評価やランクと騒ぎ立てずに、その気になればいい
というわけで、エッセイ第十弾。
テンプレ批判に走ったり、レビューが欲しいと喚いたり、好き勝手に毒を吐いてきましたが、先日、不意に気付きました。
趣味や娯楽を兼ねて創作を始めたはずなのに、アクセスやポイントに振り回されて、逆にストレスになっている。
今感じている違和感はココです。
はい、そこ。だったら「なろう」を辞めちまえとか、そういう身も蓋ないこと言わない。とりあえず、人の話は最後まで聞きましょう。
私が小説を書き始めたのは高校二年。完結済の長編に「斬魔剣」がありますが、それの原型となった作品です。その処女作は「なろう」でも掲載していましたが、全85話でブクマ7件という、まさに“黒歴史”となりました。
はい。ここは笑うところですよ〜。
で、「斬魔剣」を書き始めたのは社会人一年目の時。小説大賞へ応募するため原稿用紙350枚分を執筆。応募したものの箸にも棒にもかからず、その後は書いては直しを繰り返し。
およそ十二年ほど前です。現在の会社で新しい部下が付き、彼がFlashやJavaといったものにかなりの知識を持っていました。そんな彼の力を借り、自サイトを立ち上げ、「斬魔剣」をリメイクしながらFlashデータとして再構築。写真と音を付け、サウンド・ノベルとして公開していました。
その後、私生活が多忙を極めたことに加え、執筆しながらデータを作るという激務に心が折れました。二年ほどで更新は停止。私自身、その存在すら忘れかけていました。
そして、およそ五年半前。部屋の片付け中に「斬魔剣」の応募原稿を発見。それを読み返しているうちに当時の想いが再燃。再びWEB上で公開しようと思い立ったわけです。
前置きが長くなりましたが、そんなわけで、私が「なろう」に出会ったのはほんの偶然。
小説、投稿、とキーワードを打ち込んだ際、たまたまこのサイトが引っかかったと。検索上位に来るってことは、それなりに人気のサイトなんだろうなぁって。
というわけで、「なろう」の傾向と対策すら知ろうとせず、ただ「斬魔剣」を読んで欲しいという想いだけで活動開始。正直、作品を掲載できればどこでも良かったんですよね。
まぁ、感想欄なんてどこのサイトにもあるとは思っていましたが、ブックマーク機能や、ポイントによるランキング制度といったものまで取り揃えられている。
これら全てを閉ざせば良かったんでしょうが、そこは人の性。気になりますよね。
読んで貰ったからには感想が欲しい。評価されたい。登録後の間もない時点で既に、「なろう」の呪縛にはまっていました。しかも、元は趣味全開で書いている作品。当然、一般受けは難しい。このサイトも当時からファンタジー一強でしたから。
当時の私は、どうして読者が付いてこねぇんだと鼻息を荒げていましたが、まぁ、それも仕方ないことだったわけです。初めて頂いた感想でニッチな作品だと言われ、そこでようやく需要の低さに気付いたわけです。
それでも、頂いた感想やPVの反応を参考にタイトルやストーリーを修正。徐々に「なろう」好みへ擦りあわせてゆくことになりました。そして、今だからこそ思うんです。
私が本当に書きたかったのは何なのか、と。
「なろう」でのし上がるために書いているんじゃない。この作品を書きたい、読んで欲しいから書くんだと。まぁ、人気がなければそもそも読んで貰えない、という矛盾すら含んでいるけれど。しかも、そのために「なろう」好みへ擦り寄ってしまった自分もいるので、あまり偉そうなことも言えない。
でも、テンプレには手を出したいとも思わないし、書こうとも思わない。私が転生・転移を嫌う理由は主にそこだったりするわけですけれども。人気ジャンルが羨ましいからこそ、噛み付いてみると。
「なろう」で人気作家になって作品を書籍化したい。それはきっとこのサイトで活動を続ける限り、自分の根底に延々とある想いです。でも、目指すべき場所へ共に行くための作品は、「なろう」人気に迎合したものじゃなく、自分が読んで欲しいと自信を持って送り出した作品でありたい。
私もきっと、「なろう」を読み手として入り始めていたら、書籍化を目指して人気作を真似ていたに違いありません。
でも、私には私だけの作品がある。そういった視点で見ているからこそ、今回のような違和感を感じたんだろうなぁと。
小説家になろうで投稿を始めた瞬間から、あなたも作家の一人である、とは良く言ったもので、自分の作品には責任を持つべきだと思うわけです。始めたからには終わらせる責任があると。
評価が気になる。PVが気になる。ポイントが気になる。それは仕方がないことだと受け入れています。それがイヤなら「なろう」を使わなければいい。ただそれだけですからね。
それでも、このサイトを通じて知り合った沢山の方々との縁がある。支え、支えられ、共に切磋琢磨できる素晴らしい方々ばかりです。今までにも多くの刺激を頂きました。それを断ち切ることは連載を止めるよりも惜しい。自分の中で、大事な物が変わってきたんですよね。
投稿を始めた瞬間から、作家の一人として活動は始まっているのです。評価やランクと騒ぎ立てずに、一人の作家として、その気になって活動すればいい。
所詮は綺麗事かもしれないけれど、今、素直にそう思えるのです。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
このエッセイを書き上げ、感想を頂く中で新たに気付かされた想い。
それら全てをひっくるめた短編がこちらとなります。
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