのに……これは何なのだ?

 黒ではなく、茶。

 しかも、粉だらけで……団子状?

 これはなんなのだ?

 我の知っているチョコレートはもっと黒く、艶があって……はて?

「……りこ。これはな」

 何なのだと言いかけたが、我は止めた。

 嬉しそうに微笑むりこの顔を見たからだ。

「ふふっ……良い出来でしょ?」

 良い出来なのかっ!?

 この泥団子物体が!?

「カイユと作ったのよ!」

「…………カ、カイユと作ったのか?」

 料理上手のダルフェではなく。

 父親が菓子職人だったランズゲルグでもなく。

 ダルフェいわく、料理の才を母胎に置いてきたカイユと、りこは作ったのか……そうか、カイユと……そうだったのか……。

 たとえ粉を吹いた泥団子だろうとりこが作ってくれたものならば、我は食うのだ!

 泥団子だろうが毒物だろうが、死なぬ我には大差無い。

 なんの問題も無いのだ!

「トリュフにしたの。これもね、チョコレートのお菓子なのよ?」

「……(泥団子ではないのか!?)ト、トリュフ? 我は初めて見た物体なのだ」

「初めて? そうよね、ハクちゃんは普段は何も食べないものね。……ハクちゃんは食感と香りは感じることができるでしょう? だから、トリュフにしてみたの。味は感じられなくても、これならハクちゃんが舌触りとお酒の香りが楽しめるかな~って思ったんだけど……」

 りこは我の手の中にある小箱から一粒つまみ、我の口元へとそれを寄せた。

「ハクちゃん、あ~ん」

 いつもと逆に、我が“あ~ん”されるという状況に。

「……ッ!?」

 心臓、大きく上下に跳ねた。

 それは揶揄ではなく、実際に体内で起こった事で……我の心だけでなく臓器すら易く動かすとは、さすが我のりこなのだ!

「では。いただきます、なのだ」

「はい、どうぞ」

 ころりと、咥内で転がるトリュフは。

 未知の食感と酒の香りを、我に与えてくれた。

「どう?」

「……うむ。これは初めての食感だ。あぁ、確かに酒の香りが………おもしろい、のだ」

 我を見上げるりこの瞳が。

 我の言葉を聞くと、細められた。 

 味が分らぬ我のために、りこはこれを作ってくれたのだ……。

「おもしろい? 良かった~!」

 美味いと言えぬ我を、りこは責めず。

 嬉しそうに、笑む……。

「…………りこっ!」

 笑むりこの愛らしさに、我の臓器全てが歓喜に震え。

 熱を帯びた脳には、りこが以前教えてくれた情報が浮上した。

「……ん?」

 りこの生まれた地域では、女から男に贈るのだが。

 国によっては、男から女へも贈るのだと言っていたのだ。

 だから、我もりこに贈ってもよいはずなのだ。

「……うむ、これにしよう」

 我は小箱の中からひとつを選んで取り出し、自ら口に入れ。

「ハクちゃん、おかわり? 気に入ってくっ……んんっ!?」

 唇を重ね。

 りこの咥内へと、トリュフを入れた。

 仕上げとばかりに、その唇をひと舐めしてから。

 我は定番の文句を口にした。


「“はっぴぃばれんたいん”なのだ、りこ。さあ、まだ3粒あるぞ?」

「…………えっ!?」


 愛しい貴女がいてくれれば。

 いつでも我は、“はっぴぃ”なのだ。




 

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