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四竜帝の大陸  作者: 林 ちい
青の大陸編
112/212

4~5月の小話 ~ヒュートイル~

 チテセの木の下で。

 無数の針の集まりのような花の透き間から空を見た。


 チテセの花は赤い。

 白ばかり集められた此処では目立つ。


 だから我は此処にいるのだろうか?


「この木、気に入った? 先月移植させたんだよ」


 死体のように寝転がり。

 花の色を。

 空の色を。

 何故。

 見続けているのだろうか?


「もう3日間もここに寝転がってるけど。何してるんだい?」


 セイフォンの離宮に。


「また無視? 聞こえてるクセに。……ねぇ、化け物」


 何故、此処に来たのだろうか?


 <処分>するべきモノなど、存在せぬのに。


「化け物は世界で一番の年寄りなんだろう? 皺一つ無いなんて、若作りにもほどがあるよ。動かない……表情が無い、良くできた作り物みたいな顔だよね」


 ヒュートイルは我の腹に跨り、両手で頬を撫で回すようにして触れてきた。

 

「睫毛に触れても瞬きひとつしないなんて。反射神経って言葉が世の中にあるの、知ってる?」


 ヒュートイルの右の親指が、我の目元をなぞるように触れた。


「あんたと寝れば、不老不死になれるって本当? ははっ、そんなわけないか! あの女、首切ったら死んだしね。一応、僕の妃の一人だったんだけど……ま、いいや」


 ヒュートイルの左の親指が、我の唇に触れた。


「体温、低いんだね」


 ヒュートイルの指が2本、咥内に入り我の舌に触れた。


「うわっ、舌まで冷たい。これじゃ、ショコラが溶けないね。まあ、化け物には菓子を味わうなんて高尚な感覚は必要ないか」


 ヒュートイルは言った、我の口から出した2本の指を眺めながら。

 

「あのさ、化け物。僕が思うに……あんた、この中にはいない(・・・・・・・・)んじゃないかな?」


 人という生き物は。


「さあな。我にも分らん」


 時に、我の中の何か(・・)に触れる。


 それが何か。


「我には分らん」

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